サッカーW杯はルール違反の天国

2018年07月04日 06:00

大会公式Facebookより:編集部

スポーツというより興行

初のW杯8強を懸けて決勝トーナメントに進出、1回戦で惜しくもベルギーに破れました。「負けるが勝ち」みたいな戦法をめぐり、賛否が分かれたポーランド戦と打って変わって、今後の日本サッカーに期待を持たせる大健闘をたたえる声が内外から聞かれます。その頑張りで「負けるが勝ち戦法」も話題から消えていくことになるのでしょうか。

ただし、「俺が日本人でなければ、この試合(ポーランド戦)は見ていなかっただろう。もっと攻めの姿勢を世界に見せるべきだった」との本田選手の言葉に、私は賛成です。

「負けるが勝ち」論争より、私はもっと現代サッカー論におめにかかりたいのです。例えば、「サッカーは純粋のスポーツというより、興行に近いスポーツだ。だからルール違反規則の適用も厳格でない」といういうような論評にもっとお目にかかりたのです。

フェアプレーより盛り上がり

多くのスポーツも商業主義化、興行化し、ビジネス化しています。中でもサッカーは、その最先端を行っています。「面白ければよい、盛り上がる方がよい」が優先されるようになり、ルール違反のプレーもプレーを盛り上げるために、影で奨励されているのだろうと思います。

手や腕を使うハンド(ハンドリング)はルール違反なのに、審判の死角で見つからなければお咎めなし、審判もしばしば見て見ぬふりです。ルール違反をいかにうまくやるかですかね。スポーツの王者といわれるほど人気があるのに、スポーツを通してフェアプレー精神を磨くこととは縁遠い存在です。

いつの大会のことだったか、W杯の総収入は2、3000憶円、放映権料も2000憶円という記事を見かけました。主催者はぼろもうけができる。参加チームも勝てば多額のカネが懐に入る。放映すれば、広告収入が入る。「負けるが勝ち」という戦法もとられるのでしょう。

メディアはサッカー論から逃避

大々的に報道されるW杯で、多発するルール違反、審判の黙認、ばれないハンド技術の練習の問題点などを解説する記事はほとんどお目にかかりません。多くの新聞、テレビなどはW杯の主催者側に回っていますから、サッカーの問題点を指摘すれば、自らの不利益を招くことになるので、敬遠するのでしょう。

日本対ベルギー戦を見ていましたら、とにかく多くのルール違反が見逃されていました。「コーナーキックで飛んできたボールをヘッディングしようとしたところ、相手側の選手が腕を使って、よろけさせた」、「ゴール前でボールを蹴ろうとした相手選手のユニフォームを両手でつかみ、引っ張った」。審判がペナルティーを科すひどいケースはともかく、見逃されることが誠に多いのです。

見逃しはまだまだあります。「ボールを受けようとする選手を両腕を使って押しのけた」。特に目についたのは、相手のユニフォームの袖や裾をつかみ、引っ張る行為でした。足を引っかける行為は巧妙になされるほか、もみ合っているうちに足がひっかかることもあるでしょう。審判も厳しく対応するため、見逃すことは少ないように思えました。

競技規則では、ハンドの判定として、「ボールを意図的に触る」ことは禁止されています。あまり頻繁に警告していると、試合の進行を遅らせるので、あまり重大でない違反は不問に付し、見逃すのだそうです。そうだとだとしても、ゴール前の競り合いで、ユニフォームの袖、裾をグイと引っ張る違反が相当数、見逃されているのはどうしたわけでしょうか。商業主義的な興行に徹するのでしょう。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2018年7月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

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中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

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