原監督が謝罪:ミヤネ屋が番組内で訂正コメント発表!

田中 紀子

昨日、記事に致しましたが、4月4日のミヤネ屋での発言に対し、BPOに申し立てをした件ですが、

ミヤネ屋の事実誤認に対しBPOに申し立て

本日、ミヤネ屋の番組の中で、女性アナウンサーが「4月4日の放送で、秋葉原通り魔事件が薬物犯罪であるかのような原監督の発言がありました。実際には、事件と薬物は関係ありません。ここにお詫びいたします。」と訂正が入り、青山学院陸上部の原晋監督が「大変失礼致しました」と一言おっしゃいました。

「ミヤネ屋」より

MCの宮根誠司さんからコメントがなかったことや、この件について深掘りされなかったことは残念ですが、けれども我々としては一歩前進したと考えています。

ここにくるまでの本日の事の顛末は、こんな感じだったんです。
今朝、早速BPOからこんな連絡が来たんですが、BPOの人権委員会というのは基本的に個人が人権を侵害された時に委員会が開かれるそうなんですね。だから今回の案件は、審議にはあたらないとのことなんですね。

では、どうすればこういった案件は、どこで助けて貰うことができるんですか?と、突っ込んで聞いてみたんですね。
だって、こういった重大な間違いに対して、機能しないならBPOって放送業界のアリバイ作り的な、言い訳機関にすぎなくなっちゃいますよね?

構成員は

(1) 日本放送協会
(2) 一般社団法人 日本民間放送連盟
(3) 一般社団法人 日本民間放送連盟会員各社
(4) その他理事会が承認した基幹放送事業者

とこのように内部の人しかいないんですから。

電波を超低価格で使うってものすごい既得権なんですから、そこをしっかりと自覚し、さらにチェック機能をきちんと持つべきですよね。少なくとも人権侵害をメディアが行うようなことはあってはならないはずです。

そしたら、人権侵害の審議はできないけれど、意見として委員会に共有しますとのことなので、そうして貰うことにしたんです。

で、BPOの方に色々聞いたのですが、こういった案件は番組と直接話し合うことが基本だとのこと。
まぁ、そうですよね、普通は。これまでも色んな番組と少なくとも最低限コンタクトぐらいはとれました。しかし、全く無視を貫き通したのはこのミヤネ屋だけでした。

で、もし番組が対応してくれなかったら、BPOは仲介の労はとるのか?と尋ねたら「とることはある」とのことでした。

なので、もう一度ミヤネ屋のスタッフに、連絡を入れてみようと思い、昨日私が書いた記事と、BPOの申立書を添付して、「この件、返事が欲しい」と書いて送付したところ、番組開始の直前に、プロデューサーから連絡があり、「本日の番組で訂正のコメントを入れることと、今後はこういったご意見を真摯に受け止めます」とのことだったんです。

私たちがBPOに提出した、放送局求めたい是正案は以下のようなものでした。

・番組内で、以下のように、放送内容を訂正し謝罪すること。
「4月4日放送の当番組内で、秋葉原の通り魔殺人事件が薬物犯罪であるかのような誤認に基づく発言がありました。
実際には、秋葉原の通り魔殺人事件は薬物とはまったく関係がありません。ここに訂正しお詫びいたします。なお、薬物依存症は回復可能な病気であり、全国の精神保健福祉センター等で相談を受け付けています」

・番組ホームページにも同様の文章を掲載し、以下にリンクを張ること。
全国精神保健福祉センター

※世界では、国連が薬物の自己使用を犯罪ではなく健康上の問題ととらえる方針を打ち出すなど、早期治療・回復・社会復帰を支援する方向に大きく舵を切っている。薬物報道においては、薬物依存症が回復可能な病気であることと、相談先を必ず付け加えていただきたい。

参考:薬物報道ガイドライン

結果としては、番組の中で謝罪の言葉があっただけですが、それでも少なくとも番組側に問題提起できたことは一歩前進だと思っています。

そしてまがりなりにも謝罪にこぎつけたのは、これらの顛末について、度々アゴラさんで記事にして頂き、その結果多くの方々に応援して貰えたこと、読んで頂いた方々に薬物依存に関する興味や知識を得て頂いたこと。

そしてなんといっても、石野卓球さんとその応援団の皆さま方のブレない行動のお陰で、今回のピエール瀧さんの事件では、我々のスタンスを理解して下さる方々が飛躍的に増えた!

この追い風によるところが本当に大きかったです。
ですから卓球さんはじめ応援団の皆様には心から感謝の気持ちでいっぱいです。

これがどれだけすごい革命的なことか、活動をやってきた人間にしか分からないと思うんですけど、今まで、こういった薬物依存問題をテレビ局やネットメディアに投げると、叩かれ叩かれ叩かれまくって、本当に大変な想いをしてきました。世の中の「匿名番長」は、匿名ならどんなことでもできてしまう人が沢山いますから、警察に連携して貰ったことすらあります。

ミヤネ屋だって、今回のように風向きが変わっていなかったら、黙殺を決め込んだ可能性があります。
でも、私たちはそうなったらなったで、スポンサーに発信するなど次の戦術を考えましたけどね!

ワイドショーさん覚えておいて下さい。
私たちには人海戦術をとれる「現場」があります。
皆さんのように無責任にウケ狙いの発言をしていればいいわけではなく、大切な家族の命を守るために必死になっているのです。だから情熱が全く違うことを心しておいて下さい。

そして国内にいる我々の仲間達の推計は、アルコール依存症200万人、ギャンブル依存症320万人、ゲーム依存症 成人420万人、中高生93万人といわれ、薬物やその他の依存症者は推計すら出されていないので不明ですが、これに当事者に関わる家族の人数を加えたら、我々は決してマイノリティなどではありません。そしてこれからは私たちも恐れず声をあげていくつもりです。

今までのように、我々を「いないもの」「いらない人」「いてはいけない人間」のように扱ったら、もう私たち黙っていません。いまではネットワークや組織ができ、力をあわせどうやって啓発していくかわかったからです。

そして、団結により勇気も持ちました。

報道は、社会に墓場を作るためではなく、社会に好循環を作る指針となるものであるはずです。
私たちもWinWinを目指して、これからもわかりやすい発信を心がけます。

どうか報道に関わる皆さんも、どの方向を目指すことが報道の使命なのか?見極めて頂きたいと思います。
敵対するのではなく、わかりあえるよう門戸を開き一方的な発信ではなく、我々の意見を取り入れて貰えるよう願う次第です。


田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト