✕汚染水→○処理水。福島・原発処理水にかけられた誤解と「呪い」を解け

音喜多 駿

こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

9月17日、松井一郎・大阪市長の記者会見によって、原発処理水を巡る議論に大きな一石が投じられました。

https://twitter.com/news_ewsn/status/1173800315713273857

原発処理水、大阪湾で受け入れ=科学的根拠あれば-松井大阪市長
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019091700613&g=pol

松井市長が首長・政治家として初めて、原発処理水の受け入れ容認について発言。続いて、吉村府知事も。

非常に踏み込んだ、勇気ある発言に対して、維新所属ということを抜きに心から敬意を表したいと思います。

そしてここで改めて、この処理水を巡る風評と闘うために、大きな誤解を2つ解いておきます。

「汚染水」ではなく、処理水である

福島原発に貯められている水を、メディアを中心に多くの方が「汚染水」と表現していますが、これは正しくありません。

原子炉を冷却するために使用された水は、たしかにその時点では有害物質に汚染されていますが、適切な化学処理がなされてトリチウム以外のものはすでに取り除かれています

※ただし、2018年以前の処理水は除去が一部不十分だったものがあり、東電は再処理を行うことを表明済み

唯一、トリチウムだけは現在の技術では除去できないのですが、これは自然界にも存在する物質であり、一定の基準値以下であれば排出はおろか、飲料水としての利用も問題ありません。

現在、福島の原発内のタンクに貯められている100万トンの水は、(一部は再処理してから)希釈すれば人体・環境に無害な水として対応(=海洋放出)できるものです。

あたかも有害物質が大量に貯められているかのような表現は、風評被害を助長するものであり、まったく望ましくありません。

処理水の海洋放出は世界スタンダードである

処理水は、原発事故を起こした福島特有の問題ではありません。

日本を含むあらゆる原子力発電所でこの冷却水は発生しているわけであり、充分な化学処理をした後に海洋放出が行われています


経産省HP資料より抜粋)

「事故を起こした福島原発のトリチウムは悪いトリチウムで、その他は問題がないトリチウム」

などということがあるはずありませんから、福島原発の処理水だけ海洋放出できない状況は完全に矛盾しているわけです。

(松井市長もわかった上で発言していると思いますが)処理水を巡る科学的な結論はすでに出ており、政府・東電は世論の反発を恐れて解決を先送りしてきたというのが現状なのです。

こうした状況下で出てきた松井・吉村両首長による提案は、この上ない解決への助け舟です。

本来はそのまま福島の海に希釈して海洋放出することに何ら問題ない水ですから、遠方にまで運んで対応することは非効率的・非合理的かもしれません。

しかしながら、すでに「合理的ではない」理由で停滞しているこの問題については、合理性を超えたいわゆる「政治的解決」が必要です。

ここまで風評被害に晒されてきた福島にだけ、海洋放出に伴う心情的不安を負わせるわけにはいきませんから、全国で幅広く処理水を受け入れることは極めて「心情」に寄り添った対応ではないでしょうか。

あえて情緒的な表現をすれば、福島原発の処理水に残っているのは、毒や有害成分ではなく「呪い」です。

呪いを解くためには「儀式」が必要であり、それが全国での処理水受け入れであると言えるのかもしれません。

水を運搬するのには莫大なコストが必要となりますが、橋下徹氏が指摘するように、トラック一台の少量でも非常に大きな心理的効果・波及効果があると思います。

本件で私にも福島の関係者から様々な声が寄せられていますが、海洋放出を心配する声がある一方で、「いつまでもタンクに水を貯めた状態にしておくことこそ、福島の負担だ」という声もあります。

改めて申し上げますが私自身、海洋放出以外に解決策はないと考えています。

そして福島および近海での海洋放出の理解を得るために、全国で少量ずつ処理水を受け入れるのは実行可能な政策案です。

ぜひ東京都知事・東京都議会でも東京湾での受け入れ検討・表明をしていただきたいと思いますし、私からも働きかけをしていきたいと思います。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会、地域政党あたらしい党代表)のブログ2019年9月17日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。