トランプ政権の追加関税、気になる経済的なインパクトは?

2018年07月05日 06:00

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は6月13日、FOMC後の記者会見で「経済は素晴らしい状態にある」と発言しました。その一方で、気になるトランプ政権の保護主義的な通商政策については、企業が懸念を寄せていると説明した程度でした。

しかし、年4回利上げに慎重な気配を漂わせるアトランタ地区連銀総裁など、通商政策をめぐり成長に「不確実性」を与えうると慎重姿勢を示します。同じく年4回利上げを表立って主張してこなかったカプラン総裁率いるダラス連銀も、それほど楽観的ではありません。鉄鋼・アルミ関税措置の経済下押し効果につき、0.24%ポイントと予測していました。ちなみに、ゴールドマン・サックスはでEU、カナダ、メキシコへ対象を拡大した鉄鋼・アルミ関税発動での経済下押し効果を5月末時点で0.15%ポイントと、ダラス連銀より限定的な見通しとなっています。

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(作成:My Big Apple NY)

一方で、タックス・ファウンデーションは太陽光パネル・洗濯機に始まり鉄鋼・アルミ関税、対中関税など発動済み措置に加え、自動車関税や相手国からの報復措置など潜在的な効果も含めて試算しました。詳細の結果は、以下の通り。

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あらゆる措置が講じられた後でも成長下押し効果は、0.44%程度といいます。ダラス連銀と比較すると、楽観的に見えますね。共和党に近く保守派寄りの団体と目されがちなタックス・ファウンデーションですが、自由貿易の観点から米経済を圧迫するとの見立ては示していないようです。

とはいえ、こちらで指摘させて頂いた通り建設資材コストが上昇するなど業種別で収益を圧迫するリスクは大きい。なお金融危機前の2006年頃、住宅投資のGDPシェアを理由にサブプライム危機は発生しないとの指摘が多数派でした。Fedも同様の見解だった点を、申し添えておきます。

では、肝心のトランプ政権の見解はどうか。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、米株強気派のケビン・ハセット氏率いる大統領経済諮問委員会(CEA)は、ホワイトハウスの会合で経済効果に関わる回答を避けたといいます。クドローNEC委員長はトランプ政権の成長目標3%達成に自信を表明していますが、CEAと同じく試算を提示して頂けないのは心許ない限りです。

(カバー写真:Wade Bryant/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年7月4日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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