教室で「つい怒っちゃう」という相談

2018年08月19日 06:00

先生がイライラする時。 様々な研修や講演で、若い先生から一番相談が多いのは「つい怒ってしまう」「怒鳴ってしまう」というもの。

安定的に子どもたちの前に立てない、という相談。

どう話すといいだろう?と考えたときの4年前のメモ。

なぜぼくたちは、怒ってしまうのか?イライラしてしまうのか?
自分で思い返してみる。
例えばぼくがイライラしている時って、 「自分の見通しと違う時」。

言い換えると、「自分の思っていた通りにならなかった時」。 残念な理由だ…

例えば、朝自習を見に行って騒いでいたとする。 その時間にやることは黒板に書いておいたし 、騒いじゃいけないこともわかっていたはずだ。 当然静かにやっているものだという「見通し」を持っていた。

ところがワイワイ騒がしい。若い頃は、例えばそういう場面でぼくはイライラしてしまうことが多かった。

ある程度経験を重ねると、似たようなシーンは何度も体験してきているので、そういう気持ちがわき起こってきても、すっと収まって、「何が原因だろう?」と、スッとひいて考えたり、聞けたり、観察できたりすることが多くなった。

そうすると、自習の時に騒いでいた原因って、
「ついしゃべってしまいたくなる自習内容だった」とか、

「直前まで静かだったけれど、トンボが窓から入ってきて大騒ぎになっていた」とか、

「週明けで、なんとなく気持ちが落ち着いていなかった」とか、

「次の時間の社会のプレゼンが気になっていて、相談していた」とか、

「誰かがおならした」とか、

まあ、その場によっていろいろあるわけだ。

ちょっとおちついて考えたり、子どもたちに聞いたり、観察したりすれば見えてくるのに、ぼくらは瞬間的に「反応」してイライラしてしまう。
時には怒ってしまう。

他に例はあるかなあ。そう例えば忘れ物を繰り返す子。なんで毎日言ってるのに忘れるの!となってしまったり。 「ここでちゃんと身につけないと将来困るから」 なんて、ぼくらは自分の怒りを正当化するし、それはすこしは「正しい」。

でもその子も、遠足のお菓子は絶対忘れないし、お楽しみ会の衣装もしっかり持ってくる。 もしかしたら、家庭環境で忘れ物をしない、というのがなかなかハードルの高いことなのかもしれないし、そもそも困っていないかもしれないし、忘れ物0の人も、実はお母さんが全部やってくれている、なんてこともあるわけだ。

そう考えると、何がいいことなのかなんてけっこう怪しい。

なのにぼくらはイライラする。
もう少しその「反応」を深めてみよう。 ぼくらはなぜ、「自分の思い通りにならなかった時」にイライラするのだろう。 自分の言ったことを聞かなかったから?「従わなかった」から? じゃあなぜ聞かないとイライラするのだろう? 「自分のことをないがしろにされた」「軽く見られた」、もっというと「バカにされた」と思ってしまっているんだろうか。

自分が言ったことをあなたはやるべきなのに、やらなかった。 あなたは私のコントールに従わなかった。
ここにイライラの原因の一つがある。 ということは、その根っこには「相手をコントロールしたい」と思っているぼくがいる、ということだ。

そうか、「コントロールしたいのにできなかった」ということへのイライラだったらしい。 そう思って、今までの怒り体験を思い返してみると、結構当てはまってしまう・・・・ぼくらの持っているコントロール欲求はなかなかやっかいだ。

イライラするのは感情なのである程度しょうがない。自然に反応してしまっているのだから。 もちろん改善の余地はあるだろうけれど、そう簡単には変えられそうにない。「なぜ怒ってしまうのか」と自分に問いを向けても、「わかっちゃいるけど怒っちゃう」と自分 を責めて終わりだ。

じゃあぼくらはどうすればいいんだろう?

イライラという、その感情の先に、どう行動するかは、ぼくたちの手の中に選択肢がある、はずだ。どんな選択肢があるだろう?
先ほどの忘れ物の場合。イライラを感じたら、その感情を受け止めつつ、ふうーっと深呼吸。「間」をとってみよう。

怒る以外のポジティブな解決策ってないかな?と考えてみる。

  • 「そっかあ。じゃあ今日はどうすれば困らない?」と一緒に次の策を考える。
  • 忘れ物の多いものはレンタルを用意しておき、「あそこから借りて返しておいてね」と伝える。
  • 「忘れ物0作戦」を本人と一緒に考える。
  • ぼくのをサッと貸す。
  • 「じゃあ今日は参加できないねえ。見て学ぶことにしようかー」と言う。
  • 「他のクラスの人やクラスの人に借りられるか相談してみたら?」と伝える。

例えば事前に学級のルールとして、

「忘れ物をするのは人間だからしょうがない。ぼくもしょっちゅうするし…忘れた後が大事だものね。自分が困ったり、他者に迷惑をかけないように手を打っておこう。友達に見せてもらう約束をしたり、他のクラスから借りておいたり。どうにもならないときは、その時間が始まる前にそうだんにきてね。始まってからだと、 他の人を待たせることになるから、必ず事前にね。
困った時に周りに見せてもらえるように、普段から親切にしておいた方がいいよー。普段鼻くそとか隣の人にくっつけてたら、いざというとき貸してもらえないからね 。笑」

なんて話しておくのはどうだろう?

自分がイライラする場面を思い起こし、イライラしたら、まずはそのイライラの感情を受け入れた上で、でもぼくらはプロなのだから、その感情を素で外に出さない。

危ない時は、ふーっと深呼吸。
落ち着いたら。 この場面でどんな選択肢があるのか?を考えて、冷静に分析して行動する練習をしてみよう。 コントロールを手放して、子ども自身が自分で選択して行動できるよう、場と環境をつくっていってみてはどうだろう。

とはいえ夏休みの宿題がたまっている我が子を見ると、つい反応して「ちゃんとやりなさい!」なんていいたくなるんですけどね・・・・・・・

言うは易く行うは難し。横山はやすし。


編集部より:このブログは一般社団法人「軽井沢風越学園」設立準備財団副理事長、岩瀬直樹氏のブログ「いわせんの仕事部屋」2018年8月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は岩瀬氏のブログをご覧ください。

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岩瀬 直樹
一般財団法人「軽井沢風越学園設立準備財団」副理事長

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