米経済界「株主第一主義」見直し 〜 日本に近づいたってホント?

2019年08月22日 06:01

アメリカの主要企業の経営者団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が18日、株主の利益を最重視する「株主第一主義」の企業経営を見直す声明を打ち出し、日本国内のネットでもツイッターで「株主第一主義」が検索ワードの候補に入るなど急速に関心を集めている。

ビジネス・ラウンドテーブル(BR)は1972年に結成され、約200の経営首脳が参加。会長はJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン会長兼CEOが務めており、日本の経団連に相当する組織だ。

BR会長のダイモン氏(FORTUNE Global Forum/flickr)

BBCニュース(日本語版)によると、「株主利益を最優先としなかったのは今回が初めて」だという。株主第一主義は、新自由主義を提唱した経済学者フリードマンの考えに基づくもので、アメリカの企業経営で長らく踏襲されてきた理念だ。

日本では2000年代、ライブドアや村上ファンドによる敵対的な企業買収が注目された際、「会社は誰のものか?」「会社は株主のもの」というフレーズがマスコミで報じられ、一般的にも知られるようになってきた。しかし、株式持ち合いや労使協調などに見られる日本型経営との相性は悪いとみなされてきたといえる。

日本経済新聞によると、BRの今回の声明には、JPモルガン・チェース、アマゾン・ドット・コム、ゼネラル・モーターズなど、錚々たるアメリカ企業のトップ181人が名を連ねた。方針転換は「米国型の資本主義の大きな転機」(日本経済新聞)と目されるが、近年、アメリカ民主党でサンダース氏やオカシオコルテス氏らの急進的な左派が社会主義的な政策を掲げて旋風を巻き起こし、格差問題への対応について経済界の危機感が根強かったと言えそうだ。

日本のツイッターでは、自民党内のMMT論者で知られる安藤裕衆議院議員が「大きな転換が起きるかも」と注目。

また、マーケティングが専門のブロガー、徳力基彦氏が「米国でも行きすぎた株主重視主義は問題視されてたんですねぇ。 日本には三方良しが、昔からあるんだけどなぁ。」、自民党の元大阪市議、柳本顕氏が「「買い手よし、売り手よし、世間よし」近江商人的というか、公益資本主義が世界の潮流となるか⁈」とそれぞれコメントするなど、近江商人の「三方良し」に代表される日本の経営哲学を引き合いにする意見も見られた。

一般のネット民も、

従業員は家族!そう言って、日本が元々やってたこと。それをグローバルの名の元に変えてしまった。

と似たような見方を示す人や、

前々から、「会社は株主のもの」という主張に違和感を感じていました。

内部留保の多い日本の会社も、視野を広くして欲しいものです。

などといった感想が相次いだ。

ただ、この話題を積極的に取り上げている日経新聞の梶原誠記者は「株主軽視ではない点に注意が必要だ」と指摘した上で、「米企業は株主至上主義が行き過ぎ、痛手を負って修正しているが、日本企業は少数株主をもっと守る段階にある。」と、冷静に分析。

さらに、投資家の藤野英人氏はFacebookで

これを見て多くの人が日本に近づいてきたという話をされるけれども、現状は日本のほうが福利厚生や地域にお金をかけておらず、四半期決算重視の短期主義がまかりとおっています。それは今のアメリカよりもひどい状態です。日本は株主第一主義ですらなく、役員および経営者の立場第一主義なのが問題です。

などと、一般の人の「錯覚」を指摘した上で、

もう少し長期の目線で投資をしたり、メセナや社会貢献にお金を出したり、地方へ還元したり、従業員へ厚く配分したりする必要があります。

要するに、アメリカのほうがもっともっと先にいっているということで、日本に近づいてきたというのは傲慢です。

と手厳しくコメントしていた。

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