あいちトリエンナーレ展示再開が殺す表現の自由

2019年10月08日 11:30

あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」は10月8日午後に展示が全面的に再開される。朝日新聞は「SNS拡散対策・憲法で論陣 貫いた不自由展再開の意欲」と大村秀章愛知県知事の決断をたたえる記事を配信している。

7日に記者会見し展示再開を発表した大村知事(NHKニュースより:編集部)

ハフポストも同様。作家たちの喜びの声を掲載し、「明日開かれるのは歴史的な扉」だとする。

気になるのはSNS対策である。「動画撮影は禁止、SNSでの拡散防止は誓約書を書くほか、身分証明書も確認する厳格なものとなった。」としか報道されておらず、公式サイトにも、10月7日午前7時現在、SNSに関する条件は記載されていない。

SNS拡散防止というのが、観衆が展示に関する感想や意見、賞賛や批判をSNSで投稿できないという意味だとすると、このような条件をなぜ大村知事が設定し、なぜ作家が喜ぶのか、全く理解できない。これは観衆の表現の自由を制限するものだからだ。

先に記事「Nagasakiと表現の自由:朝日は米ドラマを批判できるのか」で朝日新聞の社説に言及した。8月6日の社説で朝日新聞は次のように書いていた。

「人々が意見をぶつけ合い、社会をより良いものにしていく。その営みを根底で支える「表現の自由」が大きく傷つけられた。深刻な事態である」

SNS拡散防止によって、人々が意見をぶつけ合い、社会をより良いものにしていく営みは阻害されないのか。観衆による表現の自由が制限されるという条件を決めた大村知事を朝日新聞がたたえるのはなぜだろう。表現の自由が守られるべき上級の作家と、制限されても文句を言うべきでない下級の観衆に分かれているとでもいうのだろうか。

SNS拡散防止についてより具体的にあいちトリエンナーレ公式サイトで説明していただきたい。また、メディアは作家と観衆に対する二重基準について検証すべきである。

山田 肇

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