消費税再増税でアベノミクスが、バカノミクスになる日

2019年04月25日 06:00

消費税とラーメン屋理論

果たして今年10月に、政府は消費税を10%へ増税するのか?

安倍首相側近の萩生田光一自民党幹事長代行の18日朝のネットニュースでの発言で、筆者は消費税増税がこれまでの五分五分以下から四分六の割合で増税延期に傾いた気がした。もっともこれは、自民党の苦戦が伝えられた21日投開票の衆院大阪12区、沖縄3区両補選のための口三味線だったのかも知れぬ。だが、両補選では実際に自民候補が負けたため、夏に衆参同日選挙を打っての増税延期の割合は更に七三に高まった感もある。

4月3日の未来投資会議で発言する安倍首相(官邸サイト:編集部)

さて、そもそも消費税増税は順序が違う。

この時期の消費税増税は、客足が低迷し赤字が増えたラーメン屋が単なる算盤勘定で行き成り値上げするようなものであり、本来先ずやるべきは、味の改良であり、工夫による原価の低減と冗費の削減、調理配膳のオペレーションの合理化、入りたくなるような店作り等だろう。その後にどうしても採算が合わなければ値上げはあってもよいが、先に行うべきものではない。さもなくば、一時期の客単価は増えるかも知れぬが客足は更に遠ざかり、より左前になって行く店が殆どではなかろうか?

第二次安倍政権発足にあたって唱えられたアベノミクスは、1. 大胆な金融政策、2. 機動的な財政政策、3. 民間投資を喚起する成長戦略であったと記憶しているが、日銀の黒田バズーカによる金融緩和ばかりが目立つものの、特に成長戦略は目ぼしい具体策と効果はついぞ姿が見えない。

増税と社会構造変革

かつて「税と社会保障の一体改革」というのが盛んに唱えられたが、要は単なる算盤勘定の話であり穴の空いたバケツで水を汲みだすような弥縫策であった。真の命題は「社会保障と働き方の一体改革」等でなければならず、社会の仕組み、構造の変革でなければならない。

安倍政権は、「働き方改革」として、「同一労働同一賃金」「残業削減」等に踏み出し、それは一定の効果は見込めるものの、社会の仕組み、構造を変えるとまでは言い難い。

社会構造変革というと大壇上に構えた感があるが、筆者が思い付くものとしては、以下のような所である。

●社会保障の持続可能性の強化

・老齢者雇用企業への法人税控除、軽減税率の拡充
・「在職老齢年金減額分の積立延払い制度」導入(単なる減額制度の廃止では、年金財政を悪化させるだけに終わる)
・その他、平均寿命の5年ないし10年前からの年金受給選択へ、インセンティブを与える支給制度
・タバコ税の重税化と、ニコチン・タールなし電子タバコ購入への健康保険の適用
・尊厳死の社会的実装

●出生率の向上

・児童手当の18歳までの支給年限拡大
・保育料無償化予算の児童手当制度への組み込み
・就園の有無を問わず、就学前年齢児童全般への支給化
・上記を含む児童手当の金額倍増(なお、これらには所得制限を加える)

●国際競争力の強化

・各種規制へのサンセット方式(適用期限設定と継続なら議決を要す)の強化
・バカロレア(共通大学入学資格試験)と、高得点者(特に理数系科目)への返済不要奨学金の導入
・上記バカロレア低得点者の入学集中大学への補助金、軽減税率の適用廃止

以上、児童手当の拡充を除いては大して金も掛からぬと思うが、効果が出てGDPが上昇し税収が増えるまでは国債で凌ぐか、それが嫌なら公務員人件費カットを充てる事も考えられる。(国:約5兆円、地方:約25兆円のうち自衛官、警察官等を除いた20%カットで数兆円の財源が見込める)

消費税増税を唱える安倍首相は、本音では増税による景気腰折れで政権の末節を汚したくない。

一方の立憲民主党の枝野代表は、口では消費税増税反対を唱えるが、本音では増税したくてたまらない。少なくとも増税やむを得ずと考えているはずだ。(旧民主党の政権奪取前の公約と、実際にやった事を見比べれば明らかだろう)

安倍首相は、この時期の消費税再増税が後世「バカノミクス」等と言われる日を迎えかねない事は、2014年4月の増税による景気失速で骨身にしみて承知しているはずだ。

ある日記者会見で、「リーマン・ショック級の出来事が起こった訳ではないが、世界経済と我が国経済の現状は、潜在的にその可能性を完全には否定し難い状況にあり・・・」等と、シレっと述べて衆参同日選挙に突入する。

消費税再増税凍結へ向けて、安倍首相の蛮勇を期待したい。


佐藤 鴻全  政治外交ウォッチャー、ブロガー、会社員

HP佐藤総研 Twitter@kozen_sato

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