玉木さんの新著『令和ニッポン改造論』を読んだ --- 浦野 文孝

2019年07月30日 06:00

国民民主党代表の玉木雄一郎さんが7月27日のブログ記事(アゴラにも転載)で、前日の憲法改正をめぐる発言について説明されている。記事の最後で新著『令和ニッポン改造論』(毎日新聞出版)を紹介していたので、早速アマゾンで注文して読んでみた。

副題は「選挙に不利でも言いたいマニフェスト」である。すらすらとすぐ読める。分量もちょうどいい。玉木さんの重視している政策分野がよくわかる。こんな章立てだ。

第1章 憲法改正をホンネで語ろう
第2章 令和の経済政策は「家計第一」に大転換せよ
第3章 農業は重要な「国防政策」です
第4章 「子ども国債」を発行して教育改革を
第5章 「ダイバーシティ=多様性」が未来をつくる
第6章 もう一度、選挙制度改革が必要だ

ここでは、私の関心のある「憲法9条」と「年金」について、コメントしてみたい(ほんの一部なので、全体像は本書を読んでほしい)。

第1章 憲法改正

読者が最も関心のある章だろう。玉木さんは「平和主義を再定義する改憲議論が必要だと問題提起」している。

「自衛隊という組織名を明記することでは解決につながりません」「(武力行使の)新3要件は従来の憲法解釈からすれば広過ぎます。そこで、専守防衛の理念の下、これに適切な限定を加えたものを明文化して憲法に書けばいい。それが私の考えです」と述べる。

新3要件は冒頭で「密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し」と、集団的自衛権の考え方を規定している。

国民民主党のメンバーは17年衆院選で希望の党に合流したからか、集団的自衛権について慎重な言い回しになっているが、私は自衛隊の役割を個別的自衛権に限定し、それを明文化したいという考えだと受け止めた。

私も賛成である。

玉木さんは自民党の補完勢力になる考えがないことが明らかになった。むしろ改憲議論を通して自民党との対決姿勢を明確にできる。現在、参議院で国民民主党と日本維新の会との統一会派構想があるようだが、そうならないように指導力を発揮してほしい。玉木さんの考えで党内をまとめてほしい。

第2章 家計第一

年金制度にも触れている。「「高齢者向けベーシック・インカム」的な制度の導入が必要だと私は考えています。…月7万円程度の最低補償年金を実現するには、少なくともさらに約12兆円程度の財源を見つけなくてはなりません。これには国民的議論が必要です」と述べる。

これは全然ダメだ。12兆円の財源をどこに求めるのか、責任を持って、せめて選択肢ぐらいは提示してほしかった。私は現行の2分の1税方式から全額税方式に移行し、消費税を財源にあてるのがいいと思う。

玉木さんは「消費を軸とした好循環」のために消費増税には否定的だ。減税も検討すべきだとしている。ベーシック・インカム導入の考え方と相容れないと思うが、どうだろうか。

第3章 農業

玉木さんの祖父が農家だということを初めて知った。玉木さんの思い入れが最も感じられる章である。

「かつての豊かな森林が禿山になったり、荒れ放題になっている姿を見ると、私は悲しくなります」には深く共感した。

私は子どもたちを札幌の豊かな自然の中で育てた。札幌の山は雑木林だ。千葉の私の近所は杉林と竹林ばかりで荒れ放題。玉木さんの提案する森林保全員のような公的資格ができたら、私もなってみたい。離島管理士という発想もおもしろい。

第4章以下の教育、ダイバーシティ、選挙制度については、ここでは触れない。

残念ながら、本書は「普天間・辺野古・日米安保体制の問題」「原発・エネルギー問題」「中朝韓外交問題」にはほとんど触れていない(日米地位協定・横田空域、日中韓の共通歴史教科書作りを取り上げているが)。

今の日本では「憲法9条」「年金」に上記を加えた5分野では、政策が1つにまとまっていないと政党とは言えない。

玉木さんの指導力で国民民主党が5分野のマニフェストをまとめあげ、国民に信頼される政党として生まれ変わることを期待している。

浦野 文孝  元ジャーナリスト
1961年生まれ、愛知県出身、千葉県在住。大学卒業後、団体職員・雑誌記者等を経て現在は食品会社勤務。政治に関心の高い一般市民。関心の高い分野は外交防衛、年金、皇室等。

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