国会の「質問通告」とは何か?台風前夜、深夜残業がなぜ発生したかを検証する

2019年10月12日 21:00

こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

台風19号が猛威を振るった中、国政では昨晩11日、国民民主党の森ゆうこ議員による質問通告の提出遅延により(本人は否定)、霞が関に大量の残業が発生したことが話題となっています。

次々にSNSや匿名掲示板に惨状を報告する、霞が関官僚の方々と思われるアカウント群。

玉木代表がコメントを出したことにより、産経新聞にも取り上げられました。

森裕子議員、質問通告遅れる? 省庁深夜残業か 本人は否定(産経新聞)

森裕子議員(ツイッターより:編集部)

災害前日に多くの官僚の皆さまが、本来は不要不急の残業を強いられた由々しき事態なのですが、一般の人には何が起こっているのかさっぱりわからないのと思いますので、解説をしたいと思います。

そもそも「質問通告」とはなんでしょうか?

総理大臣などと国会議員たちが、丁々発止で議論をしている場面をテレビで見たことがある人は多いと思います。

しかしあれは、すべてアドリブでやっているわけではありません。

それは当然といえば当然で、いくら森羅万象を担当すべき総理大臣や各国務大臣と言えど、すべての政策課題について政府のスタンスや数字・方針を即座に・正確に話すことは不可能です。

なので、質問する議員サイドは「これこれの分野について、こうした点について質問しますよ」ということをあらかじめ伝達し、担当官僚の方々が大臣答弁の土台となる部分を作っておくわけですね。

この議員サイドから最初に通達する内容・文書のことを「質問通告」と言います。

これが出てこないと、担当官僚たちが想定問答の作成に着手できませんから、国会対応にとって極めて重要な初手になります。

で、その質問通告が余裕を持って行われれば何も問題はないのですが、

1.そもそも質疑日程が決まるのが直前のことが多い
2.質問通告を(おそらく敢えて)深夜まで出さない議員がいる
3.通告を出しても、曖昧模糊とした内容で的が絞れず、膨大な担当者が想定問答を作るハメになる

ということが問題になっています。

今回の森ゆうこ議員は、台風が迫る中で2番と3番を両方やったのではないか?ということが問題視されているわけですね。

つまり「質問通告」においては、出すタイミングとその内容の両方が重要になります。

ところがその肝心の質問通告については、実はフォーマットや定められた内容はなく、ほぼ議員の良心と慣習に従って作成されています

で、野党側から下記のような質問通告が出されると、大量の担当者が残業することになったりするわけです。

一読いただければ分かる通り、これで総理や各大臣がそれなりにスムーズに答弁・議論するための想定問答集を作って置くというのは、誰がどう考えても無理ゲーと言えるでしょう。

その無理ゲーをどうにかこれまでクリアしてきたのが、日本を支える優秀な官僚の皆さまなのですが、その積み重ねが有益な政策になっているとは到底思えず、事前に準備できた方が双方にとって建設的な議論ができるはずです。

ちなみに私が前回の質疑の際に提出した質問通告書はこちら。

もう一つ参考に、下記はネットに自主公開されている足立康史議員の質問通告書。


引用元

手前味噌ではありますが、これだけ具体的に内容を通告しておけば、担当部署以外はすぐ国会待機をやめて帰宅できますし、答弁を作成する担当官僚の作業もスムーズなはずです。

なお、都議会では「質問通告」はフォーマットが定められており、そこに記入する形式でした。

ご覧の通りこの記入項目自体はアバウトなのですが、そこからすぐに担当部署とのやり取りが始まり、実際に質疑が行われる当日まで入念に(複数回)打ち合わせが行われるのが通例です。

なので、国会において特に一部野党が「事前レクなし」「問い合わせ不可」というような「本番一発勝負」をやっているのには新鮮な衝撃でありました。

私が実際にやり取りをした官僚の皆さまも、意見交換は一発勝負だと思っている方が多く、都議会スタイルで最初の意見交換をした後に「じゃあ、もうちょっと詳細を詰めて前日にもう一度最終確認を…」と言ったら

「え、もう一回打ち合わせをさせていただけるんですか?!

とびっくりされてしまい、むしろ私が驚きました(苦笑)。

どちらのやり方が良いというのはわかりませんし、結局のところ都議会スタイルでも最初の「質問通告」や詳細を出さないと打ち合わせが始まらず、やはりギリギリまで手の内を明かさない議員は存在しました。

政府や官庁を追及しなければならない野党としては、手の内をできるだけ見せずに相手をギリギリと締付け、あわよくば当日に大臣から失言を引き出したいという狙いがあるのでしょう。

しかし、やはりそれはどこまでいってもパフォーマンスであって、本質的な議論にはならないと思います。

何より、議員がそうした手段を用いることで、自分たちの予想以上に多くの担当者たちが(多くは無駄な)残業や待機を強いられることに敏感でなければなりません。

今回、森ゆうこ議員に質問通告の遅延やずさんな内容があったのか、その意図はなんだったのか現時点ではわかりませんが、災害と重なり大きな注目を集めたこれを機会に、早期の日程確定を含めて国会改革が進むことを期待し、私も微力ながら働きかけて参ります。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会、地域政党あたらしい党代表)のブログ2019年10月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。

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音喜多 駿
参議院議員(東京選挙区、日本維新の会)、地域政党あたらしい党代表

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