「補助金が地方のガンなんや!」では、地方自治体にできることは…?

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

天候にも恵まれた週末、飛鳥山公園で行われた「北マルシェ」には、真冬にもかかわらず大勢のお客さんが足を運んでいました。

その後、あわただしく赤羽消防団始式に向かったところ、なんと時間を1時間勘違いしていたことが発覚!

ぐぬぬ、北マルシェでもっとゆっくり食べ歩きしてればよかった…と思いつつ、隙間時間ができたのでこちらの本を一気に読了。

先日のブログでも行政の出す「補助金」の弊害について論じたばかりです。帯に大きく踊る準主人公の決め台詞

「補助金が地方のガンなんや!」

という言葉にすべてが込められているような内容で、ほとんどの場面に共感し、膝を打つことばかりでした。

行政の出す「補助金頼み」の事業は地域にとって継続的な利益にならず、むしろやる気のあった民間事業者をスポイルするものに成り下がっているというのは、まさしくその通りだと思います。

この本は実際に起業・創業をする「民間事業者」向けに書かれたものであり、地域で何かをしたい人にとって必要なエッセンスが詰まっています。

その一方で、この本を政治・行政サイドの立場から読んだ場合、なかなか難しい問題(?)に直面します

結局のところ「補助金」が地方・地域の足を引っ張る害悪にしかならないのなら、政治や行政は何をすればよいのでしょうか。

もちろん、理想的な正解はわかりますし、本書にも示唆されているように、民間の邪魔をしないこと、余計なことはしないことです。

無駄な規制や慣習があればそれを取り除いてあげるにとどめて、民間に思い切って任せたままにしておくことがベストでしょう。

ただ、これもまた本書に書かれているように、地域に熱意をもった「プレイヤー」がいない限り、何もしなければ何も始まりません

邪魔を取り除いてあげようにも、そもそも挑む人がいない…的な。

従来の政治や行政の立場からすれば、補助金こそがそうした「熱意のあるプレイヤー」を掘り起こすための仕掛けだと思ってやって、良かれと思ってやってきたことなわけですね。

しかし、それは間違いだった。では、どうやってプレイヤーを掘り起こせばいいのか?政治や行政は何をするべきなのか?

本当に「何もしない」のがベストなのか??

現実問題として「何もしない」というのは、特に衰退地域の首長や行政にとって、極めて難しいことでしょう。他の地域は補助金を出したりしているのに、オマエは何もしないのか?という突き上げを喰らい続けることになるからです。

そして任期中に「熱意のあるプレイヤー」が生まれて化学反応が起これば良いですが、仮にプレイヤー不在で何も起こらなかったとしたら…?

そのような不安に駆られ、一度は「補助金をやめよう」と決意した首長や議員が突き上げに屈し、結局は元の補助金モデルに戻ってしまうということも、容易に想像ができる未来の一つです。

民間ビジネスと同様、もちろん政治行政が行うべき地域振興策にも「絶対の正解」はありません。失敗を繰り返しながら、地域事業に合わせて試行錯誤をしていくしかないのでしょう。

規制緩和・権限委譲できる部分を徹底的に見直して、補助金に頼らない自立した民間事業者主体へと舵を切ると同時に、有力な「プレイヤー」に地域に来てもらうためのPR・トップ外交こそが、地方地自体の首長である政治家がやるべきことな気がします。

本当は「減税」という形で創業支援・誘致ができるとベストなのですが…基礎自治体単独の権限では難しい部分もあり。。

かつては国とのパイプを使って、国の事業や国策企業の工場を引っ張ってくることが、為政者の役割でした。今はその対象が、民間事業者に変わったというだけのことなのかもしれません。

統一地方選に向けて商店街などの地域振興策を考えてみると、どうしてもイベント補助や事業補助などの政策に頭が行ってしまうもの。

各地域の実情をもう一度洗い出しつつ、引き続き調査・検討を続けていきたいと思います。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2019年1月20日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。