韓国よ、いつまでも「憎悪」を弄ぶな!

長谷川 良

米国でトランプ大統領が就任して以来、リベラルなメディアによると世界で憎悪関連犯罪が増加してきたという。米国ファーストを標榜し、国境を閉鎖するトランプ大統領の政策が憎悪を増長したという理屈だ。憎悪を高めるためにはその対象を明確にする必要があるが、トランプ氏の場合、米国以外の外国人、移民ということになるというのだ。

9月の日韓首脳会談より(青瓦台Facebook:編集部)

トランプ氏の登場と憎悪犯罪の増加が密接な関連性があるか否かは慎重な調査が必要だが、憎悪という感情が世界各地で広がってきていることは感じる。ナチス・ドイツ政権で民族虐殺の悲劇を体験したユダヤ人民族などはその点非常に敏感だ。先月27日に米ピッツバーグのユダヤ教シナゴーク襲撃事件は世界のユダヤ民族に警鐘を鳴らしたばかりだ。

ところで、その憎悪の増長を抑制するのではなく、武器として悪用している国がある。日本の隣国・韓国だ。旧日本軍の慰安婦問題で日韓間で合意が実現したと思っていたが、「和解・癒やし財団」の取り扱いなどで再度問題化する気配が出てきたばかりか、韓国大法院(最高裁)が植民地時代の元徴用工の日本企業への賠償金請求を認める判決を下したのだ。河野太郎外相が「戦後の日韓関係を根底から覆す判決だ」と激怒したのも理解できる。韓国が憎しみを込めて隣国・日本へ襲撃してきたからだ。

一般の日本人なら「韓国人の日本憎悪はいつまで続くのか」とため息をつきながら嘆くだろう。日本が存続する限り、韓国民族の憎悪感情は消えることがない、という悲観的な見通しが出てくる。韓国政府は口では未来志向といいながら、対日憎悪感情を製品として世界に向けて輸出しているからだ。

文在寅大統領は敬虔なカトリック教信者だ。先日、バチカンを訪問し、フランシスコ法王と会見した。そしてカトリック教会を含むキリスト教会の教えのエッセンスは「愛」だ。右の頬を叩く者がいたら、左の頬を出せというイエスの教えを信じている人たちだ。歴史の皮肉かもしれないが、キリスト信者の文大統領が政権就任以来、反日感情が再び高まり、暴発する気配が出てきたのだ。

元徴用工への判決は単に1965年の日韓請求権協定を破棄するだけではなく、韓国の歴史から「日韓併合」を破棄するなど、韓国民族の建国史を根底からひっくり返す最初の一撃だからだ。

活動のためにはエネルギーが必要だが、韓国の歴史の見直しの原動力は文大統領が聖書の世界で学んできた「愛」ではなく「憎悪」だ。韓国は「憎悪」を世界に輸出している稀な国と言わざるを得ない。

「憎悪」という韓国製の感情を輸入した国を考えてみてほしい。得るものはなく、心の中に潜んでいるさまざまな「憎悪」が刺激されるだけだ。換言すれば、「憎悪」を輸入する国はテロリストを迎え入れているようなものだ。

「愛さなければならない」と語ったデンマークの哲学者セーレン・キルケゴールの言葉を思い出す。聖人ではない普通の人は愛するために必死の努力を払う。自然発露の感情から人を愛せる人はそれだけで神から祝福された人だが、大多数の人は愛するために努力しなければならない。その努力を放棄すれば、その瞬間、「憎悪」が近づく。

「憎悪」に身を委ねる韓国人は非常に危険な状況にある。「憎悪」という感情が独り歩きし、自己増殖を繰り返し、コントロールできなくなるからだ。

慰安婦問題、元徴用工問題を見てきた多くの日本人は「それほど日本民族が嫌いならば仕方がない。愛せと強要できないから、韓国に関心を払わない方がいい」と韓国に無関心となっていくだろう。

残念ながら、無関心は「憎悪」よりもたちが悪い。「愛の反対は憎悪ではなく、無関心です」と語ったマザー・テレサの言葉を思い出すまでもない。韓国の憎悪に対し、たとえ無関心で応戦したとしても日本人も傷つく。「憎悪」という感情はそれだけ破壊的なエネルギーを秘めているからだ(「韓国は『憎悪』を輸出すべきでない」2014年1月20日参考)。

隣国を選ぶことはできないし、過去の歴史を変えることはできない。与えられた枠組みの中で生きているのが日本人であり、韓国民族だ。日本民族に対しては、隣人に対し無関心に陥らないように願う一方、韓国民族に対して、繰り返すが、「憎悪」を輸出すべきではない。韓国製「憎悪」を輸入した国は韓国民族に同情し、ひょっとしたら憐憫するかもしれないが、決して尊敬しないだろう。先進国入りした韓国だ。「一番」をこよなく愛する民族だ。いつまで「憎悪」を弄んでいるのか。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2018年11月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。