装輪自走155ミリ榴弾砲の採用は、来年度やめたほうがいい

2018年10月08日 06:00

来年度防衛予算では装輪155ミリ榴弾砲が7輌 48億円+初度費17億円が要求されています。

結論から言えば少なくとも採用するかどうかは来年度予算ではやめたほうが無難です。

提供:防衛装備庁

再来年以降の新しい防衛大綱で火砲の定数がどうなるかわからないからです。
仮に200輌まで減らされたらどうするんでしょう。FH70どころか99式を廃棄する必要があるでしょう。

更に申せば、榴弾砲よりも旧式化した冷戦タイプのMLRSの更新の方が急がれるはずです。搭載弾数は半分ですがトラックに搭載型のM142 HIMARS(High Mobility Artillery Rocket System = 高機動ロケット砲システム)のようなものにする必要があるでしょう。これならC-130でも輸送できます。またこれにATACOMSのような短距離弾道弾を搭載するかどうかも検討すべきでしょう。

その数も問題となるでしょう。特科(砲兵)のポートフォリオを決定するほうが先です。

装輪自走155ミリ榴弾砲は、重量は26トンほどと見込まれておりサイズ的にはC-130での輸送はできず、C-2で輸送が可能とされています。ところが調達数の少ないC-2は有事に他に運ぶものが多く事実上運べない。であれば空輸は事実上できない。

仏軍のカエサルは6輪で重量17.7トン、装填は手動で装甲キャブを装備。C-130で空輸可能です。また輸出用のカエサル8輪は装甲キャブ、自動装填装置を装備しています。

対して装輪155ミリ榴弾砲は8輪だがキャブは非装甲、自動装填装置もない。能力に対して重量が重すぎるのではないでしょうかね。

またネットワーク化、それに精密誘導弾の導入(その誘導部隊も含めて)、前方観測部隊の近代化の問題も手付かずです。砲のプラットホームだけ変えて何をするんでしょうか。

更に申せば、むしろ30~40門のM777あるいはこれを搭載するポーティシステムでも導入する方が、島嶼防衛も含めて、遥かに運用上有用ではないでしょうか。日本製鋼所に仕事を回すことが「戦略目標」になってはいないでしょうか。

M777は砲身長が短かく、UH-60で空輸可能なバージョンも開発されている模様です。これを通常とM777と併せて導入し、またネットワーク化や精密誘導弾の導入などを行うほうが費用対効果上よろしいのではないでしょうか。

もっと申せば、ソ連が崩壊した後に冷静型の重たく戦略機動力が低い99式を調達する必要があったのでしょうか。つくっちゃったから仕方ないとつい最近まで調達してきたのは陸自、特に特科関係者の当事者意識&能力の欠如じゃないでしょうかね。せめて調達数を削減し、トラック搭載型の自走榴弾砲に切り替えるべきでした。

少ない予算を効率的に使えないのであれば、そういう組織の予算には大鉈を振るってよろしいのではないでしょうか。一回陸自の予算を半分ぐらいに減らしてはどうでしょうか。現状税金の無駄使いをすることが最大のお仕事としか思えません。

■本日の市ヶ谷の噂■
10日から開催されるテロ対策特殊装備展(SEECAT)は、自衛隊納入業者で同見本市に何度も来場し、出展を検討している某企業の役員の来場を拒否。セキュリティ対策がいい加減ではないのかとの噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年10月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

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