日本共産党は日本の大企業を「国有化」するつもりか

2019年09月26日 06:00

日本共産党は党綱領で「生産手段の社会化」を宣言している

志位委員長(志位氏HPより)

日本共産党は、「科学的社会主義」(マルクス・レーニン主義)を党の理論的基礎とし(党規約2条)、党綱領で、資本主義社会を変革した後の未来社会として「社会主義・共産主義社会」の実現を目指している。

共産党によれば、社会主義・共産主義社会の実現を目指す社会主義的変革の中心は「生産手段の社会化」である。

「主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化によって、搾取を廃止し、すべての人間の生活を向上させ、貧困をなくし、労働時間を短縮し、利潤追求をやめ、経済の計画的運営により不況を防ぎ、環境破壊や社会的格差をなくし、物質的生産力の飛躍的発展の条件を作り出す。」

と宣言している(党綱領五=15)。

「生産手段の社会化」は万能薬でバラ色か

このように、日本共産党は、党綱領において、あたかも「生産手段の社会化」が人々を幸福にする万能薬でありバラ色であるかの如く宣言している。

しかし、旧ソ連、旧東欧、改革開放前の中国、北朝鮮、旧民主カンボジア、キューバ、ラオスなどの、社会主義・共産主義諸国の歴史を見れば、「生産手段の社会化」は、共産党独裁による、非民主的強権的な共産党官僚・国家官僚の国有企業支配、技術革新の遅れ、低生産性、低成長など深刻な問題があり、必ずしも、日本共産党が言うような国民生活の向上や、物質的生産力の飛躍的発展をもたらさなかったことは明らかである。

日本共産党は日本の大企業を「国有化」するのか

したがって、日本共産党が政権を獲得した場合に、党綱領に基づき「生産手段の社会化」を実行したとすれば、共産党の言う「独占資本」であり、「主要な生産手段」である、日本を代表する東証一部の「トヨタ」「日産」「日立」「ソニー」「パナソニック」「三菱重工」「大林組」「新日鉄住金」「出光興産」「昭和シェル」「三菱商事」「三井物産」「武田薬品」「ユニクロ」「三菱UFJ」「三井住友」「野村証券」「JR東海」「日本郵政」「日本郵船」などの大企業は「国有化」ないし「公有化」され、その経営は共産党官僚及び国家官僚によって支配されるであろう。「JR東海」は元の「日本国有鉄道」(国鉄)となり、「日本郵政」は元の「日本郵政公社」になるであろう。

サンサン/写真AC

日本の大企業が「国有化」されるとどうなるか

党綱領によれば、生産手段の社会化、すなわち大企業の国有化により、一部市場経済が導入されるとはいえ、経済が計画的に運営されるから、国有企業の自主性・独自性は制限され、基本的には国家の計画に基づき生産・流通が行われるであろう。しかし、そうなると、国内の企業間及び海外企業との間の競争原理が働かないから、技術革新が遅れ、生産性が低下し、日本の国際競争力は深刻な打撃を受けるであろう。

その結果、マイナス成長、貿易・経常収支の大幅赤字、失業率の上昇、賃金の低下、税収の減少、福祉予算の削減などの恐れが生じる。

日本共産党は大企業「国有化」の具体的青写真を示せ

不破哲三前共産党議長は、変革の手段・方法などについて、党の手足を縛らないため、社会主義の「青写真化」に反対している(※)

しかし、日本共産党は、党綱領であたかも「生産手段の社会化」が万能薬でバラ色の如く宣言する以上は、正々堂々と、「生産手段の社会化」により上記の日本を代表する大企業が国有化ないし公有化されること、計画経済により、国有企業の経営が共産党官僚及び国家官僚によって支配されること、それにより国民生活が向上し、物質的生産力が飛躍的に発展することを、国民の前に明らかにし、国民の判断を仰ぐべきである。

そうでなければ、共産党が政権を獲得した場合に、国民はどこに連れていかれるか分からないからである。

(※)不破哲三著「科学的社会主義の運動論」32頁以下1993年新日本出版社刊

加藤 成一(かとう  せいいち)元弁護士(弁護士資格保有者)
神戸大学法学部卒業。司法試験及び国家公務員採用上級甲種法律職試験合格。最高裁判所司法研修所司法修習生終了。元日本弁護士連合会代議員。弁護士実務経験30年。ライフワークは外交安全保障研究。

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加藤 成一
元弁護士(弁護士資格保有者)

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