「避難所が足りない」「そもそも避難しない」問題。自助・共助の備えは大丈夫?

こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

【台風19号】 激甚災害指定へ 安倍首相が対策本部で方針(産経新聞)

台風19号の日本列島通過から二夜が明けて、被害状況が徐々に明らかになってきました。

改めまして被害に遭われた方々にお悔やみとお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い災害復旧のために尽力して参ります。

さて、幸いなことに人的被害はほとんどなかった都内ですが、様々な関係者からヒアリングをしているとやはり課題として上げる人が多いのは「避難」についてです。

特に大きな問題がいくつかあって、

1.避難しようとしたのに、できなかった・苦労した(避難所が満員だった)
2.避難しようとした人が、全体からするとまだまだ少なかった
(3.そして少なかったにもかかわらず、いくつかの避難所はパンクした)

まず避難所満員問題については、「入れなくて避難所をハシゴした」「利用状況が事前にわかると良かった」と複数の方々から直接意見をもらいました。

こちらについては災害メールやウェブ発信で、やり方次第でリアルタイムに伝えることは可能になるかと思います。

また今回の避難傾向を元に、人口に対してどれくらいの方が避難所に来られるのか、その予測・見積もりをしっかりと再計算することも重要になるでしょう。

より深刻なのは後者です。

今回の未曾有の災害では、都内だけでも数十万人以上に警戒レベル4の「避難勧告」が出されました。

東京新聞:台風19号 避難所に8万397人:東京(TOKYO Web) 

8万人以上という数字は大きなものですが、それでも避難勧告された対象人数に比べればおそらく10分の1以下だと思われます。

避難所以外に自主避難をされた方の人数把握は困難であるものの、ほとんどの人が避難をされていなかったことが予測されます。

今回は都内で堤防が「決壊」した箇所はなかったため、大きな(人的)被害については免れることができましたが、もし千曲川のように氾濫した地域があったら…

人的被害に加えて、ものすごい人数が自宅の高層階に取り残され、救助活動は熾烈を極めた可能性があります。

どうやったら多くの方に適切なタイミングで避難をしてもらうか、災害が起きるたびに大きなテーマとなる部分ですが、やはりこれは都心においても大きな課題として残ります。

そして1番と3番の問題につながるのですが…

人口過密地帯の東京都心では、実際に避難勧告が出された人が避難すると避難所が圧倒的に足りないという事態が生じます。

人口密度を考えると、すべての対象者を公的施設に避難・収容させることは都内では自ずと限界があります。

そこでやはり、どうしても重要になるのが公助の前の「自助・共助」の部分です。

例えば、話題になった区内全域が浸水地域となる江戸川区などでは、区外に逃げる「広域避難」をあらかじめ推奨しています。

「ここにいてはダメ」江戸川区の水害ハザードマップが直球すぎて話題…担当者に聞いた(FNN.jp)

台風のようにある程度予測可能な災害の時は、親族や友人宅などあらかじめお互いに避難しあえる場所を確保していくことも必要ではないでしょうか。

もちろん行政としての責任を放棄するわけではありませんが、自助・共助で自活できる人が増えれば、行政の「公助」は本当に助けを必要とする社会的弱者の方により多く振り分けることができます

ぜひ皆様も今一度、水害などのハザードマップを見返して、水害の対象地域となる方は行政が準備する避難所のみならず、個人的なツテで避難できる場所を確保されてはいかがでしょうか。

また避難所については、ペット同伴の可否やホームレスの利用可否など、様々な課題が寄せられています。

そして柳ヶ瀬議員からの報告によると、大田区では避難所がいっぱいとなり、利用希望者を近隣の避難所に消防団が車で移送してあげようとしたところ、「それは車両の目的外だからダメだ」と上からの指示で止められる事態が発生したそうです。

こうした点も一つ一つ、地方議員と協力しながら対応し、次回に向けた改善に努めたいと思います。

引き続き、今回の災害で気づいた点をぜひお知らせいただければ幸いです。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会、地域政党あたらしい党代表)のブログ2019年10月14日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。