文在寅政権とネット世論工作「ドルイドキング事件」の闇

2019年02月03日 06:02

文在寅側近に実刑判決

ソウル中央地裁は130日、「2017年大統領選の違法な世論操作」で、金慶洙(キム・ギョンス)慶尚南道知事に懲役2年の実刑判決を言い渡した。文在寅政権の恐怖政治の支配下にある韓国で、文大統領の側近である金慶洙知事に、実刑が下ったことは大変なことである。これは韓国司法の決死の抵抗・反乱と言える。

金慶洙・慶尚南道知事(KBSより:編集部)

文政権は「韓国版文化大革命」を推進していく中で、行政はもちろん、財界やメディアに介入し、圧力を掛けている。圧力は軍に対しても例外ではなく、司法にまで及んでいる。

昨年、徴用工裁判の判決が出る3日前の1027日、大法院付属機関の法院行政庁の林鍾憲(イム・ジョンホン)前次長が逮捕された。朴槿恵(パク・クネ)前政権の意向を受けて、徴用工裁判の判決を先送りした容疑である。朴政権は判決が出ることで、日韓関係が悪化することを懸念していた。

さらに、検察は当時の大法院長や判事らの関与についても捜査を進め、124日、朴槿恵(パク・クネ)政権時代の朴炳大(パク・ビョンデ)氏ら前大法院判事2人に対し、検察は職権乱用などの容疑で逮捕状を請求した。逮捕は必至と思われたが、ソウル中央地裁は7日、朴炳大氏ら2人の逮捕状請求を棄却した。「共謀関係の成立に疑問の余地がある」として、逮捕の必要性を認めなかったのである。この時、既に司法の抵抗の意思は垣間見えていた。

これに怒った検察と文政権は当時の大法院長(最高裁長官)の梁承泰(ヤン・スンテ)氏をターゲットにし、124日、徴用工訴訟の遅延と司法行政権乱用の疑いで逮捕した。最高裁の元長官が逮捕されるなどということは先進国ではあり得ない話だ。韓国の司法はこれを「恥辱の日」と呼び、憤っているという。

司法の「報復」

このような状況で、ソウル中央地裁は文大統領側近の金慶洙知事に実刑判決を下した。

文政権や与党は、今回、知事に実刑判決を下した裁判官が梁元大法院長の側近であったことを指摘し、梁氏逮捕に対する「報復」と捉えている。与党議員からは「私的因縁による私的報復」という声が上がっている。

梁承泰・元大法院長(KBSより:編集部)

我々、日本人から見れば、「報復」をする意欲や良心が韓国司法に残っていることに、驚きを禁じ得ないし、大いに声援を送りたいところである。

与党の「ともに民主党」の報道官は「司法の報復裁判を遺憾に思う」とコメントし、「我が党は『積弊清算対策委員会』を組織し、対処する。裁判官弾劾を含む様々な方策を考えたい」として、司法を露骨に脅迫した。再び、司法関係者が粛清されるのではないかと懸念される。

金知事と深い関係にある任鍾晳(イム・ジョンソク)前大統領秘書室長はフェイスブックで「慶洙よ、耐えてくれ、乗り越えてくれ」と書き込んでいる。

一方、保守派野党の自由韓国党は「政権与党は三権分立や司法の独立を破壊しようとしている」と反発を強めている。

さらに、21日、文大統領の側近で忠清南道の知事だった安熙正(アン・ヒジョン)被告にも実刑判決が下った。安熙正被告は秘書だった女性への性的暴行を加えた罪で起訴され、一審では無罪となっていたが、二審で、ソウル高裁は一審判決を覆し、懲役3年半とした。

金慶洙氏も安熙正氏も、文在寅大統領の側近として、次期大統領の最有力候補と目されていた。両氏に対する判決に、司法の「逆襲への決意」が見える。 

「ドルイドキング事件」とは何か?

では、今回、金慶洙知事の逮捕の原因となった2017年大統領選の世論操作「ドルイドキング事件」とはいったいどのような事件だったのか。

「ドルイドキング」というハンドルネームを名乗っていたキム・ドンウォン被告は金知事と共謀し、大統領選で、世論を文在寅候補に有利な方向へと工作した。ドルイドキングは「コメント操作プログラム」(プログラム名は「キングクラブ」)を利用し、記事コメント欄を大量操作した。このプログラムを使うと一つの記事に寄せられた書き込みコメントに大量の「いいね(賛成)」を付けることができる。プログラムにより、仮想アカウントを大量取得し、そのアカウントから「いいね」が自動クリックされる。つまり、そのコメントが大勢の人に賛同されているように見せかけることができる。

昨年12月に法廷で対面したキム・ドンウォン被告と金慶洙知事(KBSより:編集部)

具体的には、文在寅候補の対立候補だった安哲秀(アン・チョルス)氏に対し、「安哲秀はクズだ」、「安哲秀はカネで愛人をたくさん囲っている」 といったコメントが書き込まれ、そのコメントに対し、大量の「いいね」が付いたのだ。

韓国に限らず、日本でも同じだが、書き込みコメントが記事そのものよりも影響力を持つことが多々ある。コメント数によって、記事のアクセスランキングも決まり、記事が上位掲載され、さらに閲覧数も増える。「尾に体が振り回される」という現象がネットではよく起こる。

このドルイドキングのネット世論工作を調査しているのが特別検察である。通常の検察とは一線を画す中立性・独立性の高い捜査機関である。検察も警察も、この事件のもみ消しを図ったが、特別検察が数々の証拠を突き止めた。特別検察によると、ドルイドキングが行ったコメント操作回数はネイバーなどポータルサイトで、約8840万回にも及んだという。

本当の黒幕が誰かを突き止めろ

ソウル中央地裁は「金慶洙知事はドルイドキングと協力し、世論操作を続けた」と結論付けている。金知事の指示で、「ドルイドキング」ことキム・ドンウォン被告が動いていたという。金知事はドルイドキングやその関係者に、文在寅候補の勝利の暁には、駐日本外交官のポストを約束していたことも明らかになっている。地裁はキム・ドンウォン被告にも実刑判決を下した。

韓国大統領府FBより:編集部

金知事は世論操作について、「ドルイドキング個人が勝手にやったこと」と供述し、関与を否定している。しかし、金知事はドルイドキングの事務所に頻繁に出入りしていたということなど、ドルイドキングと深く関わっていた事実がある。

今回、金知事だけが挙げられているが、文大統領の選挙陣営幹部は当然、この事件に深く関与していただろう。そして、彼らは今、政権の中枢メンバーとなっている。本当の主犯・黒幕が誰なのかを追及するべきである。「トカゲのシッポ切り」で終わらせてはならない。 特に、北朝鮮の工作との関係を突き止めることができれば、文政権を追い詰める大きな一歩となる。

文大統領の娘家族が突如、不動産を売却し、海外に移住したことについて、韓国国民の関心は高まっている。このことも併せて、野党は追及を強めていくべきだ。

いずれにしても、韓国は世論操作などの工作に対し、あまりに脆弱だ。すぐに、この類の工作に扇動・扇情される。このような国民の習性を北朝鮮も文政権も見透かした上で、様々な諜報戦を仕掛けてきている。韓国国民も、いい加減に自分たちを愚弄する勢力の実態が何であるのかを悟るべきだ。

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