台風一過で考える損害保険

2019年10月13日 14:00

台風が爪痕を残して過ぎ去りました。今回も各地で被害をもたらしたわけですが、その後の始末で出番となるのが損害保険です。その損害保険、このところの自然災害で保険料は上がる一方となり、今年の10月以降、保険料は一斉に見直され、6-7%上昇するのですが、この上昇は保険会社が使用する計算書によると建物構造、使用目的、場所で6-7%では収まらないばらつきが出ています。更に21年にも値上げすることが発表されており、いつの間にか損害保険料がとんでもない金額になっていた、ということになるのでしょう。

千曲川の決壊を伝える13日朝のNHKニュースより:編集部

実は私も日本の不動産の火災保険を9月30日付で更新したのですが、約15%上がりました。私の場合5年契約をしているため、上り幅が大きくなるのはやむを得ないところでありますが、あと1日違っているともっと上がっていたことになります。

さて、前回の台風で千葉県のゴルフ練習場の鉄塔が倒れて住宅に被害がでていますが、いまだ鉄塔は処置されておらず、問題は解決していません。想像ですが、保険がなかったのだろうと思います。同ゴルフ場の鉄塔は以前から劣化していた為、強化策を行うよう県から5年前に指導受けていたとあります。仮にそうであればその賠償責任保険が買えなかったのではないかと思うのです。

もう一つは単純に損害保険だけの規定に照らし合わせると日本の場合、自分の家の保険はあるけれどそれが他人に影響を与えても何ら責任がないという特殊な規定があります。火事の場合によく言われるケース失火責任法であります。これはもともと日本の住宅は紙と木でできていて「江戸の大火」でも知られるように火事など自然災害は当たり前だった背景から失火でも他人の家の被害は原則面倒見なくてもよいことになっています。

そこに加わるのが自然災害。この言葉があると保険会社は保険契約者には保険の支払いを行いますが、それ以外の賠償は一切行いません。ご記憶にあるでしょう、新潟県糸魚川の大火。中華料理屋のオヤジが鍋に火をつけたままちょっと席を外している間に144軒燃えた事件ですが、あれも大風の中での火事ということで「自然災害」となり出火元の賠償はなく被害者が自分の保険を使うことになったと理解しています。(本人はどうなったのか知りません。)

では千葉のゴルフ場の隣家で鉄塔が倒れてつぶされた家はつぶされ損だったのか、といえば「そうです」としか言いようがないのです。ただ訴訟することは可能かと思います。必要な安全対策を取らなかったことによる人災であったと判断されればゴルフ練習場の土地を競売してその代金で保障させることは技術的には可能ですが、大変時間がかかるし、多分、被害家庭が加入している保険会社の協力が必要でしょう。

今回の台風では川の氾濫が各地で相次いだわけですが、これに対抗できる防御策はないのです。私がコンパクトシティを主張するのはそこにもあるのです。特に地方の場合、インフラを含めた甚大な被害が出やすく、住宅も古い木造であることが大半です。それを自分の土地に住む権利があるということでそれを許すのか、ある程度国家が規制するのか、そろそろ考え時だと思うのです。

人気テレビ番組「ぽつんと一軒家」は何度見てもおかしいと思うのです。なんでそんな辺鄙なところに住むことを許すのか、生命の危険があった時誰がそれを面倒見るのか、何でも自由ではないと思っています。警察消防自衛隊のサービスは無料だと考えているところに疑問を感じます。個人負担はないけれど国民の税金がベースのそれらサービスに個人の事情で労力を費やすのは何らかの形で考える時期に来たのだろうと思います。

保険料が上がり始めて多くの家庭でどうにかならないのかと感じた時、あらゆる災害に対する基準が合わなくなってきてると思っていただいて過言ではないでしょう。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年10月13日の記事より転載させていただきました。

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