勤め先と年金と老後問題

2019年10月06日 14:00

10月4日の日経一面に「企業年金70歳まで加入」とあります。これを読んでぱっと何を意味するか、説明できる方は年金についてしっかり理解している方だと思います。

ご存知の通り、日本の年金は3階建て方式です。1階部分は国民年金で20-60歳が全員加入、2階部分は厚生年金でお勤めの方が加入、3階部分が企業年金と言われるものですが、一定年齢以上の方には厚生年金基金という言葉の方がなじみがあると思います。

写真AC:編集部

厚生年金基金はバブル崩壊後、運用成績が悪化、解散するところが相次いだため、それに代わる3階部分として確定給付企業年金と確定拠出年金という二種類が出来ました。特に確定拠出年金は日本型401 kとして知られていますが、この3階部分の加入者は1700万人強にとどまります。国民年金の6745万人、厚生年金の4430万人に比べて少ないという感じがすると思います。

こう見ると実はお勤めの方は個人事業主より老後の安定感という意味ではかなり楽な設計で更に一流企業で頑張った人はもっと楽になるという仕組みになってきています。というのは3階部分の企業年金は同じ会社に勤めていることが前提であり、子会社出向はダメなんです。その条件の中で今回、70歳までそれを延期するということは転籍せず、本体企業で70歳までずっといる場合ということになります。

これ、実態に即しているでしょうか?金融機関にお勤めの方あたりからはNOという声が聞こえてきそうです。

日本の年金の仕組みを見るとつくづく、真面目に(できれば同じところで)ずっと働き通すことで年金というご褒美を頂けるということかと思います。また、そのお勤め先はやはり、一流であればあるほど老後の生活はゆとりがある、とも言えそうです。ある意味、時代に逆行する設計とも言えます。

では派遣社員はどうでしょうか?派遣でも一定条件を満たせば厚生年金には入ることになるのですが、定年退職するまでずっと派遣社員の人も少ないでしょう。自営業においてはもってのほかで私の周りからも「国民年金だけでどう暮らせというのか」という声はあります。

つまり、1階部分だけを考えれば年金は生活費の足しにはなるけれどそれまでに貯えを持っておかないといくら何でも厳しいということになります。また国民年金は60歳までしか積み上げられません。(任意の65歳までの加入制度は積み上げ期間が足りない人用です。)なぜなんでしょうか?70歳までにすればいいのにと思います。

街中でほとんど売れていなさそうな商店が今でも潰れずに営業しているのを見かけることがあると思います。なぜかといえば年金を貰いながら小遣い稼ぎで自宅兼用の店舗で月に数万円でも売れればそれでよし、ぐらいの商売で生活費の足しをするからです。

ところで老後の対策として生命保険も一時期はやりました。大黒柱が死んだら残された妻子が食べていけるように、という触れ込みだったと思いますが、最近はあまり聞かなくなりました。実は私も生命保険を途中で馬鹿々々しくなって解約してしまいました。理由は死亡保険額が加入の時に比べ、今の物価水準に見合わないほど少なかったこと、いざ病気になっても高額医療の自己負担限度額があるので医療費だけを見れば生命保険がなくてもある程度底が知れていることからであります。

「老後をどうするか」ですが、老後になってから慌ててももう遅いというのがポイントであります。学校でどれだけ勉強し、しっかりした会社に入るか、そして会社に飽き足らない場合は起業して大きくなるもよし、同じ会社でしっかり仕事をするもよし、というシナリオは20代前半である程度方向が出てきてしまうというのが社会の現実なのだと思います。

もちろん、ぷー太郎が一大発起して成功するビジネスを立ち上げるという話もまれに聞きますが、それは運やまぐれに拠るところもあるでしょう。

この歳になってつくづく思うことがあります。人生って積み上げなんです。若い時から年齢と共にコツコツと階段を一つずつ上っていくと70段目でようやく一息つけるという仕組みだと。最近の若い方には貯金ゼロ、その日暮らし的な感じの方も多いと聞きます。50年後に霞を食べて空腹をしのぐのは切ないでしょう。人生設計とは本当によく言ったものです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年10月6日の記事より転載させていただきました。

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