韓国大統領は退任後が心配だから”たまねぎ”が法相に!

8月9日、タマネギ男ことチョ・グク(曹国)氏が韓国の法務大臣に就任しました。チョ氏は「娘の大学の不正入試疑惑」「娘の不適切な奨学金受給疑惑」「親族の投資ファンド疑惑」「母親が理事長を務める学校をめぐる疑惑」などなど、皮を剥いても剥いても色々な疑惑が出てくるから、タマネギ男と呼ばれているそうです。

そんな人が、人を裁いたりする検察・裁判を所管する組織のトップである法務大臣就任について、世論調査では反対49%、賛成37%(※韓国の世論調査会社 韓国リサーチ調べ)と反対が上回っていました。そんな中での強行任命になりました。疑惑疑惑の渦中にいる人物を大臣に任命すればたちまち内閣支持率が下がるので、日本では考えられませんよね。でも、前から言ってるように、韓国人は日本人とは考えかたが違うんです。韓国では反発があるものの、求心力が高まるという効果があるんです。

先ほども言ったように、世論調査結果では反対の方が賛成よりも多い状態が続いてきたましたが、文在寅政権を支持している支持層の何と9割が法相任命に賛成なんです。すなわち、文在寅大統領の身内には受けているので、もし任命しなければ、支持層から反発を招いてしまう可能性があったのです。それは「疑惑を認めることになるじゃないか』「何をヒヨっているんだ」と支持者が離れてしまう可能性もありました。

もっとわかりやすくブレイクダウンすれば、韓国では革新、保守と言われる文在寅大統領支持と保守の反文在寅支持の二つに割れています。それは、国民も政党も新聞などのメディアも文在寅支持と反文在寅支持の真っ二つです。
ですからこういうことです。

革新系の政党も国会議員も国民も新聞も文在寅大統領のやることなすこと全てに賛成なんですね。逆に保守系の政党、国会議員、国民、新聞も文在寅大統領のやることなすこと総てに反対です。

さらに今回就任した「法務大臣」、これには大きな意味があります。

というのも、韓国の検察には強力な捜査権があり、政権が変わると直前政権の大統領や要人が逮捕されたり、捜査されたりとする事がこれまで何度もありました。その背景には、新たに変わった政権の指揮下で強力な捜査権がある検察が動いていたんです。盧武鉉大統領は収賄疑惑で捜査を受け、その後、投身自殺。李明博大統領も先ごろ収賄容疑で逮捕されました。そして記憶に新しい、朴槿恵前大統領は収賄容疑で逮捕され、二審で懲役25年の実刑判決を受けましたが、先月、韓国の最高裁がソウル高裁に差し戻しをしたことが話題になりましが。

韓国の大統領任期は1期5年間で、文在寅大統領は残り3年で2022年の5月までです。そこで引退した文在寅大統領から自身に捜査の手が及ばないように今、その強力な捜査権を取り上げる意図があるわけです。しかし警察は自分たちの捜査権を取られたくないので、今回就任したチョ・グク氏の妻を私文書偽造で在宅起訴するなど、上司と部下の争いがもう既に始まっているわけで今後この争いがどうなるか。

そして来年の4月に韓国は総選挙を迎えます。総選挙を見据え、韓国与野党の応酬が激化しています。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年9月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。