内閣府「人工知能ホスピタル」プロジェクト①

2019年09月26日 06:00

内閣府のAIホスピタルプログラムで、今どのようなことを行っているのかを、これから説明したいと思います。このプログラムは、「Society 5.0を実現する」ことから始まっています。12プログラムのうち、健康医療に関しては、このプログラムしか採択されていません。

AIを上手に利用したヘルスケア、メディカルケアのシステムを作っていくには、いろいろな情報を統合してデータベースを構築し、人工知能を利用して医療補助を行い、種々の情報を分かりやすく伝えるのかを検討しています。もちろん、働き方改革につながる医療現場での負担軽減もゴールの一つとなっています。

簡単に言うと、医療は非常に複雑化、高度化、多様化、先進化しています。その非常に高度な情報を、いかに医療関係者が理解し、患者さんにも分かりやすく説明するのかがこれからの医療の質の維持のために重要です。そして、医療ビッグデータベースは、今、国際的に非常に大きな動きを見せています。

どうしてビッグデータベースが必要なのでしょうか。これらを通して、いろいろな病気の背景となる環境要因、遺伝的な要因を理解できれば、病気の予防、病気の重症化の予防につながります。がんの検診でも個別化で行わないと、みんなが同じように検診を受ければ医療現場は確実に容量オーバーとなります。そのような観点から、個別化の健康診断がこれからは重要で、それも含めてこのプログラムの中で考えたいと思っています。

また、21世紀になって、病気の仕組みが解明され、それをもとにして新しい治療薬がどんどん開発されてきました。糖尿病でもインスリンが作れないのか、インスリンが分泌できないのか、インスリンへの反応が悪いのかと、単純に考えただけでも、いろいろなプロセスで病気が起こることが知られており、それ等の背景を考えた治療をしていく必要がでてきました。

薬を投与してしばらく様子を見てから、「効きませんでしたね」「では、別の薬に替えましょう」ではなくて、最初から適切な治療薬を提供できれば、患者さんにとって望ましいことは間違いありません。

今、日本は多様化、多様性ということをようやく認識するような時代になってきましたが、やはり、われわれは個々の患者さんの多様性を理解した上で、その場で、ピンポイントで、その人に合った薬を提供していく必要があると思っています。

そのためにも、医療情報のビッグデータベース化が必要です。これによって、健康寿命の延長や治療期間の短縮=医療費の削減、さらに労働力の確保につながってくるという、国の大きな課題に対応することができるようになると思います。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2019年9月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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中村 祐輔
医学者、内閣府SIPディレクター

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