NHKクールジャパン「マナー」の巻。
マナーには世界共通の正解はありません。外国の皆さんには理解できずに、戸惑うこともあるでしょう。良し悪しじゃなくて、違い、なんですよね。で、「ヘン」だと思うマナーを挙げてもらいました。
「見えなくなるまで見送る。」
それがおもてなし。相手への思いやり。一期一会を大事にします。また会えるからとは思わないんです。その時々の出会いと別れを重くとらえて、その人への思いをしっかりと残すんです。
「座って足を組まないで揃える。」
日本人は正座。あぐらのように足を前に組むのはラフ。大切な人には足を向けて寝られないという考えがあって、足の先やウラを相手に見せるのは失礼なんです。ま、正座がきちんとした座り方になったのは畳が登場した江戸時代なんですが。
「目上の人が揃うまで飲まない。」
横並びの縦社会のけじめ。儒教の影響もあるんでしょう。そして、はじめに乾杯したり、おわりに一本締めしたりして、きちんとするんです。
「電車の中で携帯で話しちゃダメ。」
電車って世間というか社会なんですね。公共空間では、みんなにアナウンスする音は大きくても気にならないんだが、プライベートな話が気になるんです。それを「おもいやり」のルールにしてるんでしょう。
見えなくなるまで見送ったり、足をそろえたり、電車でケータイを控えたりって、ぜんぶ「おもいやり」と「おもてなし」ですよね。それが行き過ぎて不思議に見えることもあるけど、カワイイ不思議さじゃないですか。不思議で結構、だと思いました。
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「部活」の巻。
ネットでは日本の部活を撮影した動画が人気で、ブカツって入れると各地の学校の動画が大量にヒットする。「キャプテン翼」とか「スラムダンク」とか「テニスの王子様」も「けいおん!」も、海外で人気のマンガやアニメにはブカツのお話が多いですからね。
「厳しい部活」
日本の学校は勉強だけじゃなくて人間形成を重視する。友情とか団体行動とか、礼儀や挨拶、連携や鍛錬、っていうことを大切にする。ヨコの関係だけではなくて、タテの関係も学ぶ。勉強以外に、そんなことも教える日本の先生はホント大変です。
「まちおこし部活」
地元愛なんです。お金儲けが目的じゃない。地域を何とかしたい。っていうモチベーションが原動力。学生たちも、過疎や高齢化に対する危機意識や地元への問題意識がある。それで地域の人達と触れ合う。活動を通じて町が好きになる。それがヒット商品を生んだりする。素敵。
「すもう生活」
スポーツで学校をPRしたり、そのために越境入学を認めたりするのは、よく見られます。でもプロになってスポーツで食っていけるのはほんの一握り。プロになれなくても生きていけるように、先生たちは、勉強もさせて、人格も形成して、っていう教育をする。豊かなシステム。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2018年7月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。