新たなる経営者の生き方?人生第二起業

2019年10月07日 14:00

アリババ創業者のジャック・マー氏、ZOZOの前澤友作氏、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の3人の共通点は人生の仕切りラインを自分で決めたことでしょう。ジャック・マー氏は9月10日にアリババの会長を退任、前澤友作氏は9月12日に創業であるZOZOの社長を退任、そしてサムスンの李副会長は副会長ポジションには残るものの取締役から近く退任する見通しとなりました。

(前澤友作氏ツイッターアイコンから:編集部)

(前澤友作氏ツイッターアイコンから:編集部)

それぞれの年齢はマー氏が55歳、前澤氏が43歳、そして李氏が51歳です。ある意味、一番脂が乗りきっているところでそれぞれの理由はあるにせよそれまでの絶対的ポジションから一歩退く決定をしています。

ジャック・マー氏が一年ほど前に退任することを発表した際、ニューズウィークが「自分の評判を守ることかもしれない。会社が順調なうちに側近も社員も残して去れば、サクセスストーリーに傷が付かない。実際、中国のIT業界が逆風にさらされていることは、マーのような天才でなくても分かる」とあります。

ZOZOの前澤氏はご存知の通り公私について外野がとても騒がしくなると同時に業績が今一つ伸び悩んでいる問題がありました。そしてサムスンについては李氏自身が訴訟を抱えているうえ、サムスン電子の主業の一つであるスマホの売り上げが伸びず、中国での生産を止める決断も下しました。

つまり、3人ともそれぞれのサクセスストーリーとその後の凋落ないし守りの経営を余儀なくさせられていた点では共通するものがあります。そして、それにしがみつかず、若くして退任することは今後の起業家や会社経営のトレンドに大きな影響を及ぼすとみています。

それは早く辞めて人生第二起業をして経験に更に厚みをかけることです。それと同時に残った会社の再活性化を図るということもあります。仮にこの3人がそのまま会社にいてもそれなりの功績は残せるでしょう。しかし、今までのような爆発的な成功は難しいということは本人たちが一番わかっています。特にIT関係ではマー氏が自分の年齢ではもう無理と述べているように時代の移り変わりの激しさの中で50代になればとても対応できないことを行動で示したとも言えます。

前澤氏については既に新会社を設立し、何かやろうと企てているようです。マー氏は教育関係に戻ると言っています。李氏についてはまだサムスンにしばし残るのでしょうけれど今後の展開が注目されます。

50代になって会社の創業者として長期政権を維持することは非常に難しいと私自分が一番実感しています。そのため業容を自らがどんどん進んで変えていかないと業績や社内の緊張感が停滞してしまいます。私が次々に新しいことをやる意味は逆に既に安定化しているビジネスを誰かに任せてしまうという意味でもあり、同じ会社にいながら2年に一つぐらいのペースで起業し、形を変えることで新陳代謝を図っているともいえるのです。

もちろんこれは考え方の一つで会社によっては素晴らしい経営者が長期体制の中で企業価値を何倍にも増やしたり、10年、20年と連続で増収増益を記録する企業もあります。どちらが正しいとは断定できるものではありませんが、一つ言えることは上記3名が関与しているビジネスは消費者相手のビジネスであり、高いレベルのセンスと時代の変化の波をもろにかぶる点でしょう。ある意味、一番シビアな世界で戦ってきたともいえるのです。

人生第二起業という点ではブックオフの創業者で現在俺の株式会社(俺のイタリアンや俺のフレンチの会社)のオーナーである坂本孝さんが参考になるでしょう。氏がブックオフを辞めたのが67歳の時、そして「俺のシリーズ」を世に出したのが72歳の時です。坂本氏の場合はブックオフの前にすでに何度か起業して苦しい時期を経験しているという点においては人生何度起業したかわかりませんが、充実して厚みある人生を送られているのでしょう。

人生の楽しみ方として何か専門一本勝負するのも面白いのですが、円熟期に一旦立ち止まり、考え、そして新たに挑戦するというスタイルは今後の新たなる経営者の生き方として注目されるのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年10月7日の記事より転載させていただきました。

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