ロッテ一筋26年、福浦選手。思い出の「逆転満塁ビデオ判定弾」

2019年09月23日 21:30

プロ野球・千葉ロッテの福浦和也内野手(43)が23日の日本ハム戦に7番指名打者で先発し、一軍今季初出場した。

NHKの試合中継より(編集部撮影)

現役最後の試合は、遊ゴロ、投ゴロ、右飛、捕飛と4打席連続凡退に終わり、首位打者経験もある巧打の見せ場は作れなかったが、九回には一塁の守備につき、ツーアウトから強烈なライナーを好捕してゲームセット。最後に見せ場を作り、ロッテ一筋26年の現役生活に終止符を打った。

筆者は読売新聞運動部時代の2年(2009年、10年)、ロッテの担当記者として福浦選手の活躍を見届ける機会があった。寡黙で職人気質。居残り特打に積極的に取り組むなど、とにかく練習熱心だった。

(福浦選手の練習風景、ロングティーはとても豪快だ。球団広報の密着映像↓)

それほど親しいわけではなかったものの、練習の合間にダッグアウト裏で打撃論を尋ねた際には、プレイ経験のない筆者の素人質問にも実に誠実かつ丁寧に解説してくれたこともあり、その後の取材や執筆で大いに参考になった。

自分が見届けた試合でもっとも印象に残るのは、2010年5月13日、横浜スタジアムのベイスターズ戦の“歴史的”な一発だ。1点差を追う六回に一死満塁のチャンスで代打で登場。ライトポール際へ「ホームラン!?」と思える大飛球を放ったが、ファウルの判定となった。

しかし首脳陣は納得せず、審判団にビデオ判定を要求した。実はこの年から導入され、左翼席に集まったロッテの応援団も「ビデオ!ビデオ!」の大コール。記者席から筆者も固唾を飲んで行方を見守っていたが、結果は、リプレイを確認した審判団が判定を覆し、史上初のビデオ判定による本塁打になった。

試合後の本人のコメントはさすがに忘れてしまったが、ビジターの黒のユニホームに身を包んだ坊主頭が気恥ずかしそうに振り返っていた場面だけは脳裏に焼き付いている。翌日の日刊スポーツは一面で「代打逆転満塁ビデオ判定弾」と大きく報じ、日頃巨人や阪神に比べ、なかなか一面にならないロッテだけに、本人も球団スタッフも喜んでいたのが懐かしい。

背中で引っ張るイメージがあったが、後輩選手たちの面倒見はよく、2軍でコーチを兼任した今季も悩める若手たちのポイントを的確に指摘し、好評だったようだ。

NHKの解説で小久保裕紀さんが「引き出しの多さ」を指摘していたが、入団時は投手で、プロ1年目途中に野手転向してから打撃を磨き上げるといった苦労を重ねてきたことが裏付けているのだろう。歴代の“門下生”では、のちに日本を代表する捕手になった里崎智也さん、2010年日本一の主力打者だった大松尚逸さんらがブレイクした。

来季以降もロッテでコーチを続けると思うが、おそらく秋や春のキャンプで、若き日の自分のように、泥臭く居残りで打ち込みを続ける選手たちに付きっ切りで指導する姿が目に浮かぶ。かつて近鉄で名打者だった新井宏昌さんがオリックスのコーチ時代にイチローさんを育てたように、福浦さんも新しい才能を育ててくれるのではないかと期待している。

福浦選手、26年間、お疲れ様でした!

それにしても、筆者にとって新聞記者の最終年でもあった2010年、ロッテの日本一でスタメンだった主力選手のうち、いまなおチームに残留しているのは、当時ルーキーの荻野貴司、清田育宏の両外野手と高校生時代から取材していた唐川侑己投手くらいになった。今や30代のベテランの域に入っている。あれから9年、福浦選手がここまで現役を続けてきたこと自体へのすごさと、時間の経過を噛みしめている。

新田 哲史   アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長
読売新聞記者、PR会社を経て2013年独立。大手から中小企業、政党、政治家の広報PRプロジェクトに参画。2015年秋、アゴラ編集長に就任。著書に『蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?』(ワニブックス)など。Twitter「@TetsuNitta」

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