「ユヌス家族会議」を開催しました。

2018年08月30日 11:30

「ユヌスよしもとソーシャルアクション」のキックオフとして、東京・ペニンシュラホテルにて「ユヌス家族会議」を開催し、ぼくがモデレータを務めました。

前半が講演・鼎談、後半が芸人や企業を交えてのビジネスミーティングです。メモします。

講演・鼎談

まずはグラミン銀行創始者でノーベル平和賞授賞のムハマド・ユヌスさんが講演。

グラミン銀行はポケットマネーから始まった。信頼は陳腐化していると言われているが、貧困者に貸したお金は返ってきた。批判者もいる。しかし、自分が信じていることを実現する。グラミン銀行がスタートして41年。現在900万人の借り主がいる。

全ての人間が無限の創造能力を備えている。ソーシャルビジネスは人々が持つ能力を開放する。吉本は芸人の能力を最大限に開放する。人々が共感し、それぞれの持つ能力を開放し、素晴らしい地球を生み出すことがソーシャルビジネス。

これを受けて、一橋大学・野中郁次郎先生を交え鼎談。野中さんはこう語ります。

ソーシャルは人と人との関係性を示す言葉。共感が最重要。人と人とのインタラクションの中で新しい意味や価値、知識を生み出す。笑いも共感を生み出すアート。自分の想いを三人称にしなければ世界は変えられない。その間に二人称が確立(共感)できなければイノベーションは起こらない。自分の主観を二人の主観にし、それからみんなの主観にする。共感はAIでは置き換えられない人間の独自の能力である。暗黙知と形式知を絶えず回し続けることが重要。

お笑いの会社の吉本にできますか?

【ユヌス】:吉本には力がある。芸人たちの能力と創造力がある。自分の持つ力を解き放つ力がある。無限のことができる。人間は共感できる能力を持っている。資本主義で私たちは目が見えなくなっている。そこに共感の目を与える。その点、吉本は素晴らしいことができる。

芸人は共感を持たせる能力が高いでしょうか?

【野中】:お笑いは顧客の視点に入り込んでいって新たな価値を生む。まさにアーティスト。オチがある。新しい意味や価値を生む。イノベーションの作法が根本的にある。住みます芸人は、地域の人が気づかない点に気づいて、新たな価値を生み出すことができる。

吉本の企画をどう見ます?

【野中】:企業が専門別にサイロ化していることが問題。それぞれが最大化しようとすることで共感が得られなくなっている。それをぶち破って相手と共感しながらアートとサイエンスを総合することがイノベーションの発端。そのときに笑いを生み出す能力はアート。

ビジネスミーティング

課題1:「老人の一人暮らし」

銀シャリのネタに続き、うっほ菅原(千葉)、アンダーエイジ熊谷(岩手)、オジョー(北海道)の住みます芸人が地域の実態と悩みをプレゼン。

これに対し、企業からの提案が相次ぎました。

・ミライロ:いかに外出しやすくするかが課題。日本はバリアフリーが進んでいる。ミライロではBmapsというアプリでバリアフリーの店舗情報を配信している。

・Momo:お年寄りの抱えている問題をシステムに上げることが難しい。MomoでパレットIoTを用いて自動管理できるようにする。

・リデル:リデルでは2万人のインフルエンサーが活動しているが、シニアインフルエンサーが増えている。地域活性化にソーシャルメディアを使う。

・Vikona:年配の方に向けたマッチングアプリが国内にない。「JOIN US」高齢者バージョンを作成し、コミュニティーを広げる方法もある。

【ユヌス】:定年退職という言葉がよくない。芸人も芸術家も料理人もクリエイティブに定年はない。捨て去られたという感情を抱かせてはいけない。引き続きアクティブな生活を送ってもらうための環境づくりが必要。

【野中】:人間の知力はセンサーとして他者と共感を結べない限りは知的に劣化していく。新しい自律的な意味を生み出せるような仕掛けと作り出していくことが重要。老人をよりクリエイティブに向かせるために、心理的限界への働きかけはできる。

課題2:「シャッター商店街」

ダイノジ大谷と神奈川住みます芸人囲碁将棋のネタに続き、桂三河(秋田)、ちゅ~りっぷ(静岡)から報告。

・コルク:沖縄国際映画祭と連動したシャッター街映画祭。シャッターをスクリーンにし、沖縄で流す映画を流して同時開催。来場者数をポイント化し、住みます芸人に付与。

・フーモア:最近コラボカフェが流行っている。住みます芸人とフーモア所属のイラストレーターをコラボさせて定期的にカフェを開いてはどうか。

・Hot Spring:名刺サイズのデバイスを使った商店街でのサバイバルゲーム。商店街にアイテムを散りばめ、地域のものを買ってパワーアップなどができる。LIVE配信し、各地で応援も。

・MotionGallery:商店街の空き店舗を地域の人のアイディアでリノベーション。新しい店舗の誘致。クラウドファンディングでお金を集める。オフラインからオンラインへ。

【ユヌス】:若い人は職や生活の価値を求めて都会へ出ていく。人がいないと商店街がシャッター街になるのはしょうがない。しかし、仕事はどこでもできる。高齢者をまた学校へ行かせたらどうか。高齢者と若い人が共存し、共に学ぶ。ビジネスを一緒につくる。

【野中】:徹底して善意でソーシャルビジネスをやるだけでは成功しないので、市場メカニズムをつかいながら利益に還元させていく。行政は縦割りなので、共感をベースにどのようにして連携するかを考える。行政が踏み込みながら市場機能を利用する。境界を超えた知を総動員する。

課題3:「農業の担い手不足」

ゆりやんレトリィバァのネタ、ぴっかり高木(山梨)、突撃パイナップル(鹿児島)、なみちゃん(沖縄)からの事例紹介。

・ジモティー:収穫期の課題が人手不足で顕著。住みます芸人を先導者とし、収穫期をスポット的に手伝うキャラバン隊などを編成し、収穫を手伝うのはどうか。

・ポケットマルシェ:農業者は”おいしい”を売ってきたが、”たのしい”も売る。収穫体験をエンタテインメントとする。農業者や漁業者をエンターテイナーにする。

・SHOWROOM株式会社:農業へのチャレンジをコンテンツ化する。人から見られることで増す楽しさがある。挑戦者をヒーロー化する。LIVE配信で共感を作る。

・Voicy:地方でヒーローを作る。方言と文化が大事。47都道府県の方言チャンネルをつくって、地元の魅力を発信。オリジンリティのあるコンテンツをつくる。

・リバネス:子どもたちがわくわくするような教育コンテンツを農業現場でつくれればいい。

・BIJIN&Co.:クラウド上でキャスティング。活躍の機会をクラウド上で提供する。

総括

【坪田塾・坪田】:クラウドギャザリングで人手を集める。yySA ファンドを立ち上げ、コンペyySA-1グランプリを開催する。スタートアップ企業と事業計画を考え1件300万円の資本金を元に事業を始める。

【ユヌス】:バングラデシュでは農家は都市へ出稼ぎに出ないといけなくなっていたが、マイクロクレジットで解決した。農村から都市部への移動が減った。若者たちは起業家に。それに対し投資を行う。小さな変革でも最終的には大きな変革になる。

【野中】:個別具体のアクションになるような提言でなければ面白くない。グラミン銀行は具体的なアクションだった。チームとしてイノベーションを起こす。スクラムを組むのは日本の強み。お笑いをベースにした総合劇で日本が変わる。

【中村】:この活動は、世界共通の17の目標である国連の「SDGs」にも関係している。吉本は昨年からSDGsの取組みにも注力している。今回のプロジェクトはそのゴールにむけて、アクションを共有するもの。全国の地べたから問題を「わろてんか」ですくい上げ、新しい解決法を、IT企業、大学、みんなの力で進める。それをユヌス流のビジネスにして、続けていく。壮大なチャレンジとなる。新たな家族、コミュニティを作りながら進めたい。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2018年8月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。

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