「核入り統一朝鮮」にどう対処すべきか

2019年08月27日 06:00

韓国の文在寅政権は、22日の大統領府発表により日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)廃棄に踏み込んだ。

これに先立ち文大統領は、「北朝鮮と経済協力すれば日本を経済で追い抜ける」旨の発言をしている。しかし、幾ら文氏でも普通にやって経済で日本に勝てるとは思ってはいない。

弾道ミサイル(朝鮮中央通信)と南北両首脳(韓国大統領府Facebook)=編集部

その本心は「核入り統一朝鮮」を実現し、核で日本を脅して各種賠償金名目等で多額の収奪をすれば、日本を追い抜けるというもので、国際社会の目を気にしてそれをオブラートに包んで述べたものだろう。

GSOMIA廃棄は、このタイミングで行う事には国内事情はあったにせよ、大きくはこの流れに沿うものだ。

文氏の経済協力のラブコールに対して、北朝鮮の金正恩の答えはつれないものだが、これは統一朝鮮の主導権争いについて文氏を牽制したものと考えられる。

さて、「文氏の想い」はともかくとして、核入り統一朝鮮の実現は果たして本当に有り得るだろうか?

米国のトランプ大統領は、長距離核ミサイルさえ廃棄すれば、北朝鮮の核保有を容認しかねないようにも映る。(もっとも、今は金正恩委員長とデレデレしているが、トランプ氏は脅迫状の事をラブレターと呼び、笑顔で弾丸を放つようなギャング気質も持ち合わせている人物ではある。大統領選の戦況が不利になれば、ミサイル攻撃と爆撃で北朝鮮の核施設を破壊し挽回を図るオプションも持ち合わせているとは思われるが。)

中国の習近平主席にとっては、核入り統一朝鮮は両刃の剣ではあるが、米露とのパワーバランスの中でこれを容認し陣営に組み入れる事は有り得るだろう。

金正恩氏も、連邦制で朝鮮連邦の元首に収まり一族が当面安堵出来るのであれば踏み込む事も考えられるし、韓国民も前述の核脅迫スキームで経済問題が手当て出来るのであればナショナリズムの高まり次第では躊躇しないだろう。

日本としては、先ずこれらにより核入り統一朝鮮が実現しないように図る必要がある。核抜きを図れればよいが、そうでなければ決して統一させないようにし、朝鮮半島を中国との間で半永久的に緩衝地帯とし続ける必要があるだろう。このために北朝鮮と結び韓国を牽制する場面も将来訪れぬとも限らない。

しかしこれらの抵抗にも係わらず、もし核入り統一朝鮮が実現してしまうとするなら、日本は事前に対馬を前線と見定め核武装の覚悟を決める必要も出て来よう。


佐藤 鴻全  政治外交ウォッチャー、ブロガー、会社員
HP:佐藤総研
Twitter:佐藤鴻全

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