B'zとサマソニを見下すのは、もうやめにしないか

2019年08月19日 11:30

夏フェスSUMMER SONICが20周年を迎えた。第1回目からほぼ毎年、皆勤賞で通っている。

来年はオリンピックの関係で開催されない(昨日の会場での案内によると、秋に大規模イベントの開催を企画中とのことだが)。昨年は日によっては不入りが伝えられた。なんせ、20周年イヤーでもある。それもあってか、今年は出し惜しみなしの豪華ラインナップだった。一般発売と同時に3日通し券と一部の日程が売り切れた、その後、全日程完売となった。

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初日は台風の接近に伴い大阪会場の設営が遅れ一部のアーチストがキャンセルになったり、リストバンド交換所が減るなどやや混乱が伝えられたし、東京でもビーチステージがこの日だけ中止になったりした。なんせ3日間酷暑だったが、とはいえ、最高に快適で楽しいフェスだったと言っていいだろう。運営するクリエイティブマンの底力を感じた。

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ラインナップだけでなく、内容も充実していた。特に圧巻だったのは初日のB’z、3日目のザ・チェインスモーカーズだ。ともにヘッドライナーだ。

B’zは日本人初のヘッドライナーとして注目された。彼らの起用は賛否を呼んだが、結論から言うと横綱相撲を見せつけたと言っていい。スタジアムを完全に支配する、存在感のあるロックモンスターだった。今年に入ってバックバンドのメンバーが総入れ替えになったが、新鮮味があり、個性にあふれていてナイスだった。特に弱冠23歳のインド人女性ベーシストMohini Deyは演奏、ビジュアルともに存在感があり、注目を集めていた。松本TAK孝弘のギターは良い意味で枯れた味を感じさせつつも、その独特のトーンがスタジアムを魅了した。そして、今年55歳となる稲葉浩志は、まるで20代の新人バンドを超えるようなエネルギーに満ちたパフォーマンスだった。

「歌謡ロック」という批判もあるだろう。正直、私もB’zについてそう感じていた時期はある。しかし、この日のステージは、そんな外野からの悪口が吹き飛ぶほどの圧巻のパフォーマンスだった。鳥肌がたった。涙が出てきた。

たしかに、誰もが楽しめて、サビを覚える、ポップなロックではある。ただ、彼らが31年間積み重ねてきたことは重みがあり。人の魂を突き動かす、何かの衝動、エネルギーを感じた。代表曲「ultra soul」や「Juice」がこれほどロックだったとは。様々な要素を取り入れつつ、誰もが歌い、盛り上がり、魂を解放できるような音楽。それが日本に残っていた。世界屈指の演奏レベルで奏でられる「ultra soul」はロック以外の何者でもなかった。書いていて思い出し、涙が出てきた。

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最終日のザ・チェインスモーカーズも、生ドラムを取り入れており、普通のEDMのライブではなかった。カルヴィン・ハリスを抜き、世界で最も稼ぐDJたちとなった彼ら。世界最先端のダンス・ミュージックでしめたところに、SUMMER SONICの20年とは何だったか、重みを感じた次第である。

もちろん、他のラインナップもせめていた。もっとも衝撃を受けたのはVtuberのキズナアイだ。3日目のレインボーステージトップバッターだったのだが、始まる前から長蛇の列で中も超満員だった。バーチャルアイドルに合わせてみんなが歌い踊る様子は圧巻だった。他にもサカナクションがヘッドライナーを務めるオールナイト企画は彼らの出演が深夜2時なのにも関わらず、夜の20時の段階で行列ができており、盛り上がりを見せていた。

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特にフジロック信者に多い、B’zやサマソニを見下すかのような見方が私はずっと気になっていた。声を大にしていいたい。もうB’zやサマソニをバカにするな。これもまたロックだ。苗場に行くほどのお金や時間がないわけではない。都市部で多様な音楽を存分に味わう。トークショーはないが、とはいえアートの展示などもあるし、LGBTに関連したステージもあり、多様性とエネルギーに満ちていた。というわけで、B’zファン、サマソニファンは誇りを持っていきよう。マウンティングしてくるフジロック信者もきっと本当は羨ましいに違いないのだから。

さあ、今日も「ultra soul」を胸に一歩前に進もう。ありがとう。

最新作、よろしく。3日間参戦できたのは、普段の育児・家事で信頼の貯金をつくったから。何より、家庭はやりくりなのだ。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2019年8月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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常見 陽平
千葉商科大学国際教養学部専任講師

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