愛知の次は広島で来秋トリエンナーレ…公金投入に待った!

椋木 太一

こんにちは、広島市議会議員(安佐南区)のむくぎ太一(椋木太一)です。

国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(以下、「あいトリ」)で、展示中止となっていた企画展「表現の不自由展・その後」(以下、「不自由展」)が10月8日、約2か月ぶりに再開しました。

皆様ご存じのとおり、「不自由展」は、昭和天皇の御真影を燃やしてその灰を足で踏みつけている映像を流したり、いわゆる「従軍慰安婦」を象徴する少女像を展示してあたかも「従軍慰安婦」の真偽がはっきりしていると思わせたりと、多くの国民感情を逆なでするもので、「公金支出」や「表現の自由」といった観点から議論が沸き起こっています。

再開した表現の不自由展(NHKニュースより)

ひろしまトリエンナーレにも文化庁補助金の見込み

そんな中、私の地元・広島県で、愛知と同様の危機的状況が訪れようとしています。広島県で来秋、現代アートの展覧会「ひろしまトリエンナーレ」が開催される予定なのです。

まずは、概要の主なものとしては以下のとおりです。

名称は「ひろしまトリエンナーレ2020 in BINGO」で、2020年9月12日から11月15日の65日間。場所は、いずれも広島県東部に位置する三原市、尾道市、福山市、近隣の離島です。主催の実行委員会には、広島県、会場となる上記3市、芸術関係のNPO法人などが名を連ねています。予算規模は2018年度からの3年度で約2憶6400万円。あいトリ同様、文化庁からの補助金を見込んだものとなっており、広島県は2018年度に1500万円を補助金を交付済み。さらに今年度は県の3600万に加え、尾道市、三原市、文化庁の分担金も合わせた総額約7300万円が投入される予定です。

また、目的や趣旨は、「地域の個性的な文化的基盤の醸成や、文化の創造を図り、当該エリアのブランド力の強化を図る。『瀬戸内の十字路』に位置する広域的な交通・交流拠点としての優位性を活かし、国内外から多くの来場者を集め、点在するアート作品の展示会場間や周辺観光資源の周遊促進を図り、地域経済の活性化につなげることを目指す」としています。

今後の予定として、2020年春ごろに、制作や設置される作品のイメージ、追加アーティスト(ある場合)の発表などを想定しているようです。

朝日がプレイベントの先出し報道、展示は「あいトリ」と類似?

私は恥ずかしながら、数日前まで「ひろしまトリエンナーレ」の存在をまったく知りませんでした。開催されることを知ったのは、プレイベントとして10月5日から、尾道市の離島・百島で企画展が始まったことです。この企画展を朝日新聞が報道したことにより、「ひろしまトリエンナーレ」の開催が県民らの目に触れ、私も知ったというわけです。

朝日新聞の報道によると、この企画展には、「不自由展」に出展していた芸術家が数人参加しており、「不自由展」と同様、昭和天皇を揶揄していると感じられる作品を展示していたようです。また、この企画展での連続対話企画は朝日新聞の文化財団が助成しています。

「表現の不自由展を超えて」と題された企画(アートベース百島HPより)

この企画展に関わっているNPO法人のホームページなどによると、この連続対話企画は「憲法と芸術」「芸術とプロパガンダ」「表現の不自由を越えて」をテーマにしています。これらのことだけでも、「ひろしまトリエンナーレ」が今後、どういった性格になりうるかは想像に難くありません。「あいトリ」「不自由展」と極めて類似性の強いものになるのでと推察できます。だからこそ、私を含めて多くの人々が危機感を募らせているのです。

「ひろしまトリエンナーレ」の参加アーティストなどの発表が行われていない段階でのこの報道に対し、私は新聞記者時代の経験から、朝日新聞が情報を「先出し」したのだろうと推測しました。つまり、「あいトリ」が騒々しくなっている中、事をすんなりと運ぶために外堀を埋めようとしたのだろうということです。こういった点においても、かなりの警戒を要します。

不自由展の開催は自由だが、公金投入は妥当か?

さて、「あいトリ」では前述のとおり、企画展を主導する立場は、「表現の自由」を論点にしています。しかし、私を含めて多くの人々は、「不自由展」をやるなとは言っていないのです。公金を投入して日本国民の感情、尊厳を傷つけるような企画展を行うことが是なのかと投げかねているのです。

「ひろしまトリエンナーレ」への思いも同様です。決して、上記のような企画展をやってはならないと主張しているわけではありません。国の補助金、広島県や各市の出資でやるべきものなのではないと疑義を呈しているということを改めて言っておきます。この部分はとても重要ですので、繰り返しておきます。

これに対して、左派は「表現の自由」の侵害だ!!などと言うでしょうが、この構図は、8月6日の広島、8月9日の長崎での平和式典でのデモ隊による騒音問題と同じものです(参照『8.6広島平和式典の喧騒:「アベ帰れー」のデモは表現の自由か?』、『またも破られた静寂:原爆の犠牲者を冒とくする「アベ、帰れ」』)。デモをするなとは言っていません。やるのであれな、時と場所を選んでやってくださいと言っているだけで、「表現の自由」の侵害でもなんでもありません。左派はあからさまな論点のすり替えばかりで話は一向に前に進まないのです。

被爆3世として出展内容に危惧する理由

話を戻すと、「不自由展」などは、左派のプロパガンダにしか見えません。「不自由展」を主導している左派勢力は、自らの政治的主張に公金が支出されることで、国の「お墨付き」を得たということを内外にアピールするのが狙いなのだと思います。だからこそ、「不自由展」の再開にこだわったのでしょう。純粋に作品を多くの人々に鑑賞してもらいたいのであれば、自腹を切りよそでやればいいのですから。

原爆ドーム上空に描かれた「ピカッ」(Chim↑Pomサイトより)

再開した「不自由展」では、2011年3月の東日本大震災での原発事故で被害にあった福島県を揶揄するような動画が流れているといいます。実は、この動画を出展したグループは、かつて広島で、原爆を揶揄するような作品を出展していました。

私はこの作品の画像を見ましたが、祖母が被爆者だった被爆3世としては到底、「芸術」として受け入れることはできないものです。このグループが「ひろしまトリエンナーレ」に参加するかどうかは分かりませんが、芸術祭「トリエンナーレ」という名のもと、あまたの反日的・国辱的なプロパガンダが行われつつあるということを知っていただければと思います。

「あいトリ」の二の舞は許されない

「ひろしまトリエンナーレ」では広島市内が会場となる予定はないようですが、「HIROSHIMA」は「平和」の象徴の一つでしょう。芸術祭に「ひろしま」の冠を付けるわけですから、たとえ広島県東部での開催とはいえ、国内外の人々の多くは「平和都市」での芸術祭だと認識・イメージして足を運ばれると思います。

そのような中、公金が支出される作品展で仮に昭和天皇の御真影を燃やしたり、いわゆる「従軍慰安婦」をモチーフにしたもの並べたりするようなことがあれば、誤ったメッセージを発することになり、広島県のイメージダウンになるばかりか、日本の国益を大きく損なうことにつながると危惧しています。

トリエンナーレが「反日イベント」化してきている中、日本の誇りを守るためにも、「あいトリ」の二の舞を演じることだけは、絶対に回避しなくてはならないのです。

むくぎ(椋木)太一  広島市議会議員(安佐南区、自由民主党)
1975年、広島市生まれ。早稲田大学卒業後、出版社勤務などを経て2006年、読売新聞西部本社に入社。運動部記者時代はソフトバンクホークスを担当し、社会部では福岡市政などを取材した。2018年8月に退職し、2019年4月の広島市議選(安佐南区)で初当選。公式サイトツイッター@mukugi_taichi1