打倒「サンモニ」!フジ日曜朝のニュース“右傾化”の成否は?

2019年04月06日 16:05

近年、視聴率低迷にあえいでいたフジテレビが、とくに苦戦していた報道番組で起死回生の策を試みたようだ。昨年4月に放送開始したばかりだった日曜朝の『報道プライムサンデー』(以下、報プラ)を1年で打ち切り、7日から『日曜報道 THE PRIME』(以下、日プラ:午前7時30分〜午後8時55分)をスタートする。

松山俊行・梅津弥英子の新キャスターで装い新たに本格報道番組が放送開始! (フジテレビ)

注目はそのキャスティングだ。週替わり出演のプライムキャスターの一人に、地上波から近年姿を消していた櫻井よしこさんを起用。7日の第1回は、櫻井さんをホスト役に、石原慎太郎氏をゲストに迎えるというから、フジサンケイグループとしてはまさに「原点回帰」と言える。

櫻井氏ツイッター、日本記者クラブサイトより

『報プラ』時代は、ストレートニュースから一歩離れて、密着ドキュメンタリー取材の録画もまじえ、バランス感覚のあるパトリック・ハーラン氏を進行役の一人に据えていたが、『日プラ』はどうやら往年の『報道2001』を彷彿とさせる骨太路線を意識しているのは間違いない。

さて、問題はどこまで日曜朝のマーケットに浸透するかだ。この時間帯の報道・情報番組といえば、NHKの『日曜討論』は別格として、民放では関口宏さん司会の『サンデーモーニング』(TBS系:午前8時〜9時54分)が君臨している。

TBS番組サイトより

アゴラの読者の間では、藤原かずえさんがツイッターで、番組中のコメンテイターの発言を論破していくのが毎週の楽しみとなっているように、出演者は、左派系の学者、ジャーナリストらで固めていることでおなじみだ。ネットでは「いまどきまだ『サンモニ』観ている奴なんかいるのか」と不評極まりないが、先週(3月31日)の視聴率は15.7%(ビデオリサーチ、関東地区)。日曜朝で際立った存在感を見せているのだ。率直に言って、いまだこの数字をキープしていることに“アンチ・サンモニ”の筆者も改めてムッとしている(笑)。

しかし、この「強さ」の本質はなんだろうか。先月、ある民放の報道番組のプロデューサーと飲みに行った際に面白い話を聞かせてもらったが、彼の分析では、サンモニの強さはファンもアンチも取り込んでいるところにあるのだという。

つまり、たとえば、青木理氏が安倍政権に敵対的なコメントをする。国会前デモに参加するような左派シニアは当然テレビの前で「よく言ってくれた」と喝采を送るだろう。同時に、これに対して右派的な視聴者が、青木氏に対して「なに言ってんだよ、こいつ」となる。逆説的なようだが、アンチも含めて反響が多い方が、結果的に番組のプレゼンスを高められるというわけだ。

たしかに冷静に考えれば、日曜朝から10%台中盤を確保というのは、左派的志向のシニア世代を取り込んでいるというだけでは説明がつきづらい。プロデューサー氏の見立てでは、中立的な番組構成にするより、むしろ振り切った方が結果が付いてくるのでは?ということらしい。サンモニ出演者が嫌っている安倍政権が7年も「一強」状態なのも、シンパとアンチがくっきり別れてそれぞれの立場から論戦して結果としてプレゼンスがあがっている側面は否定できまい。政権の支持率と番組の視聴率は話題性を持つかどうかという点で、ある種の「相似形」を感じなくもない。

番組公式サイトより

さて、そういう中でのフジテレビの今回の新番組だ。『報プラ』を1年で打ち切り、これぞフジサンケイ正論路線とも言える『日プラ』を始めるチャレンジ自体は評価していいと思う。サンモニの牙城を崩すのは簡単ではないが、言論の多様性の確保という観点からは意義深い。アメリカでリベラルのCNNに対して、保守系のFOXがあるように、日本の民放キー局の報道番組ももっと各局が左右に別れて対抗し合う方向になるのは歓迎したい。

番組のコアターゲットは、サンモニの「逆張り」とも言える保守系の視聴者だろう。第1回の目玉キャストが櫻井さん、石原元知事というあたり、シニア層に軸足を置いている。そこは視聴層の高齢化を踏まえると順当なところだが、ひと工夫ふた工夫欲しいところだ。

櫻井さん以外の週替わりキャスターは、木村太郎さん、岡本行夫さん、三浦瑠璃さんのラインナップ。三浦さんはまだ40前でこのメンバーのなかで若いとはいえ、どちらかといえば「朝生」を観ているおじさん視聴者層向けといった位置づけか。

番組が息の長いものになるかどうかは、サンモニとは逆に、シニア右派層を起点にしてどこまで展開していけるか。ゆくゆくはアンチも含めて多様な視聴層を「包摂」する生態系が理想なのかもしれない。世代層的には、シニア層に加えて50代と40代も取り込めるかどうか。ちなみに、50代と40代はスマートニュースの読者層で半数以上を占めており、政治経済ニュースへの感度は高く、ネット世論も一定度、意識した方がいいのではないか。

いずれにせよ、攻める企画、ゲストのキャスティングなど工夫の余地はありそうだ。ネットでは、民放報道番組の左傾化が指摘されて久しいが、貴重な存在として『日曜報道 THE PRIME』の健闘を祈りたい。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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