上司に可愛がられて引き上げられる人の特徴とは?

書籍内の画像より引用

どこにでも上司に可愛がられて引き上げられる人がいます。今回は、拙著波風を立てない仕事のルール』(きずな出版)のなかから関連するエッセンスを紹介します。

知人の役員秘書Aさんは会った人に直筆で手紙を送り、お客様の名前と電話番号をすべて暗記していました。

当時はいまほどケータイ電話が普及していない時代です。社長に「○○に電話してくれるか」と言われてアドレス長や手帳をめくっていたのでは遅すぎるのです。さらに、記憶力がよく顔の特徴まで覚えていますから、セミナー会場や事務所に突然の来訪があっても、名前がスラスラと出てきます。

Bさんも役員秘書ですが、彼は都内の道路をほぼ網羅していました。予定が詰まっている場合、幹線道路の渋滞は大変危険です。ところがBさんは抜け道まで完全に網羅していたので時間に遅れることはありませんでした。

さらに、余念無くチェックする性質がありました。初めて行く場所であれば前日に下見をして、トイレの場所、会合場所の位置、レストランのチェック、すべてを終わらせていたのです。「トイレどこかな?」と聞かれて、「フロントで聞いてきます」「近くのボーイに確認します」と慌てふためくこともありません。

「腹減ったな、飯でも食っていくか?」と聞かれたら「このホテルには、和食はすし屋と天麩羅や、中華、イタリアン、フレンチ、あとはラウンジのカフェがあります。お腹がすいているなら和食が美味しいので如何でしょうか?」とすぐに対応できるようでなければいけません。「お店のインプットは秘書として当然」だと、Bさんは力説します。

いま紹介したAさん、Bさん、別に仕事でミスをしないわけではありません。すべてが完
璧なわけではないので、失敗して叱られることもあります。ただ、普段のパフォーマンスが優れているため、理不尽な目に遭うことはありません。理不尽な目に遭わないようにするには、そのための環境を自分で作っておく必要があるのです。

例えば、「上司から頼まれたちょっとした仕事は絶対にその日中に終わらせる」「上司よりも必ず先に出社する」などでもいいのです。とにかく上司が「おっ、こいつはやる気あるな」と思うようなことをの積み重ねが、信頼関係を構築します。

上司と仕事の進め方について話しているとき、「それよりも、こうしたほうがよいのではないでしょうか」と別のアイデアを提案したとしましょう。発言は本人にやる気があってのことですが、上司と良好な信頼関係を築けていなければ、上司の考えを否定したと受け取られます。「自分に反発してくる生意気な部下だ」という評価を持たれかねません。

そこが改善しないまま時間が経過すると、上司からは「扱いづらい」と評価されてしまいます。こうなると、良いアイデアを持っていても正当に評価してもらえず、頑張れば頑張るほど空回りする袋小路に追いやられてしまいます。普段のちょっとしたことから、上司に対する印象を引き上げておくことを意識しましょう。

尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
※12冊目となる『波風を立てない仕事のルール』(きずな出版)を上梓しました。