驚愕:朝日新聞英語版は今も悪意の誤報を出し続けている

田村 和広

朝日がまたやった

多くの日本人にとって、8月15日は戦争犠牲者に哀悼の意を捧げる日だが、朝日新聞だけは違うらしい。8月8日の朝日新聞英語版誤報については8月11日の拙稿(アゴラ)で指摘したが、続く8月15日にも極めて悪質な同趣旨の誤報を英語版で配信しているのだ。日本人の英語力につけ込んだ悪行の実態は、日本人に広く周知して頂きたいので再度検証する。

朝日新聞サイト、KBSニュースより:編集部

8月15日英語版朝日新聞の誤報

誤報箇所:“The president said his administration will “do its best to restore the dignity and honor of the victims,” referring to women forced to provide sex to wartime Japanese soldiers.”

文の和訳を掲載するのは忍びないため、“women forced to~”の部分だけを切り取ることをお許し頂くならば、日本語では「~することを(無理やり)強制された女性たち」という事実ではない表記が差し込まれている。

引用記事:“Moon avoids row with Japan as ‘comfort women’ day is observed

THE ASAHI SHIMBUN August 15, 2019 at 16:35 JST”(誤報箇所太字は筆者、以下同じ)

悪意の記述は継続されていた

筆者はもともと迂闊だが、本テーマに関しては、記事の不快さも手伝って英語版の継続監視はしていなかった。そこで、今回朝日新聞英語版で“Comfort women(woman)”というキーワードで過去記事を検索してみると、上記2本に加え、この1年間だけでも下記のような事実と相違する記述(記事)を5本は確認することができた。以下時系列に遡る。

誤報1:2019年7月31日「表現の不自由展」についての記事

誤報箇所

One exhibit shows photos of Korean former comfort women in China. “Comfort women” is a euphemism for women who were forced to provide sex to Japanese troops before and during World War II.

引用記事:Exhibits deemed too controversial set for display at show in Nagoya

By HWANG CHUL/ Staff Writer   July 31, 2019 at 15:55 JST

誤報2:2019年5月6日「元慰安婦による朝鮮学校への50万円の寄付」について

誤報箇所

I was forced to become a comfort woman when I was very young,” said Lee, who was part of the women forced to provide sex to Japanese soldiers before and during World War II. “I cannot stand to see children of similar ages to myself at that time being discriminated against.

引用記事:Former ‘comfort woman’ donates to help fight discrimination

By TETSUAKI OTAKI/ Staff Writer   May 6, 2019 at 17:00 JST

誤報3:2019年2月1日「日韓将官級交流の延期」について

誤報箇所

The two countries had aimed to expand the scale of the defense exchange programs after relations improved with the 2015 Japan-South Korea agreement on resolving the issue of “comfort woman,” who were forced to provide sex to the Japanese military before and during World War II.

引用記事:Japan, S. Korea postpone defense exchanges amid bickering

By YOSHIHIRO MAKINO/ Correspondent   February 1, 2019 at 15:30 JST

誤報4:2018年8月15日「台湾における慰安婦像の設置」について

誤報箇所

Taiwan was a Japanese colony from 1895 to 1945. Many Taiwanese women were forced to provide sex to Japanese troops as “comfort women” during World War II.

引用記事:Taiwan unveils ‘comfort women’ statue, demands apology, redress

By HIDESHI NISHIMOTO/ Correspondent  August 15, 2018 at 17:05 JST

誤報5:2018年8月15日「文大統領の『慰安婦の日』演説」について

誤報箇所

Comfort women refers to those who were forced to provide sex to wartime Japanese troops.

引用記事:Diplomacy alone cannot resolve ‘comfort women’ issue, says Moon

August 15, 2018 at 16:20 JST

全てに共通する誤報

これまで列挙した通り、朝日新聞英語版の記事に共通するのは、次のような記述である。

Comfort women= those who were forced to provide sex to wartime Japanese troops

日本において、これは事実ではない。いくら調査しても日本軍が強制したという証拠は出てこなかった上、朝日新聞としても2014年に誤報を認め謝罪している。

話がそれるが当時の木村伊量社長は責任を取って辞任した後、第四の権力の威光を背景に国際医療福祉大学に特任教授として“民民天下り”を達成した。ちなみにこの大学は戦略特区制度を活用して医学部を新設するという快挙を果たした学校であり、推測に過ぎないが朝日新聞元社長を教授として招聘したのは、周到なメディア対策の一環の可能性がある。

朝日が改めない理由は、「日本の事実≠国際社会の事実」

社長の引責辞任にまで発展したにもかかわらず、朝日新聞は、英語版では引き続き虚偽の記述を続け決して取り下げない。その強気の報道には理由があった。

Comfort women were forced to provide sex to wartime Japanese troops.

国際社会では依然として、これが「真実」なのである。

「慰安婦」とは、「日本軍によって性行為を強制された女性」を指し示す言葉であり、「性奴隷」なのである。しかし朝鮮人女性に関するならば、これは空集合である。

“There was nobody”が、文型としては肯定文だが文意は否定文であることと同じ構造で、「強制的に連行されて性奴隷にされた朝鮮半島出身の女性」は表現としてはあっても実際には存在しなかった。ところが国際的なプロパガンダ戦敗戦の結果、国際社会的には「存在する」ことになったのである。(ただし、オランダ人女性など一部にはその被害者がいたとされる点には留意が必要だ。)

この国際的に固定されてしまった虚偽ストーリーを根拠または味方として、朝日新聞英語版は、日本では誤報とされる事柄を国際社会に配信し続けているのだろう。残念ながら外部の人間からは内部事情は伺い知れないので、あくまでも推測に過ぎない。

国際社会での慰安婦の報じられ方の例

朝日新聞東京本社にオフィスを置くニューヨーク・タイムズ(以下NYT)は、慰安婦については次のような報道の仕方が定番である。例をいくつか挙げる。

例1: “including forced labor and sexual slavery.”

例2: “Korean women who were forced to work in brothels for Japan’s military during World War II”  筆者注…brothel:売春宿

(ともに2019年8月4日The New York Timesより抜粋、記者はMotoko Rich, Edward Wong and Choe Sang-Hun

例3: “Korean women who were forced to serve as sex slaves for Japan’s Imperial Army”

2015年12月28日、The New York Timesより抜粋、記者はChoe Sang-Hun

NYTでは同一記者が記述

ちなみにNYTの上記記事では、Choe Sang-Hun という記者が共同または単独で執筆している。ソウルあたりに駐在(居住)する記者だろうか。誰何する気はないが、記事の配信構造として考えると、彼は韓国に在住する韓国人または韓国系米国人で、現地情勢を反映した記事を書かざるを得ないのかもしれない。まさか私怨が紙面に反映されるとは考えたくない。

元は朝日新聞

しかし、朝日新聞英語版が、いくら「国際社会での評価に合わせている」と言い逃れるとしても、そもそも事実と相違する日本の評価が国際社会に広がった現状は、朝日新聞の演じた役割も大きい。「朝日新聞が主役だ」と言っても過言ではないだろう。ただし、この仮説を支える根拠の提示には膨大な作業だろう。

これも騙しのテクニック

この英語版誤報も、マスメディアがよく使う騙しのテクニックを使っている。具体的には、次のようなハウリングをおこす「回路」だ。

第1段階:日本のメディアが、事実無根の内容を疑惑として報じる(点火)

第2段階:第三者(外国や国内野党ら)が問題として騒ぐ(延焼)

第3段階:騒ぎを日本のメディアが他人事のように国内で報道する(給油)

…(以下リフレイン)

この犯罪的無限ループは朝日新聞の伝統芸能であるが、朝日は伝統の火を絶やさないよう未だに努力を続けている。日本人はKY珊瑚事件あたりでもっと強く非難しておくべきであった。

朝日新聞は、例えば、あれだけしつこくモリカケで安倍政権を非難しながら、訴訟になると「そんなことは報じていない」と知らないふりをしている。毎日新聞が自白した騙しのテクニックは、朝日新聞も得意なテクニックであった。(拙記事:「騙しのテクニックを自白した毎日新聞」)

今回の英語版誤報も、「我々は発信源となってはいない。国際社会がそう伝えているからそれに沿った記述をしているだけだ」という責任逃れ論理で自分を納得させているのだろうが、本件は朝日新聞の偏向キャンペーンが発信元である。

次世代を担う子供たちに申し訳ないので、朝日新聞はいい加減やめて頂きたい。

逆に、積極的に国際社会の誤解を解くための活動を始めてもいいのではないか。

田村 和広 算数数学の個別指導塾「アルファ算数教室」主宰
1968年生まれ。1992年東京大学卒。証券会社勤務の後、上場企業広報部長、CFOを経て独立。