警察が介入してくれない!日本の家族間の修羅場

2019年07月08日 21:00

荒川区でまたしても家族間の殺人事件が起きたようですが、日本は家族間の問題に関して、警察が介入してくれず途方にくれている人々がとても多くいます。

特に依存症の現場に居ると「警察よ!なんとかしてれ~!」と泣きたくなるような相談が次々舞い込んできます。

一番良くあるのは、お金を脅し取られるパターン。
「DV案件として扱って貰えば?」と思われるでしょうが、そう簡単にはいきません。実際、殴られたりしているケースなら、逮捕もありうるでしょうが、ギャンブラーの場合多いのは、

・壁に穴をあける
・物にあたる/ 投げつける
・大声を出す/叫ぶ

というケースなのです。
これは大抵の場合警察は、叱責程度でお終いです。

一度、家族が惨劇の跡を写真に撮って見せてくれたことがありましたが、テーブルはひっくり返り、物はしっちゃかめっちゃかに投げられ壊され、壁は穴だらけでぼっこぼこになっていましたが、それでも警察は叱責だけで帰って行ったそうです。老夫婦は怖くて家に帰れず、図書館で一日中過ごしたあと、車中泊をしている状況で当会に相談に来ました。

また他のご家族からは「毎日牛刀包丁を突き付けられてお金をせびられている」というご相談がありましたが、これも警察を何度呼んでも叱責だけで帰ってしまうと泣きつかれました。

こういった同居及び本人無職のパターンは、本人を当会が介入して、なんとか説得して入院させたり、または本人がいない隙に家族が荷物をまとめて逃げて貰い、その後、我々が接触し入院してもらう…など、我々も決死の覚悟で臨んだりしますが、問題は別居している家族が、窃盗に入る場合です。

鍵なんかかけていたって、どうやっても突破してきますからねギャンブラーは。
東京のセキュリティがかなりしっかりしたマンションでも、わめかれたりすると家族は近所の手前いたたまれなくなり、お金を出さざるを得なくなってしまいます。

ましてや地方の1軒家なんてどこからでも侵入して来ます。
そして金目のものを売り飛ばしてしまいます。
家具家電はもとより、着物や二束三文であろう洋服や、中学生の弟のCDや漫画まで売られてしまったなんていうケースもあります。

ちなみに、99歳で死ぬ2週間前までパチンコをやっていた我が家の祖父は、実家のお店にかくしておいた、母が集めていた記念硬貨、祖母や私が集めていた記念切手まで売り飛ばしましたからね。
ところどころで認知症になっていたにもかかわらず、「よくもまぁそれだけ知恵が回るもんだ…」と家族で呆れた記憶があります。

更に更に厄介なのは、それが実家だけにあきたらず、祖父母の家、親類の家にまで及ぶことがあり、この辺になると無防備そのものですから、なんとも防ぎようがありません。

お金持ちの叔父さん叔母さんが持っていた、ロレックスやフランクミューラーなどの高級時計や、ヴァンクリ、カルティエなどの宝石類。はたまたエルメスやヴィトンのバッグ類などを根こそぎ持っていかれた…などという話を聞くと、赤の他人の私ですらショック死しそうになります。

また、この家庭内窃盗に対抗するために、家族は金庫を買ったりするのですが、そうするとどんなに頑丈な金庫でも、金庫ごと持っていかれたりしますからね。玄関に鍵をかけ、部屋に鍵をかけ、金庫に入れておいた…なんて全然安心材料になりません。

一番すごいケースでは、部屋のドアが電ノコで穴をあけられていましたからね。あれを見せられた時は、色んな修羅場を見てきた私もさすがに唖然としました。

他には、窃盗ではなく寸借詐欺を働き、「すぐに返す」といって実家の親や兄弟を連絡先にしてしまうケースもあります。

そしてこういう別居しているギャンブラーは、どこに住んでいるのか?
何をやっているのか?それすらわからず、神出鬼没なのです。

しかも、これだけのことをやられて、警察に行っても、「家族間の問題は警察ではどうにもなりません」と取り付く島もないのです。

これで家族が絶望しない訳がありません。
だから私は時々、どこでも絶賛キャンペーン中の「家族で抱え込まず相談して」というフレーズも時々むなしくなるのです。

だって一般の人はまず警察や行政を信用して相談に行くじゃないですか。
そこでダメなら全部ダメ…って気持ちになっちゃいますよね。

この日本の「家族間は何やっても許される」問題は、なにも依存症だけに限らず、児童虐待や家族間殺人などあらゆる社会問題の火種になっていると思うんですよね。

いい加減「家族愛」幻想をすて、家族こそが犯罪の温床になっている現状を鑑み
法改正を含め検討すべき時期が来ているのではないでしょうか?
日本は異常に家族への負担が重すぎます。

政治の世界では、この上更なる「家族回帰」なんてことを目論んでいる人々がいるようですが、冗談じゃない!という気持ちでいっぱいです。


田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト

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公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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