断食、してみた。

2019年06月24日 14:00

断食道場に入門してきました。
伊豆高原、5日コース。
ひとりで。
誰もつきあってくれない。

5日まるごと飲まず食わず、というわけではなく、前半は酵母ジュースだけ、後半は粥や野菜の煮付けなどのわずかな補食を朝晩にいただきます。
とはいえ日頃、暴飲暴飲暴食の身を戒めるには強力です。
それなら家でもできるだろう?
それは強者。
弱者は環境を変え、冷蔵庫もお菓子箱もない所に閉じ込められなければムリっ。

結論としては、だいじょうぶ。
直前に力石徹の番組を見たのが間違いで、道場に着いたときには腹ぎゅうぎゅう鳴ってましたが、その後さほどの飢餓感はなく、上機嫌に過ごしました。
合計3kg減。
そんなもんかな。
それよりも断食はデトックスや体質改善が一義で、その効果はにわかにはわからず。

空腹だとよく眠れます。
10時間ぐらい寝ていました。
で、頭は冴えます。
仕事しましたよ。
道場つったってぼくはヨガやらマッサージやらコース散策やらオプション的なものを一切拒否して個室に引きこもり、テレワークでうんと会議をこなし、レポートもどしどし仕上げました。
独りでできるデスクワークを持ち込むにはよいところ。

「はらへった」は死語なのでしょうか。
ぼくが子どもの頃は日常語でした。
宇野誠一郎さんの名曲「ちびっこ怪獣ヤダモン」(1967年)は「はらへった」で終わります。
「おどるポンポコリン」(1990年)ピーヒャラピお腹がへったよ、あたりが最後かなぁ。さくらももこ世代。
思えば、いつも腹ペコで、いつも元気だったんだよな。

戦時中から戦後はこの道場の補食みたいな日々だったんだろうか。
とすればぼくはサバイブできそう。
敵国の捕虜になっても、仮病で重労働さえ免れれば、機嫌よく熟睡する。
かつてパリでスパイをしていたころの、朝昼晩3食フルコースで接待する日々のほうが吐くほどつらかった。

驚いたのが、ぽつんと置いてあるAI+IoTマッサージチェア。
身体を測り、こりや疲れに合わせAIが最適なリズムでもんでくれる。
肩、背中、腕、腰、ふくらはぎ。
血圧・体重・脈拍をウェアラブルに測定し、LTEの先にいるAIドクターがチェックしてくれる。
日本のマッサージチェアはそこまで進化していたのか!

NHKクールジャパンで、自国に持ち帰りたいものを聞いたところ「マッサージチェア」と答えた外国人がいました。

なぜ?ツボを細かく探知してもみほぐしてくれるテクノロジーと、インテリアとしても優れるデザインの合体、と答えました。

ニッポンをよく見ている。ボーカロイドというテクノロジーと、可愛いキャラのデザインが合体した初音ミクと同様、テックとポップの総合が日本の強みです。

マッサージチェア、5年しばりで月々定額制。
ケータイ端末なのです。

そこまで進化する必要があるのか?という気もしつつ、5GとビッグデータのAIでまだまだ行きそう。
ほしくなってきた。この道場はこれを契約させるためのケータイショップだったのか?

ほかにもたくさんマシンがありまして。
ウォーターベッドの上にのってくねくねするやつとか、足とお腹と頭に輪っかを乗せて磁気っぽいものを浴びるやつとか、背中に通したヒモがブルブル激しく動いてもんでるっぽいやつ(日本最古の健康機械とのこと)とか、効いているのか、いないのか、判然としませんが、そこそこ楽しく。

その部屋に流れるBGMに、聞き覚えのあるメロディー。
そうだNHK朝ドラ「心はいつもラムネ色」のOPだ。
あれはぼくが社会人になった年だから35年前、主人公のモデルは漫才作家の秋田實さん、吉本興業創設者の吉本せいさんも登場した。

物忘れ激しく、この人だれだっけ?を連発しているぼくが35年ぶりの曲をたちどころに特定できたのも、頭が冴えてるってことなのかな。

AIやロボットが仕事の大半をしてくれる「超ヒマ社会」が来る。2030年ごろかなあ。
そのとき、何をするだろう。

エンタメ、スポーツ、食事、恋愛、勉強。実は断食道場に(周りの反対を押し切り)飛び込んだのは、スポッと超ヒマな状況に身をおいたらどんな心持ちかを探るのが狙いでした。

案の定、超ヒマは忙しい。
ヒマならヒマで、やるこたぁしこたま現れる。
電波の届かない電波特区を作って世間と隔絶しなければ難しいですな。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2019年6月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。

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