韓国の核保有も睨み、日本は米国との「核共有」を急げ

2019年09月13日 06:00

「核共有」(ニュークリア・シェアリング)とは何か

「核共有」(ニュークリア・シェアリング)とは、核保有国と核兵器を共有し、有事の際には核保有国から核兵器の提供を受けて反撃できるシステムである。

現在、核保有国の米国と、核兵器を保有しないNATO加盟国のドイツ、イタリア、ベルギー、オランダとの間で「核共有」が行われている。米国と「核共有」をしているこれらの国々は、核による恫喝を受けた場合は、米国の核兵器を使用できるから、核保有国と同じ強力な「核抑止力」を持てるのである。

オランダ軍の基地で共有されるアメリカの核ミサイル(Wikipediaより)

核兵器の保有は「核拡散防止条約」(NPT)により禁止されているが、核兵器を保有しない「核共有」は禁止されていない。現に、第二次世界大戦を引き起こしたドイツでさえ、米国との「核共有」が国際社会で広く容認されているのである。

日本の「核抑止力」獲得の3つの手段

核兵器を保有しない日本が、国家・国民の安全保障上、核保有国の中国・ロシア・北朝鮮に対する「核抑止力」を獲得する手段としては、

①日本独自の自衛的核保有
②米国との安全保障条約による「拡大核抑止」(「核の傘」)
③米国との「核共有」

—がある。

①については、二度と核攻撃を受けぬことが広島・長崎被爆の最大の教訓であるにもかかわらず、日本国民特有の被爆トラウマのため日本独自の自衛的核保有は極めてハードルが高い。そのうえ、同盟国の米国が容認した場合は別として、核不拡散のNPT体制への逆行・挑戦として、核保有国を含む国際社会から強い非難攻撃を受ける恐れがあり、経済制裁など、外交上経済上の悪影響も少なくないであろう。

しかし、「異常な事態が自国の至高の利益を危うくする場合は脱退できる」(核不拡散条約10条)のであり、「自衛のための必要最小限の核保有は憲法上合憲である」(内閣法制局)から、日本は原発再稼働による世界最高水準の原子力技術に裏打ちされた「潜在的核保有能力」を常に維持確保しておく必要がある。

②については、米国が米国本土に対する全面核攻撃・全面核戦争を覚悟し甘受してまで、同盟国日本のために核による反撃をする保証はなく、「核の傘」が必ずしも有効確実ではないことは、かねてより、日本のみならず、米国の有識者らが指摘している。

キッシンジャー元国務長官は「超大国は同盟国に対する核の傘を保証するため自殺行為をするわけはない」と述べ、ターナー元CIA長官も「もしロシアが日本に核ミサイルを撃ち込んでも、アメリカがロシアに核攻撃をかけるはずがない」と断言しているのである。

米国との「核共有」による強力な「核抑止力」の獲得

上記①は事実上実現が困難であり、上記②は「核の傘」が必ずしも有効確実ではないとすれば、現時点では、上記③は日本の確実な核安全保障上最も合理的な選択肢と言える。

なぜなら、日本国内における米国との「核共有」システムの導入による両国の緊密な核軍事情報の提供・交換や、核抑止力向上のための高度な共同軍事訓練は、米国との同盟関係をさらに強固にし、現在よりも遥かに強力で確実な「核抑止力」を日本にもたらすからである。

前記米国とドイツなどとの「核共有」による対ロシア核抑止力は強力に機能し、ロシアからの核恫喝や核攻撃を確実に抑止しており、これらの国の対ロシア核安全保障は盤石となっているのである。

「核保有」韓国・「核保有」統一朝鮮などに対する日本の安全保障

文正仁=韓国大統領外交安保特別補佐官は8日、「韓国と北朝鮮は今後10年~15年の間にEU(欧州連合)のような経済連合を組むことが可能である。韓国が核兵器を保有すれば米韓同盟の必要性がなくなる。」(9月10日 J-CASTニュース)と述べた。

「板門店宣言」に署名した時の金委員長と文大統領(南北首脳会談プレスセンター提供、2018年4月)

これは常に国民世論を重視する文在寅政権として、現に60%以上の韓国国民が核保有に賛成している国民世論の動向を重視して、韓国独自の核保有を想定し決して排除しないということである。したがって、日本としては単に、中国、ロシア、北朝鮮の核保有のみならず、「核保有」の韓国や、「核保有」の統一朝鮮の成立をも見据える段階に入ろうとしている。

かけがえのない日本の平和と安全、日本国民の生命と財産を一切の核攻撃から守り、広島・長崎の悲劇を二度と繰り返さぬため、以上に述べた米国との「核共有」システム導入による強力な「核抑止力」の構築が急務である。

加藤 成一(かとう  せいいち)元弁護士(弁護士資格保有者)
神戸大学法学部卒業。司法試験及び国家公務員採用上級甲種法律職試験合格。最高裁判所司法研修所司法修習生終了。元日本弁護士連合会代議員。弁護士実務経験30年。ライフワークは外交安全保障研究。

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加藤 成一
元弁護士(弁護士資格保有者)

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