地方議員のなり手不足は解消できるか

2019年04月29日 06:00

地方議員のなり手不足を解消できるか、という課題に対して、選挙に出た当事者の感想として書かせてもらうと、当分無理だろうというのが実感だ。まず有権者の意識を変えることが最低限必要だと、選挙に出て感じた。アゴラで西村健氏が指摘するように、抜本的な改革が必要だろう。

写真AC:編集部

ちなみに私の長崎市議選の結果をいえば、残念ながら全候補者中、最低得票数だった。幸福実現党にも負けた。敗因をいえば、組織づくりができなかった(しなかった)こと。地方で投票率が低く浮動票がほとんど無い、という条件下では、もう告示日に勝負はついているようなものだった。幸福実現党候補にも負けた。取れた票は、ほぼ自分の基礎票と見込んだ分だけ。他の落選議員に聞いても、同じような感想だった。

一番の誤算は、供託金没収ライン付近に留まる「ほんとうの」泡沫候補がいなかったこと。私の得票数は供託金没収ラインの2倍以上だが、それでも最下位。最下位は格好悪い。長崎市議選の前回選挙の得票数をあてはめれば、私の下に3人いたのだが。幸福実現党も地方議員ではあちこちで当選者を出す程度に、泡沫ではなくなっている。

そもそも長崎市議選も立候補者数が少なくなり、定数40に対して候補者45。泡沫候補が出なくなるほど、市議選に対する興味関心も薄くなっているということだろうか。

私個人に関する話は個人ブログに書いているので興味のある方は参照して頂きたい。以後は、地方議員選挙における一般論という形で書かせて頂く。

立候補して一番感じたのは、もう少し立候補する人に対する周囲の敬意があっていいんじゃないか、ということだ。昔であれば地方議員の候補は地区の名士であるとか組合の代表であるなど、周囲からもそれなりの敬意を払われていただろう。しかし今は、票を入れる人が格上で、とにかく候補者に対しては頭を下げろ、としか言わない。そして、候補者には何を言ってもいい、という雰囲気がある。ああしろこうしろと、とにかく上から好き放題に言いまくる。候補者に近い人ほど、そうだ。

その顕著な例が、長崎県議選の西彼杵郡選挙区で出た。この選挙区は長与町と時津町の2町で構成され、定数2。どちらも長崎市のベッドタウンで、長与町のほうが人口は多い。各町から1人ずつとか、自民非自民から1人ずつというのが無難な選挙結果で、無投票になってもおかしくない状況である。

選挙前の顔ぶれは、長与町時津町出身の自民党議員が1人ずつであった。今回時津町選出自民議員が高齢を理由に引退表明したが、ここで後継者が見つからないという問題が発生し、とりあえず時津町出身の東京で会社員として働いていた36歳の女性が後継候補になった。しかしすんなりとは事が進まず、この候補は周囲にいろんなことを言われて精神的に潰されてしまい、立候補を断念することになってしまった。

最終的には時津町議が出馬することになったが、すんなり地元自民議員の後継ということにはならなかった(参照:西日本新聞)。選挙の構図は時津町出身の自民新人候補と、長与町出身自民現職候補、長与町出身国民民主党女性新人候補の三つどもえになった。結果は国民民主党候補が時津町出身候補に競り勝ち(59票、得票率0.3%差)、時津町および自民党は議席を失った(得票データはNHKサイトをご参照)。

もう少し最初の時津町出身女性候補を大事にしていれば、自民2議席独占・各町から1人ずつという無難な結果になったのに、と思う。

これは長崎だけの話なのか、地方はどこでも似たりよったりなのかわからないが、この辺の意識が変わらないと、立候補者不足は解消されないのではないかと、自分が出馬して強く感じた。

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前田 陽次郎
博士(経済学) 長崎市在住、地域構造研究者

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