薬物問題:ののしる日本芸能界、手を差し伸べる海外芸能界

2019年03月23日 11:30

Japan In-depthより:編集部

3月20日にニコ生で高知さんと対談させて頂いたことを、記事に書きましたので是非ご一読下さい。

高知東生氏が自分を語る意義(Japan In depth)

連日、親の敵のようにかつての同業者が、ピエール瀧さんをののしる姿を見て、こういう根性がないと芸能人にはなれないのかな?と、ある意味感嘆しています。しかしこの人達は、本当に良心が痛まないのでしょうか?

おそらく自分の保身のために潔癖さをアピールしたいのでしょうし、自分を守るために、縁を切りたいのでしょうが、あまりに冷酷な仕打ちに、自分のことを嫌いにならないのでしょうか?

ただ私もほんのわずか若干ですが芸能人のお知り合いはいますし、もちろん人情味あふれる良い方もいらっしゃるんですよね。だから是非とも、そういった方々声を上げやすい雰囲気にになって欲しいなと願う次第です。

毎日毎日、自粛だ差し替えだ降板だという話を聞いていて、うんざりだと思い、当会の英語部の仲間達や薬物のご家族の仲間と、海外の芸能界ってどうなってるんだろう?と情報収集をしたところ、実に素敵な海外セレブの支え合いがあり、今日はそれをお知らせしたいと思います。

ジョディ・スウィーティン(Wikipedia)

1)日本でも大人気となった海外ドラマ「フルハウス」に出演していたジョディ・スウィーティン氏は、覚せい剤の依存症となり苦しみましたが、「フルハウス」で共演したオルセン姉妹らの激励により、リハビリ施設に入寮し回復しました。

すると「フルハウス」のスピンオフ版「フラーハウス」の撮影中に、出演者の一人ジョン・ステイモス氏がひどいアルコール依存症になっていました。

これを知ったジョディ・スウィーティン氏は、自分の経験を生かし「フラーハウス」の撮影セットの中で、アルコール依存症の自助グループ「AA」のミーティングを行い、断酒をサポートしました。こうしてジョン・ステイモス氏は現在も断酒を継続しており、自分の回復はジョディ・スウィーティン氏のお陰と発言しています。

スティーブン・タイラー(Wikipedia)

2)大の親日家で知られる、エアロスミスのスティーブン・タイラーですが、彼もまた、重度のアルコールと薬物の依存症でした。では、何故彼も回復に至ったのか?このインタビューをご一読頂けばお分かりの通り、何とかつて同じように薬とアルコールの依存症に陥っていた、同じバンドメンバーからリハビリ施設入りを促されたというのです。

エアロスミスのスティーヴン・タイラー、メンバーから薬物を止めるよう促された時のことを振り返る(NME JAPAN)

バンドの中に回復者がいて、回復の連鎖が続いていく素敵な話しですよね。
日本なんて、同じグループであっても何かあればバッサリ切り捨ててお終い。
「やめて良かった」なんて発言するかつての仲間もいて驚きましたよね。

エルトン・ジョン(Wikipedia)

3)エルトン・ジョンは、同じく薬物依存で苦しみ2016年ついに薬物乱用で亡くなってしまった、ジョージ・マイケルを助けようとしたことを、自身の経験に合わせて語っています。

エルトン・ジョン、ジョージ・マイケルの薬物中毒に対するアドバイスを振り返る(NME JAPAN)

これ本当に良い記事で、依存症者を回復させる難しさが語られています。そう助けを求めていない人は、助けられないんです。残念ながら。経験者ならではの正直な告白、是非ご一読下さい!

デヴィッド・ボウイ(Wikipedia)

4)そして日本でも「戦場のメリークリスマス」でおなじみの、昨年亡くなったデヴィット・ボウイですが、かつての親友イギー・ポップを薬物依存症から救い出したそうです。イギー・ポップはデヴィット・ボウイを「僕の人生の光」と呼んでいます。

イギー・ポップ、「デヴィッド・ボウイは僕を崩壊から救ってくれた」と語る(NME JAPAN)

このお二人、1976年に少量のマリファナをもっていたことで逮捕され、その時に警察署で撮られた、デヴィット・ボウイの写真があまりに美しく、のちにその写真が発見されると、警察署員によりオークションにかけられたことでも話題になりました。

その後のイギー・ポップの目覚ましい活躍は、皆さんご存知の通りです。
一時期日本人女性と結婚していたこともあり、日本のファンも多いですよね。
イギー・ポップは、その後2010年、初期の頃のバンド、ザ・ストゥージズ名義で『ロックの殿堂』入り。
2017年にフランス芸術文化勲章の最高位『コマンドゥール』を受章しています。

こうして、海外の対応はすごいですよね。
日本は野球界も球界屈指の成績を残した清原さんを、野球の殿堂入り候補からはずしましたもんね。
海外のアーティストたちは、薬物の問題があっても、周囲の人々に支援の手が差し伸べられ、再起を果たし、その上大統領に表彰されたり、文化勲章貰ったりしているんですからね。

一体どっちの対応が好循環を生むでしょうか?
日本は一体、叩きのめすことで誰が得するのでしょうか?

芸能人になれる才能というのは、誰もが与えられるものではありません。
その一握りの才能に、我々は歓喜し、感動を与えられているのです。
だからこそ、叩きのめして再起不能にすることは、結局は日本の文化の損失に繋がり、我々一般人にツケはまわってくるのです。

また、犯罪を犯した人間は二度と出てくるな!といわんばかりに社会的に抹殺していけば、税収は入らず、下手すれば生活保護などの福祉費がかかるようになり、そのツケも国民、社会的に孤立してしまえば、再犯のリスクも高まり、再犯してしまえば、国選弁護士費用、裁判費用、収監費用のツケも、結局すべては税金という形で、国民にまわってきます。

だとしたら過ちを許し、再び芸能界で輝くこと、そして再び沢山納税して貰うことが、社会への恩返しではないでしょうか。
だってそんなに稼げるようになる人ってそうそういないんですから、稼げる人にはどんどん稼いで貰った方がよっぽどいいじゃないですか。それを阻害する人達は、嫉妬なんだか、性格なんだかわかりませんが、誰が得するのでしょうか?

日本の芸能人の中にも、同じ仲間が薬物の問題で苦しんでいたら、可能な限りのサポートをしてくれるような、心優しき方、そして勇気のある方は出てこないのでしょうか。

逆境の時にも「助けてくれる人はいる!」と、安心できる社会の方が、失敗したらとことん叩きのめされる社会より、ずっと経済効果も安全保障もあがるんですから、是非そうしませんか?

そんな熱くて、保身に走らない、心優しき芸能人の出現を、私たちは切望いたしております。


田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト

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田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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