日本は韓国に「防衛産業弱体化」という報復を徹底せよ

渡瀬 裕哉

韓国が火器管制レーダーを日本の哨戒機に発したことに逆切れし、日本の対応に逆に謝罪を要求してくるというトンデモぶり、の背景には何があるのか。最近の韓国政府や韓国海軍の日本に対する一連の横暴な振る舞いは朝鮮半島情勢の変化から生じていると考えることが妥当だろう。

官邸サイト、韓国大統領府FBより:編集部

韓国人の民族的メンタリティーなどの矮小な問題に物事を帰結するのではなく、現在の東アジア空間がどのような状況にあるのかを冷静に分析し、その上で日本政府は断固たる対応を実施すべきだ。

韓国が日本に横暴な振る舞いを行うことができる環境は、米朝首脳会談による米国と北朝鮮の対話ムードによって形成されている。つまり、米国による北朝鮮への軍事力行使という選択肢が排除された状態において、韓国にとって日本との連携を重視する必要性が落ちていると思うべきだ。韓国にとっては米朝衝突の可能性が極めて低いと判断するなら、日本との友好関係の構築は政治的にはデメリットしかない。

また、米国が北朝鮮に直接関与することによって、地理環境的に対北朝鮮政策でイニシアティブを取れるはずの韓国も米国に配慮して行動せざるを得なくなっている。したがって、文政権にとっては厳しい経済情勢の中で対外政策で支持率を繋ぎ取るための方法が限定された状況となっている。

韓国にとっては、本来は米国は中国に対面し、韓国は北朝鮮に対面するという構図が理想であろうが、トランプ大統領が習近平と金正恩の両者と直接話す以上、外交上の格の観点からどうしても韓国の小物感が否めない状況となる。

このような状況の中で、日本は北朝鮮外交から実質的に外された存在となっており、韓国にとっては何も配慮することなく挑発することができる相手ということになる。日本をどれほど侮辱したところ、日本は遺憾の意を示すだけの存在であり、北朝鮮情勢に対して何ら影響を及ぼす手立てがないのでやりたい放題できるからだ。

たとえ日韓関係がそれらの影響で悪化したとしても、日本はトランプ政権に追随するだけで米国の北朝鮮外交を阻害しないために、日韓関係を決定的に破壊するような制裁行為に踏み出さないと思われていることだろう。

日本が日本側の主張の正しさを国際的に示すことは重要であるが、外交・安全保障環境に影響を及ぼすことができない国家の力は知れたものでしかない。

さて、このような状況下において日本政府はどのように対応するべきであろうか。国際的に自らの正当性を主張することは当然のこととして、更に韓国海軍の継戦能力を削ぐための経済制裁などを実施していくことが肝要だ。

仮に米国が北朝鮮を本当に懐柔できるならば、韓国軍の矛先は将来的には日本側に向く可能性が高い。現在は日本と韓国は準同盟国であるが、それは北朝鮮という共通の敵国が存在していたからであり、今後向き合うことになる相手が中国とロシアとなった場合に韓国がどちらにつくかは予断を許さない。

したがって、日本側はこの機に乗じて韓国海軍関連企業に対する徹底した制裁を加えておくことが重要である。日本側は既に遅きに失したとは言えども、昨年11月に韓国海軍の基盤となる大宇造船海洋への公的資金投入についてWTOでの二国間協議を申し出ている。本来、2015年の公的資金投入直後に実施すべきものではあるが、隣国に対して腰抜け姿勢の日本政府が今更でも動いただけマシと言えよう。

今後、韓国の防衛産業基盤を徹底的に弱体化させることによって、日本に対する牙を削ぎ落すことを徹底していくべきだ。具体的には、「我が国防衛産業の輸出能力を高める」「我が国のODA援助国に韓国製兵器の採用を見直させる」ことによって韓国の防衛産業育成政策の根幹である防衛産業輸出(既に事故が発生しているが)を阻止するとともに、「韓国の軍事関連企業などの日本国内での商業行為を制限または禁止する」「韓国政府の産業政策を通じた公的資金投入などをWTOに積極的に訴えること」を実施すべきだ。

軍隊は基本的に国内企業の製品を買うことになるため、韓国防衛企業の競争力が低下することは日本の外交・安全保障戦略上の優位に直結する。むろん相手側も様々な制裁措置で日本に反撃してくるであろうが、日本側は韓国製品以外の代替製品を使うことで若干のコストが上がることを甘受すべきだろう。日本の国内市場の大きさは韓国に対して圧倒的優位であり、それらを最大限活用した対応を行うべきだ。米国が中国・北朝鮮と直接対応している以上、日本も韓国と多少揉めることになっても問題ないと割り切るべきだ。

また、北朝鮮情勢にほぼ関与できていない状況についても早急に是正し、こちらは敵基地攻撃能力を始めとした軍事力整備を徹底することが望まれる。いきなり敵基地攻撃能力を持つことが難しいというのであればサイバー攻撃能力を高めることに集中的に予算投下するべきだ。自衛隊は北朝鮮のサイバー部隊に伍するだけの能力を構築することが急務だ。高度化した産業インフラを防衛するとともに、万が一の場合の北朝鮮の日本への攻撃能力を破壊する能力構築を持つことは、国民に対する日本政府の国防上の基本的な義務である。

自分を攻撃できる能力がない国の話を真剣に聞く国など存在しない、北朝鮮が拉致被害者を返さないのは日本政府が無能だからである。

最後に日本の国会議員らは昨年末に韓国に表敬訪問したらしいがそれらの行為は全く的外れなものだ。日本の税金で雇われた国会議員は隣国のためではなく日本のために働くべきである。善隣外交とは制裁力という具体的な力を持った上で行うことが大事であり、国際社会とはシビアな競争社会であることを真面目に考えて実践するべきだ。自らを挑発する国にヘラヘラと社交に出かけることは外交ではない。

他国に対する威嚇的な軍事力を維持するためには、国内防衛産業基盤と潤沢な防衛予算が必要である。将来を見据えて韓国から予めそれらを奪っておくことは非常に有益なことである。

日本人の知らないトランプ再選のシナリオ―奇妙な権力基盤を読み解く

渡瀬 裕哉
産学社
2018-10-10

編集部より:この記事は、The Urban Folks 2019年1月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。