加計学園の記者会見運営への非難は、コロンビアのFKへのケチと同じ

2018年06月20日 06:00

NHKニュースより

加計学園の加計孝太郎理事長が19日午前、記者会見を開いた。その中身はといえば、早川さんが言うように「しないよりはしてよかった」レベルのものに過ぎないが、地元記者のみを対象に唐突に記者会見を開催するなどしたやり方に対して、野党やメディア、その支持者たちが怒りが収まらないようだ。

筆者の身近なところでも元毎日新聞記者の医療関係者がSNSに加計氏の対応について「人間性を疑う」と激しく糾弾していた。いくらなんでも、それは言い過ぎではないかとコメント欄でたしなめたところ、この元記者と同じような「安倍嫌い」の人間たちが続々と私に食ってかかり、とうとう「加計氏の嘘を擁護するお前も嘘つきだ」などと詰る始末。

安倍政権や加計学園の一連の対応に不可解なことが相次いでいるのは事実だが、特捜事件の対象になるような違法性のある話はまだ見つかっておらず、安倍政権の関係者でもない私が客観的な立場で異論を挟んだだけでもヒステリックな言動で攻撃されてしまうようでは、恐ろしい世の中になったものだ。

記者会見の運営方法の何が非難されているのか

ところがこれが安倍首相嫌いの政治素人の戯言であればまだよいのだが、ジャーナリストや野党の政治家などの「プロ」まで記者会見の運営方法を公然とdisりまくっている。

また、テレビ朝日の報道ステーションのクルーはなんとか現地にたどり着けたそうだが、地元メディアでないことを理由に締め出されたことに憤慨して、記者会見本編より運営方法自体を批判的にクローズアップしていたようだ(W杯日本戦の裏番組でみていないので詳しくは下記ツイッターの動画を参照)。

あらためて簡単にまとめると、加計氏の記者会見手法に対して文句がつけられているのは、推測も含めると次のようなところだ。

①記者会見の開催を各社に通告したのが当日朝の午前9時ごろで、しかも2時間後のスタート

②記者会見に入ることができたのは地元記者クラブに加盟する新聞、テレビなどに限定

③(②の裏返しでの推測)東京のメディアはもちろんのこと前日の大阪の地震取材で少なくとも在阪の大手メディア(各新聞社や準キー局の社会部など)は手一杯で、モリカケを熱心に取材している記者などが物理的・時間的に参加できないように設定されている

さらには

④(古賀茂明氏らの推測)サッカーW杯のコロンビア戦が夜に開催され、その関連報道がクローズアップされるタイミングを狙った

などなど、「陰謀論」をたくましくして非難が一方的に盛り上がっている。

“安倍憎し”の余り、根拠の乏しい陰謀論を言われても…

しかし、彼らの反応をみていると、あらためていつものことだと思ってしまう。「反安倍政権」系のメディアや野党の人たちに特有なのは、“安倍憎し”の感情を募らせるあまり、肝心要の原理原則やルール、戦いのリアリティーを忘れてしまっているようだ。

①や②に関して言えば、学園所在地の岡山で記者会見をやること自体は特におかしいわけではない。もちろん当日朝に急遽開催というのに釈然としないものはあるだろうが、少なくとも地元の記者クラブのルールに則って行っている。だから共産・小池氏のように、「卑怯」などといってしまうと、今後、共産党が身内の不祥事に関して野党クラブの記者さんたちだけを緊急に集めての記者会見を実施した場合、それも「卑怯」だということに論理的にはなってしまう。

あるいは③を強調するようなことは、全国に張り巡らせた取材網を自ら軽んじることになりはしないか。新聞社の本社が支局を卑下する実態がしばしばあるとはいえ、都会の記者たちが「地方メディアはモリカケをまともに取材できないだろう」と端からバカにしているのと同じで岡山の記者に失礼なことだ。

④に関して言えば、もはや根拠の乏しい陰謀論でしかないし、そもそもビッグニュースに危機管理記者会見をぶつけるようなことは昔からあることだ。

つまり、今回の記者会見問題でいえば、加計学園は別に違法なことをやったわけでもないし、記者クラブ側との業界ルールを破ったわけでもなかろう。そもそも主催者は加計学園なのだからどこでいつ誰を呼ぶかは、彼らの自由だ。

ルールを守った戦いに虚をつかれて文句を言うのは負け犬の遠吠え

もちろん望月氏が言うような①の記者会見の設定タイミングが恣意的なものだった疑いは残る。④のサッカーにぶつける計算もしていたとして、形式的に記者会見をやった事実だけは残し、面倒な東京や大阪のメディアを物理的・時間的に“排除”するあたり、記者クラブの利用の極意を知り尽くしたものならではの「絶妙」な広報戦術ともいえる。いくばくかの政治取材の経験がある記者なら誰しも「官邸が指南したのではないか」と連想するところだろう。

しかし、仮に官邸のアドバイスで加計学園が記者会見をやったとしても、所詮それは虚をつかれたメディア側の脇の甘さにほかならない。すでにモリカケ問題は、野党、メディアと官邸との間で「殺るか殺られるかのガチンコの政争」になっているわけだから、各メディアが自社の支局、提携先の地元メディアに何があってもいいように連携するなど周到な準備をしていなかったがゆえの負けに過ぎない。

そもそも記者会見で真相が明らかになる類の事案でないことは、海千山千の記者たちなら自明の理だろう。東京でブツブツ文句を言う暇があったなら、安倍首相や加計理事長を本当にやっつけたいのなら、たとえば利益供与の疑惑があるなどの動かぬ新事実を発掘して報道して倒閣をすればよいだけの話だ。(そんなものが出るとは思えないが)

ましてや加計学園(官邸?)側は記者クラブの制度を駆使し、ルールを守って「戦い」をしている。他人様が主催する記者会見の運営方法について、いつまでも揚げ足取りな文句をいうのはただの負け犬の遠吠えだ。

GK川島が、グラウンダーのFKで虚を突かれて失点した場面(NHKの中継より)

昨晩のサッカーの試合でいえば、コロンビアの選手にサッカーのルールに則って地面に転がすフリーキックを仕掛けられ、日本が失点したことについて、さしづめ日本のサポーターがスポーツバーで「壁が飛ぶ隙を狙ってグラウンダーでシュートしてくるのはセコイ」などと管を巻くのと同じレベルに過ぎない。

まず、より重要なのは、学園側が説明したとおりに安倍首相との面会が虚偽であったとすれば、獣医学部設置や補助金の申請許認可の判断にどの程度の影響があったのかどうか、政権や自治体にその検証を迫っていくところからだ。それについては安倍政権を支持する国民も公金の問題だから違和感は少ないだろう。

そもそも、首相や加計氏が嘘をついたとかつかないとか内心の問題を立証したいのなら、そうやって外堀を丁寧に一つ一つ埋めて迫っていくものではないのか。そんなに安倍首相や加計氏が「極悪人」と信じるのであれば、雑な追及から卒業し、ヤメ検の弁護士から捜査実務的な立証マインドを学んだ方が良い。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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