ブロックチェーン×教育、始めましょう。

中村 伊知哉

超教育協会「ブロックチェーン×教育」トークイベント@慶應義塾大学三田キャンパス。
教育☓テクノロジーを推進する超教育協会は、AI、プログラミングなどと並び、ブロックチェーンのWGを立ち上げました。その第一弾です。

冒頭、超教育協会として、ブロックチェーンに関し、
1.教育への適用研究
2.技術者の育成
3.技術性能の向上
に取り組むことが表明されました。
実証研究に取り組んでいく予定です。

上海に本拠を置き、ブロックチェーンの分散型プラットフォームを提供する「NEO」と連携してまいります。NEOは「日本とともに、完璧なブロックチェーンのアルゴリズムを作りたい」とのことです。

NEOの上でブロックチェーンを使った楽曲の売買や音楽クラウドファンディングなどを行う「imusify」(ベルリン)が暗号通貨とP2Pでミュージシャンが収入を得る方法などを紹介し、これを教育にも利用できるのではないかとプレゼンしました。

imusifyの提案は、
1)成績表の管理:卒業証明の安全確保や学歴詐称の防止
2)生徒間のノートの売買
3)クラウドファンディング:学校の活動の資金確保
4)教員のスマート雇用契約:総務人事コストの削減
というもの。

1)成績管理や証明発行のブロックチェーン利用は耳にするところですが、ぼくは2)ノート売買や3)学校クラウドファンディングに興味がわきました。
ノートだけでなく教員が作った教材の流通・共有・管理や、学校への寄付などにより強いニーズがあるかも。

ウォレットを作り50通貨を扱う「オースリー」(オランダ)や暗号通貨の管理主体のないP2P取引所を開くスイッチオ(シンガポール)からは、こうした仕組みがさまざまな学校間で使えることを強調しました。
いずれのアプリケーションも学校の枠を超える、壁を壊す点に意味があります。

学校の枠を超える、壁を壊す。これぞ「超教育」が目指すところですから、ワクワクしますが、それは学校という機関を飛ばす分散構造をもたらすものであり、経営や教育構造も変え得る仕組み。普及が始まると、抵抗もあるでしょうね。
デジタル技術が先生を不要にする、という批判を受けたように。

パネル参加者からは、「ブロックチェーンの教育利用は世界的にもこれから。」「ブロックチェーンは新技術で、どう使えばいいのかがまだ明らかになっていない。」「ユースケースを見つけて使っていくことが必要。」というコメントが相次ぎました。
その状況を共有することがこのイベントの意味です。

技術を見極めつつ、実証や実利用を進め、その恩恵を学習者が得られるよう、取り組んでまいりたい。
ぼくが準備中のi大もそのテストベッドとして機能し、超教育協会の役に立ちたいと思います。
進めましょう。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2018年11月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。