世界のMICEはカジノ収益で支えていなかった!

2018年07月19日 06:00

本当に、IR法案大詰めですね。
あの杜撰なカジノ依存症対策のまま通過してしまうのでしょうか?
最後の最後ですけど是非こちらもご一読下さい。

IR法案大詰め!カジノ依存症対策ここを改善して欲しい

さて、昨日はカジノの噂がずっと絶えない横浜で、山下埠頭を取り仕切っていらっしゃる、横浜港運協会さんが「カジノなしのMICEを作る
とのことなので公開講演会に行ってきました。

会場に到着すると確かに藤木幸夫会長が、我々はカジノなしでMICEを作る!
と宣言されたので、一体これはどういうことなのか?と興味深々でした。

会場は700人もの来場者でびっしり!
おまけに藤木会長が「田中さんどうぞ前へ!」と、
おススメ下さるので、前に出て発言させて頂く機会まで頂戴してしまいました。

さて講演会ですが、国際見本市の専門家のご講演なども交え、横浜港運協会さんのビジョンを伺い、
びっくり仰天してしまったのですが、なんとMICEってカジノなしで実現できるんだそうなのです!

でも政府の見解では、

「日本には大規模なMICEつまり国際展示場や国際会議場などなど、といったものがなく、ビッグサイトですら世界で77位という規模しかない。これは大きな機会の損失であり、成長戦略のためにも大規模な国際会議場や展示場が必要である。けれどもそれだけでは施設を維持できないので、施設維持のコストを支えるためにカジノが必要だ!」

という説明をずっとされてきたわけじゃないですか。

私なんかもすっかりその説明を信じておりました。
首相官邸のHPにも説明資料が載ってます。
諸外国におけるIRについて(首相官邸HPより)

ところが、そもそも国際会議場なんてせいぜい数百の人数が入ればいいわけで、しかも4年に1回程度しか世界会議なんか開かれないので、それはそんなに大したことではないのだそうです。必要なのは国際展示場であって、しかもこれは大規模なものを作れば、それだけで十分収益があげられるものなのだそうです!

で、世界の大規模展示場ですが、そもそもそこにカジノを併設しているのなんて、ラスベガスと、マカオとシンガポールくらいなのだそうなんですね。他では別にカジノなんかなくても十分やっていけているのだそうです。

だとしたら政府は、上記の資料なども、都合のいい事実だけを切り取って伝えていることになりますよね?
野党は、この辺何故突っ込まないのでしょうか?

しかもですよ、驚いたのはラスベガスは、カジノだけでなく全米最大の「見本市都市」であって、
総展示場面積は43万㎡もあるんだそうなんです。
そしてラスベガス市の最大の収入源はなんと!
「カジノではなく見本市」と、市が2006年に公式発表しているのだそうです。

ひぇ~~~~~~!今の今まで信じていた、「国際展示場はカジノの収益で支えている」という、政府の見解はなんだったのでしょうか?実際は、カジノより展示場の方が儲かっていたなんて!

では、何故展示場はそんなに収益が上がるかと言えば、そもそも展示場を作るのに、大理石なんか使ってゴージャスに作っているのって、日本のビッグサイトぐらいなもので、他はもう全然お金をかけずに、だだっ広いものを建てるのだそうです。

つまりイメージは、コストコさんとかイケアさんの倉庫みたいな感じですね。
だから余裕で採算が採れてしまうのだそうです。

ちなみに、世界1位と3位の国際展示場を持っているのはなんとドイツだそうで、
世界一の広さを誇る、ハノーバー展示場の公式HPを見てみると、
建築に詳しいわけではないので良く分からないですけど、確かに体育館みたい…かな?と思いました。

Deutsche Messe, Hannover/Germany(HPより)

また、もし展示場自体で採算なんか採れなくても、成立する商談による利益が莫大な上、地域に雇用が生まれ、なおかつ商談に来る方々は、海外のリッチマンなので、地域経済にお金を沢山落としてくれるのだそうです。

だから大規模展示場は十分に採算がとれる!とのことで、横浜港運協会さんでは、地域の人間で良い循環を作っていけば採算は取れるし、市の財政にも協力できる!との見解を示されているんですよ。

最後の横浜港運協会さんのスライドの決めゼリフがめっちゃカッコよかったんですが、
「波止場-悪い波を止め、健やかに発展する。山下埠頭はこれからも波止場」

どうですか?皆さん。
私は、経済学者じゃないですから、この辺の政府見解はすっかり鵜呑みにしてましたが、
まさか真実はこんなことだったなんて…唖然、呆然です。
MICE作りたいだけなら、いらないじゃんカジノ…

というか、なんでこんな目くらましの様なことをするんでしょうか?
「カジノという新しいギャンブルで、経済成長と税収をあげる!」
と言うことが憚られたからでしょうか?

良く分かりませんが、委員会の答弁では具体的なことは何も答えず、しかも政府見解は、世界の事実とは全然違った……

本当にこのままでいいのか?と、いやこんな風にこれからも誤魔化され、
ギャンブル依存症対策もうやむやにされたまま進むのではないかと、
相変わらずIR法案には不安でいっぱいです。


編集部より:この記事は、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2018年7月18日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。

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田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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