経営的にしんどい障害児保育園を、練馬区に新規開設できる理由

11月に練馬区に「障害児保育園ヘレン中村橋」をオープンします!!

この障害児保育園ヘレン、障害児の通所施設の仕組みと保育の制度という、普通誰も掛け合わせない制度を掛け合わせ、何とか成り立たせている事業なんですが、期待していた障害者福祉サービスの報酬改定が芳しくなく、懐事情は極寒のままです。

しかし行き場がなくて困っている医ケア児家庭はたくさんいるわけです。一部の意識の高い自治体さんは、その辺り分かっていて、「何とか重心児や医ケア児を預かれる保育園を作らなきゃ」と考えているのです。

練馬区さんもそうした区の一つ。ただ、作らなきゃと言って放っておいても勝手に障害児保育園はできません。

そこで練馬区さんは区の福祉センターの一角を無償で貸し出し、そこを医ケア児・重心児達の保育園のために使ってもらおう、と考えたのです。

事業者としては、家賃が掛からないので、採算の取りづらい障害児保育園も何とか運営可能になるし、何より物件探しは地獄で天使の羽を探すくらい難しいので、物件探しの大変さをショートカットできるのが嬉しい。

我々フローレンスとしても、開設も運営も大変な障害児保育園ヘレンをどこでやろうか、という時にそうした公募があれば、「おぉ、ここなら何とかできるかも」となるわけです。

実際に、世田谷区の障害児保育園ヘレン経堂も、跡地を使わせてもらっていて、そのお陰で何とか運営できています。

というわけで、自治体の皆さん。自治体所有の空き物件・空きスペースがあったら、ぜひ障害児保育園の開設をご検討ください。

国からの報酬は充分でなくても、当然ながら現場スタッフにしっかり給与を支払い、また子どもの安全のために設備投資にお金をかけなくてはいけないヘレンは運営が火の車なので、喜んで運営事業者として手を挙げます。

医療的ケア児のご家庭の皆さん。当事者の皆さんが立ち上がって、ぜひ自治体に要望をぶつけていきましょう。まだまだほとんどの自治体にとっては医ケア児問題は遠くにあります。福祉に熱心な地方議員さんに、議会質問をお願いするのも良いでしょう。

成り立たせるのはハードモードな障害児保育園ヘレンですが、これからもフローレンスはやせ我慢しながら頑張って広げていきたいと思います。

どんな状況にある子ども達にも、保育が共にある未来を見たいから。

障害児保育園ヘレン中村橋の開園に関する詳細はこちら


編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2018年5月26日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。