官僚たちの反乱が始まったのは、台風19号が首都圏に接近している11日の深夜だった。「森ゆうこ糞」というアカウントをつくって経過報告した官僚(と思われる)は、午前0:52にこうツイートした。
これを産経新聞が報じたが、森議員はこう反論した。
せめて、取材してほしかった。
当方は既に提出済みと安心。
霞ヶ関はまだかとイライラ。私の認識では、今回の通告ペーパーは、この間のレクなどから、霞ヶ関で既に想定問答が出来ているであろう項目を確定するものでした。追加ペーパーは念のため提出。 https://t.co/p7se8ZpIR8
— 参議院議員森ゆうこ (@moriyukogiin) October 12, 2019
最後にさりげなく「追加ペーパーは念のため提出」と書いている。これは別の官僚の深夜の証言とも符合する。
あなたのいう「質問通告」は14項目の曖昧な箇条書き。(1個目の項目は参議院規則)その要旨の詳細が19:00以降から~今に至るまで7、8回に分けてタラタラと公表されたことは事実です。(まだ全部じゃない?)
— lauan (@lauan18651765) October 11, 2019
つまり最初の質問要旨は期限の17:00前に(国民民主党の国対から各省庁に)提出されたが、その内容は14項目の見出しだけだったようだ。その文面は不明だが、松井孝治氏が1年前に公開した蓮舫氏の質問のようなものだろう。
霞が関某所の便所で拾った紙。私がラジオで聴いた箇所は「9.出入国管理法案改正案・移民政策について」の一行。しかも「質問レクなし、問い合わせ不可」という注が付いている。霞が関は仕方ないから膨大な想定問答を用意。夜中の通告よりはマシかも知れぬが「質問通告してます」と胸は張れないですね。 pic.twitter.com/0ymyHyDnIC
— Koji Matsui 松井孝治 (@matsuikoji) November 8, 2018
こんな項目だけでは中身がわからないので全省庁待機がかかり、各省庁が問い合わせるたびに森事務所から「追加ペーパー」が出された。それが終わって内閣総務官室が待機を解除したのが、23:50ごろだったという。これが「質問通告」の終了である。
この事実関係については森議員も官僚もおおむね一致しているが、そこに登場したのが原口一博国対委員長だ。
通告は手続き上、定められています。レクチャーは任意。やらなくても良い。簡便な通告すれば良いだけです。ただレクをしないと想定答弁を作るのにその何倍もの労力を政府側が要するので議員側の配慮で行うのです。お勧めに従って自民党に今後、レクチャーはしないが良いかと伝えても良いです。感謝! https://t.co/TslUrFBMUg
— 原口 一博 (@kharaguchi) October 12, 2019
質問通告さえやれば、その説明(レクチャー)は「やらなくても良い」という。それをやっているのは「議員側の配慮」で、官僚が深夜まで待機したのは、やらなくても良いことを勝手にやっただけというわけだ。これが無責任野党の本音だろう。
昔は質問通告なしで、ぶっつけ本番の質問で政府側から失言を引き出し、審議を止めることがよくあった。これを恐れて役所が多くの官僚を待機させ、徹夜で「質問取り」をやって膨大な資料を準備していた。
こういう官僚の長時間労働が労働条件を悪化させ、若者が公務員を敬遠する原因になっているので、与野党の申し合わせで前日までに質問通告をすることになった。 それでも野党としては「爆弾質問」をしたいので、項目だけ通告する。
こんなやり方で、まともな政策論争ができるはずがないが、万年野党としてはそれでいいのだ。目的は政策論争ではなく、騒ぎを起こしてマスコミで名前を売ることだからである。特に予算委員会は暴れる最高の舞台だから、手の内は明かさない。
今回の森議員の行動は、国対委員長公認の質問通告の〆切破りである。これは今のような紳士協定で守らせることはできない。 国会法を改正して審議時間に制限をもうけ、野党の日程闘争を封じるべきだ。