「防災省」はいらない

2018年08月25日 06:00

自民党総裁選に向け、石破茂氏が「防災省の創設」を提唱されています。
防災省は必要なのでしょうか?

私の考える結論を言うと、防災省じゃダメです。

私は4年前の広島土砂災害と、今回の西日本豪雨災害しか経験がありませんが、復旧復興の行政過程のなかで、県と政令市とが対等な関係であるための弊害、広域災害における指揮命令系統の難しさ、というものを随所に見てきました。

災害対策本部を作っても、広域災害のケースや、県・市が対等な場合、災害対策本部長を各自治体の首長全員が務めるということになってしまうと、迅速な意思決定が出来なくなり、誰も責任を取る必要がなくなります。

防災省を作る、ということは、横並びの組織をもう一つ増やすことにしかなりません。それに結局、復旧復興の手足は国交省、みたいなことになるに違いありません。国交省が優位に立って、防災省は三流官庁となり、存在感を発揮することは不可能でしょう。

せっかく新しく省を作っても、他の省庁と並び立って意思決定にいっそうの時間がかかるのが目に見えています。災害時に必要なのは、現場にある程度の裁量を持たせながら最終的には責任を取ってくれる存在、なのです。頼れるアニキ、みたいな。

問題は、省庁の有無ではなく、トップダウンの意思決定プロセスへの改編なのです。

ですから私は、防災省ではなく、総理官邸直轄の、内閣官房の組織として、防災のプロフェッショナルを育成しプールすべきだと考えます。そして、激甚災害の時には、内閣官房が実質的なリーダーシップをとり各省・各自治体に命令を下す、という意思決定プロセスを確立すべきです。

現在の大規模災害発生時には、総理が本部長となった災害対策本部が官邸に作られますが、調整機関では意味がありません。地方自治の精神、などはいったん棚上げして、各省の持つ制度を最大限に活用するため、危機管理能力の劣る自治体が国の制度導入をするための裏付けとして、そしてさらに、財政力のない自治体を側面支援するためのものとして、自治体や各地方出先機関に命令してくれる機関が必要なのです。それは総理官邸しかあり得ません。

西日本豪雨災害のように限定的な広域災害ですら、指揮系統が混乱し、なかなか事が進まないのですから、南海トラフ地震や首都直下地震を想像すると一刻も早く、官邸が責任を負う、「調整機関」ではない、指揮「命令」系統を作るべきだと思います。

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河井 あんり
広島県議会議員(広島市安佐南区選挙区、自民党)

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