ゴーン氏拘留理由開示法廷は「それなり」の成果

ゴーン氏に係る勾留理由開示法廷が行われたが、これで検察当局が起訴を断念したり、ゴーン氏の勾留を解くようなことにはならない、というのは大方の人が承知されていることだと思う。

写真AC、Wikipedia:編集部

しかし、勾留開示請求の効果はそれなりに上がったのではないかと思われる。
弁護団の記者会見でゴーン氏に係る一連の刑事事件の争点がある程度明確になったので、裁判所が保釈の可否を決定するときの材料が相当揃ったのではないか。

ゴーン氏に係る特別背任事件で検察当局が逮捕前に十分の捜査を遂げていたのか、ということについて多少の疑義が出てきたのはどうやら間違いないようである。

サウジアラビアの会社に対する送金について日産側の担当者からは不必要な送金だった、という供述は得ていたようだが、当の送金相手の関係者からの供述はどうも得ていなかったらしい、ということが朧気ながら分かってきた。

通常の特別背任事件の捜査の場合は、送金相手先からもしっかり事情調査して必要な送金であったか、それとも不必要な送金であったかある程度確証を得てから逮捕等の強制捜査手続きに移るそうだから、どうもゴーン氏の特別背任事件については拙速だったのではないか、という疑念を抱く人が現れても仕方がない状況のようである。

裁判所の保釈の可否の判断にどれだけの影響を与えるものであるか何とも言えないが、世論の動きに裁判所が相当影響されそうだ、ぐらいのことは言っていてもいいかも知れない。

何にしても、検察当局が次にどう動くか、ということを注視していた方がよさそうである。

やはり、結構難しい裁判になる。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年1月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。