利益が出ない?不動産の正しい情報をアップデートせよ!

2018年06月27日 06:00

写真左:池田さん、写真右:福田編集長(ソーテック社)

オリンピックの影響だろうか、最近、不動産関連の営業電話が増えたように感じている。「○○でオイシイ物件があります!」「流動性が高くて利回りの良い物件があります!」。しかし、確実に儲かる物件など存在しない。相手の営業トークについては充分に精査したほうがいいだろう。さらに、自らが目利きになる必要がある。

不動産は景気の影響を受けやすいので、景気の将来的な予測をしなくてはいけない。最近であれば湾岸エリアは建設ラッシュだったが、供給過剰になりつつある。物件が売ればければ供給過剰になることは当然であり、売れ残る物件が発生する。売れ残った物件が投げ売りされたら、価格の下落を引き起こす。

今回は、『知りたいことが全部わかる!不動産の教科書』(ソーテック社)を紹介したい。著者は、池田浩一さん。宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者。不動産業界に精通したベテランでもある。

売主しか知らない事情を聞きだす

不動産の大枠を知る内容ではなく、具体的に知っておきたいこと、知らなきゃいけないことはなにか。そのポイントを確実に網羅するにはどうすべきか。

「不動産調査を行ううえで最も大切な業務、それは『売主へのヒアング』です。法務局や役所での調査よりも現地における調査を優先しなければいけません。現地における調査を優先する理由は、法務局や役所の調査だけではわからない事情、すなわち『売主しか知らない事情』を聞き出すことにあります。」(池田さん)

「売主からヒアリングしたことで、法務局や役所における内容を決定したり、調査方法を大きく変更することもあります。売主しか知らない事情とは、売却の動機、残債務などの財務状況、建物、設備類の不具合の有無、過去の修繕やリフォーム履歷、隣接地との境界、越境に関する取り決めに至るまで、内容はさまざまです。」(同)

池田さんは、過去の建築物の存在や地中埋設物の有無を知ることで、売却時に必要とされる対応や費用を試算することも可能になると解説する。ほかにも、火災、浸水、自殺、他殺などの事件、事故、反社会的組織の有無など内容次第では慎重な対応が求められる。

「なかには、相続によって所有者が何代も変わってしまい、詳しい事情がわからないことがあります。今後の対応に不安を感じている売主も多いので、まずは売主と協力しあい、調査を進めようとする姿勢がなにより大切です。」(池田さん)

「売主へのヒアリングを繰り返し行い、『売主しか知らない事情』を詳しく聞き出すことで信頼関係も深まります。不動産の過去、歴史、現在の状況を知ることで、売主に対して不動産の今後の未来を提案することが可能となるのです。」(同)

売主に重要書類を用意してもらう

売主しか知らない事情を聞きだしたら、売主自身に重要書類を整理し用意してもらい裏づけをとらなければいけない。留意すべきポイントはなにか?

「売主立会いのもと、現地調査を行うときには、『権利証』『登記簿謄本』『筆界確認書』など、できるだけ多くの書類を準備してもらうようにしましょう。手元に多くの書類があると、現地調査を終えたあと、法務局や役所での調査を進める際にも非常に役立ちます。特に、売主が物件を購入したときの『重要事項説明書』『売買契約書』『間取図面』などがあれば、より正確に調査を進めることができます。」(池田さん)

「『売買契約書』『領収証』などを整理し、購入時の取得費を正確に把握することで、譲渡所得など、売主の資金計画を的確にアドバイスすることが可能となります。人の記憶は曖昧なものです。当然手元にあると思い込んでいた権利証が見あたらないとか、あとから『隣接地との境界に関する覚書』が出てきたなんてこともあります。」(同)

本書は、不動産業界を網羅的に理解できる一冊といえる。不動産の営業は圧倒的に電話が多い。彼らは雄弁なので知識がなければ、まんまと乗せられてしまう。素朴な疑問を感じたら、まずこの本を読んでもらいたい。概ねの概要は理解できるだろう。

尾藤克之
コラムニスト

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尾藤 克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

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