令和時代のNHK:受信料30〜50%OFF案を大臣に問う

2019年05月20日 06:00

令和時代におけるNHKのあり方

放送法改正案と公共放送のあり方について石田真敏総務大臣、上田良一NHK会長等と衆議院 総務委員会にて議論を致しました。2回に分けて私の考えをお伝えします。

現行の放送法ではテレビの設置者のみを受信料支払の対象としておりますが、今後さらにスマートフォン等などテレビ以外の受信機しか持たない人の増加が予想される中、中長期的に見れば現在のビジネスモデルでNHKを維持していくことは難しくなりますから、時代のニーズに合わせた転換を図らなければなりません。

そうした中、本改正案においては、放送法第64条に規定された受信料のあり方など収入についての変更は行われません。しかしながら令和の時代に昭和の時代から全く変わっていないこの仕組みのままでよいわけがありませんから本来的には将来展望を示す必要があると考えます。

公共放送における他国の受信料徴収事例

受信料における諸外国の例として、英国ではBBCのコンテンツを視聴しうるパソコン等も受信料の徴収対象としております。

また、ドイツ、スイス・スウェーデンなどではテレビやパソコンの有無にかかわらず全ての世帯から徴収する放送負担金制度が導入されており、フランスなどでもそれらに向けた動きがあります。

公共放送がインターネットに進出をする時代において、その財源を誰が負担するのかという根本的な議論は避けて通れないと思いますので、どうすればよいのか私なりに私案を考えてみました。

フェアな受信料のあり方を検討する上で、仮に受信料負担の対象者を拡大する検討を行う時には、その負担を薄くすることによって国民の理解が得られる可能性があると私は考えております。

昨年11月27日、NHKの経営委員会において、本年10月の消費税の引き上げに伴う値上げをしないことで実質2%、また来年10月に2.5%と二段階で受信料を引下げ、2020年10月までに実質4.5%引き下げることを決定されたばかりですが、私的にはかなり甘いなというのが感想です。

NHK受信料を半額にして全世帯から受信料を徴収する案ってどう思いますか?

私見では、NHKの現状程度の事業規模と総収入7000億円程度を維持できる前提で、受信料の更なる引下げは充分に可能であると考えており、制度のあり方を見直せば少なく見積もっても30%、経営改革までしっかりとやれば50%OFFの半額程度まで将来的には落とせるのではないかと考えております。

賛否両論あるかも知れませんが、平成29年NHK決算の数字を基に、仮にNHKが受信料徴収をドイツのように全ての世帯から徴収するかたちにしたと仮定して計算をすると、支払い率は約80%から100%となり、約7000億円程度の受信料収入が20%上がれば約1400億円程度の財源が生まれます。

また、受信料の約10.9%、約770.9億円程度を占める徴収コストの営業経費が必要なくなることから、これらを単純に足し合わせて計算をしても2000億円以上の財源が生まれます。そしてこの2000億円を国民に対して公平に分配をすればこれだけでも受信料は約3割削減できます。

そうすれば、地上契約の月額受信料も現在の1310円から800円台の数百円単位まで引き下げることが可能であり、年間払いも現在の13390円から9000円台の10000円を切る水準まで落とすことが現実的に可能であると考えます。

 

財源の多様化と国民への還元

それに加えて、広告収入や副次収入等による多様な財源を確保することができれば受信料を半額、50%OFFにすることは夢物語ではなく、現実的に国民負担を減らすことができると考えております。

世界的に公共放送を見ますと、収入確保の手段として受信料以外の副次収入があります。例えば、NHKにおいては、番組に関するDVD、出版物の販売等による収入がありますが、全体の1%程度であり、ほとんどを受信料収入が占めている状況があります。

そうした中、フランスの公共放送や韓国KBSでは放送法の規定により、広告放送を財源とすることが認められているほか、KBSでは番組の販売による副次収入も約31.5%となっており、大きな財源となっております。

現在日本において、広告収入は認められておらず、仮に推進しようとしても民放との関係もあり簡単にはいかないと考えている一方で、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、ブラジル、インド、中国、韓国、カタールのアルジャジーラなど挙げればキリがないほどの多くの国で公共放送の広告収入を認めながら運営が行われている現状があります。

多くの国々が広告収入を認めながらも公共放送としての公平性・客観性を担保している現状がある中で、日本が広告収入を認めず、総収入の約96%を受信料で国民負担に依存しているビジネスモデルが、これからの時代に即しているのか大きな疑問が残ります。

ダーウィンではありませんが、私は、時代のニーズに対応して変化をし続けるものが生き残ると考えております。

広告自体もデータビジネス化している中、新しいビジネスモデルを研究することすらせずに、できない言い訳を探して進化の研究を放棄する社会には、残念ながらその先の維持・発展は見出せないと思います。

現状のルートをそのまま進むだけの戦略に違和感を覚えますので、政府とNHKにおきましては時代に対応した経営戦略をしっかりと描いて、ビジョンを示して頂きたいと思います。

公共放送のスクランブル化と付加的な受信料制度の研究

NHKは、契約者以外は映像を見ることができないようデータを暗号化するスクランブル化について、「公共放送の役割と矛盾する」といった見解を示されております。

しかしながら放送と通信の融合する新時代のNHKのあり方を考える際には、これらのシステムについても国民目線で研究をする必要があると考えます。

産経新聞が以前行った世論調査によれば、「NHKの地上波放送はスクランブル化を導入すべきか」という問いに対して、 88%がYesと答え、「NHKの番組を見たいか」という問いに関しては、69%がNoと答えました。

これらの状況を踏まえて私的には、ベースの受信料を大きく引き下げることを前提に、例えば災害時の緊急放送や報道、Eテレの教育・教養番組など公共性の高いコンテンツや社会的に必要ではあるが民間では採算が合わないコンテンツなどに関しては、広く国民にノンスクランブルで提供することが必要だと思います。

その一方で、それ以外の多くのコンテンツに関しては、付加的な受信料を聴取するスクランブル化を検討することにより、民間放送事業者と公正な競争環境(イコールフッティング)の下で、そのコンテンツを競い合い、付加的な受信料を払ってでも見たい優良な番組作りを進めることは、ネット時代のビジネスモデルとは相性が良いように感じますので、メリット・デメリットの研究をしてもよいのではないかと考えます。

放送と通信が融合する令和の新時代では、NHKの番組において、受信料のベースを大きく引き下げることを前提に安価にノンスクランブルで配信するコンテンツとスクランブルで付加的な受信料を徴収して配信するコンテンツを切り分ける制度について政府・NHKとしてメリット・デメリットの研究を行い、その結果を広く国民に知らせて下さってもよいのではないかと考えましたので、政府に見解を問いましたがこちらも残念ながら前向きな答弁を頂くことはできませんでした。

NHK受信料を30%〜50%引き下げることは現実的に可能

私は、今後も公共放送を維持していくにあたって、NHKの経営努力による収益確保と国民負担を減らす改革がこれからの時代には求められると考えます。

私的には、上記で述べた通り、負担のあり方そのものを見直し、受信料を約30%削減することに加えて、広告収入や副次収入等による多様な財源を確保により受信料を半額、50%OFFにすることを目指した取り組みを進めることは、国民負担も減り、公平性も担保されると考えますので、国民にとっても納得し易い案なのではないかと考えました。

受信料徴収のあり方を見直すと共に財源の多様化策を図り、現在の事業規模・総収入の水準を維持したまま、国民の負担となっている受信料を大幅に下げる軽減策を実行することは全体にとって有意義と考えますが、いかがでしょうかと石田総務大臣、上田NHK会長に伺わせて頂きましたが、「中長期的な課題」という趣旨の答弁に終始され、提案に対する返答や政府やNHK自身の戦略やビジョンが示されることもありませんでしたので、非常に残念でございました。

更に詳しい内容は、衆議院インターネット審議中継における直接のやりとりも是非ご覧頂けましたら幸いです。

今後も政府とNHKに公共放送のあり方について、国民目線でしっかりと意見提言を行って参ります。次回は「日本だけが公共放送のネット予算を規制するおかしさ」に付いて論じます(21日掲載)。

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中谷 一馬
衆議院議員(比例関東、立憲民主党)

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