月に逃げるな、前澤友作!

2019年09月13日 11:30

拝啓、前澤友作さん、

立派な会社に育て上げたZOZOを手放して月旅行に全力を挙げたいと会見で述べられましたね。本当でしょうか?月に行くのは2023年の予定ですし、その前に宇宙にも行くそうですね。彼女と過ごす時間ももっと取りたかったって孫さんが言っていたのは本心でしょうか?

ANN動画から:編集部

多くの起業家たちと共に私もあなたの生き方と経営を遠巻きながら見てきました。もちろん、私はあなたと全くの接点がありませんので公開されている情報しかわかりませんが、少なくとも私には刺激的な展開でした。

特に午後3時までの6時間勤務体系にしたことや給与のフラット制を取り入れた際は衝撃でした。誰もできなかった技です。

そういう点ではあなたは日本のしがらみに捉われない自由奔放な経営者として多くのファンがいたことも事実です。

一方であなたの打ち出す玉は時として大きく外れることもあったし、それが余計な刺激を与えたこともあります。ゾゾスーツの時はユニクロの柳井さんがぼろくそに言っていましたね。ですが、実は柳井さんは焦っていたと思うのです。そんな心理は柳井さんのことも長年、遠巻きに見てきましたからすぐに読めました。多分、あのころ、社内に檄を飛ばしたはずです。「前澤を超えるものを開発しろ!」って。事実、つい最近、ユニクロが発表した自動採寸サービス、My Size Cameraなんて発想はあなたのものをパクったようなものでしょう。

あなたが今回辞めたいと思った理由はずばり、しがらみだと思います。それも銀行とか株主とかガバナンスにうるさい人たちじゃないですか?彼らが手と足を引っ張ってもっとカネを稼げってせびり続けたのだろうと察します。そして大事な絵画も売らざるを得なかったですね。その背景は形の上の業績はまずまずだけど前澤友作らしい経営の面白さを打ち出せなくなったこともあったからではないでしょうか。

会社が大きくなればなるほどパブリックの目が光るようになり、ガバナンスとか透明性が指摘されて、自由な経営は出来なくなりますね。これは日本の会社の性なんです。私はカナダで起業したから好き勝手なことをさせてもらっているけれどそれは社会的存在意義があって、経営とメッセージが正しく、信奉者がいれば誰も文句を言わない、そんな経営環境があるからこそできるのです。

本当ならあなたは海外で起業をすべきだと思います。アメリカで面白いことを立ち上げたら絶対にファンキーでクールなことができると思います。もしもその気があるなら決して東に行かないように。西海岸がイマジネーションの聖地ですよ。

あなたは本当はZOZOを手放したくなかった、だけどそうならざるを得なかった理由があったと思います。それが物理的な理由なのか、精神的な理由なのか、それは分かりません。両方だったような気もします。だからと言って月に逃げてしまうのはもったいないです。

今、日本で起業して成功した人の人生の選択肢には二つあるように感じます。一つは起業して成功して誰かに売却して達成感と共に「次に何かまたやるぞ!」と言いながらもいつまでたってもなにもできないタイプ、もう一つのパタンは売却するときにはすでに次の野望があってそこにすぐに取り組めるタイプ。これはシリアルアントレプレナー(連続起業家)とも言いますね。

私の周りに前者のように売却してそこそこの資金を手にして次のステップに踏み込めない人、結構いるんです。そういう人はだいたい似たパタンでうんちくが先走り、手足が動かなくなるんです。その後、結局、何年も何もできず、それで終わるんです。それでもいいクルマ乗って、うまいもの食べて立派なところに住めるような財産があって、とちょっと刺激ある人的つながりで満足してしまうんです。それじゃ人生、つまんないですよね、過去の栄光ですから。

前澤さん、あなたが今回、リタイアするのは結構。だけど、次のビジネスに向かうまでの休暇は半年とか1年って決めた方がいいと思います。月から帰ってからとなると時間軸と共にビジネスというハードルが異様に高くなる今日においてあなたの頭の中でZOZOの企業規模イメージが邪魔をしてとても難しくなります。これはFor Sureです。(もちろん、自営業でもやるなら別ですけどね。)

前澤さん、またゼロから面白いものを立ち上げてもらいたいです。そしてまたすっころんで、ぼこぼこにされながらも一筋の光明に向かってキラキラ生きがいを感じている人生が楽しいですよ。月に行くのは自由。だけど私なら自分の足で漕いで月に行くなら面白いけど、誰かが作った乗り物に乗って月に行く価値観は見いだせないなぁ。あなたは自分の足で獲物をゲットするタイプの人だと信じています。

お会いしたこともないのに失礼なことを述べました。前澤さんの次の人生が有意義でありますように。

敬具

小さな会社をカナダで経営する一日本人より

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年9月13日の記事より転載させていただきました。

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