韓国との「国交断絶」は可能なのか?

2018年11月02日 15:00

どのように「国交断絶」するのか

10月30日、韓国の大法院(最高裁判所)は元徴用工4人に対する賠償金を支払うよう判決を下した。韓国の度重なる無法に対し、多くの方々が「もう、こんな国とは付き合う必要はない」との思いから「国交断絶」を主張されている。気持ちは分かるし、それができれば一番よいのだが、「国交断絶」は現実問題として難しい。理由は2つある。

NHKニュースより:編集部

第1に、日本のような法治国家が韓国の稚拙な言動に対し、「国交断絶」で報いるというのは国際社会に対し、恥ずかしい。そんな恥ずかしいことをしてしまえば、相手の思うつぼである。むしろ、韓国側が「国交断絶」を言うべきだろう。

韓国は1965年の日韓基本条約の国交正常化交渉が間違った不当な交渉だったと主張している。そうであるならば、韓国は正式に「日韓基本条約を破棄する」と言えばよい。それで、かつての国交正常化は白紙撤回となり、晴れて国交断絶となる。我々の側から言うべき筋合いのものではない。

第2に、「国交断絶」を実効性のあるものにするのは事実上、不可能である。仮に、首相や外相が「国交断絶」を宣言したとしても、「国交断絶」にはならない。「国交断絶」とは両国間の人的・物的あらゆる接触を途絶することである。(『大辞林』は国交断絶を「国家間の平和的関係を外交・通商・交通などのあらゆる面で断ち切ること」と定義している)

それらの全てを具体的にどのように、途絶させるというのか。人の往来は止めることができるかもしれないが、金融や通信のやり取りはどのように止めるのだろうか。止めるとするならば、どのような法的枠組みで行うのだろうか。そして、また、それをどのように監視し、違反者をどのように罰するのか。

北朝鮮と日本の関係のように元々、国交のなかった場合とは異なり、韓国と日本は様々な分野で密接かつ複雑に関係している。これらの絡み合った糸を一刀両断にできる法的枠組みはない。

言論人の中でも、「国交断絶」を主張する人はいる。しかし、それをどのように実効性のあるものにしていくかの具体的な提言をしている人はいないようだ。韓国に「できるものならばやってみろ」と言われないためにも、「国交断絶」の具体的な指針が欲しいところだ。

どのような制裁が有効か

ソウル日本大使館前の少女像(写真AC:編集部)

絡み合った糸を一刀両断にできない限り、部分的に糸を手繰り寄せて、どこを切るのが一番有利になるかを戦略的に見極めながら一つ一つ進めていくしかない。もどかしいが仕方ない。下手な切り方をすると、自分の手を切って痛手を被ってしまう。

通商規制、交通規制、為替規制、入国規制、在日韓国人の在留資格停止など、経済制裁を含め、どのような規制が効果的かを考えねばならない。特に通商規制などの経済制裁は日本にも損失が及び、痛みが伴うため、国民や経済界の支持や理解が欠かせない。政府だけが先走るわけにはいかないので、国民や経済界も腹を括るべきだ。

ただし、制裁手段を発動するのは、韓国が今回の判決を基に、いよいよ日本企業の資産を差し押さえに掛かり、実害が及んだ後でなければならない。今すぐ、発動せよとの声も多くあるが、まずは相手に手を出させて、「正当防衛の図式」を整える必要がある。いくら無法者が相手とはいえ、日本は大国としての威厳を保たなければならない。

「こんな国を相手にするな」、「無視しろ」という見解があるが、これもまた、韓国の思うつぼである。なぜならば、韓国は「我々の正義に日本が屈し、黙った」と喧伝するからである。いずれにしても、韓国をツケあがらせる甘い対応になっていけない。

韓国の幼児性につられてはならない

韓国が主張する「請求権は消滅していない」という論理に従うならば、 日本人が戦前、半島に残した財産への補償も行われるべきである。この補償額は膨大な金額になる。

しかし、敢えて、日本がそれを言うべきではない。1965年の日韓基本条約に付随する形で、「日韓請求権並びに経済協力協定」も同時に締結された。この協定の署名の日までの両国及び国民の間での請求権は「完全かつ最終的に解決」されるという立場を日本政府は一貫してとっている。

この立場を決して崩すべきではない。向こうが「請求権は消滅していない」と言うならば、「こちらも言わせてもらうぞ」という応酬では、日本自らが上記協定の大前提を壊すことになる。我々は韓国と違い、法治国家である。向こうが法の定めを壊したからと言って、こちらも壊してよいということにはならない。

「日韓基本条約の無効を宣言せよ」という言論人がいるが、そんなことをすれば、日本も無法者になってしまう。韓国がいつも一方的に約束を破っているとしてもだ。韓国側が無効を宣言するのは構わない。是非とも、そうしてもらいたいものだ。

くれぐれも、韓国の幼児性につられて、一緒になって踊る愚を犯してはならない。「国交断絶」と言うのは簡単だ。それこそ、大砲をブッ放っしてやれば、さぞかし気分も良かろうと思う。しかし、いかに無法者とはいえ、国と国との関係はそう簡単にはいかない。

繰り返すが、通商規制、交通規制、為替規制、入国規制、在日韓国人の在留資格停止など、どのような規制・制裁が効果的かをよく考え、それらを戦略的に組み合わせ、展開していくことが望まれる。従来のように、「抗議するだけ」ではお話にならないのは言うまでもない。

朝鮮属国史 中国が支配した2000年 (扶桑社新書)
宇山 卓栄
扶桑社
2018-11-02
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