エリザベス・ウォーレン氏の米大統領の目

2019年10月16日 14:00

アメリカ大統領選挙が1年ちょっとと迫ってきた中で民主党候補者の動きに注目が集まります。大統領選出馬表明者が20名近くいる中、現時点ではトップ3名にスポットライトが当たります。ジョー・バイデン、バーニー・サンダース、そしてエリザベス・ウォーレンであります。今日は民主党から大統領を出す目はあるのか、ウォーレン氏の可能性はあるのか考えてみたいと思います。

(エリザベス・ウォーレン氏 Wikipediaから:編集部)

(エリザベス・ウォーレン氏 Wikipediaから:編集部)

アメリカは二大政党で中道左派の民主党と中道右派の共和党がつばぜり合いをします。大統領も概ねそれぞれの党から交互に出てくることが多く、戦後だけ見れば民主から6人、共和から7人となります。これを少し乱暴に分類すれば戦後直後は民主、50年代は共和、ベトナム戦争の60年代は民主、70年代はおおむね共和で後半に民主、80年代は共和で90年代は民主、2000年代以降は五分五分の戦いとなっています。

基本的に経済動向とリンクしているともいえ、概ねアメリカ経済が好調な時は共和から、世界景気や世の中の不和(含むベトナム戦争)の時は民主が優勢になりやすい傾向があります。(あるいは共和が世界経済を盛り立てるという表現もできると思います。)それでも二大政党が拮抗した状態であるのは現在ですら上院、下院の議席がねじれ状態にある点でもお分かりいただけると思います。

よって次期大統領選の予想にはまず、今後1年間の対外環境を概観する必要があります。アメリカの景気は既に景気拡大期が11年目となり「出来すぎ」の状態になっています。通常の経済学ではなかなか説明しにくいのですが、景気の振幅が以前ほどでなく成熟した国家故のなだらかな景気になっていると考えるべきなのでしょう。日本も同様です。

とすればこの先1年、アメリカが景気を大きく崩す要因は国内に求めるのは難しく、対外的要因や戦争、天変地異という予想不能な事態が発生すること以外にありません。ではトランプ大統領は戦争が好きか、といえばNOです。彼はビジネスマンであり、ディールを好むゲーマーであり、戦争を好む男ではない点がブッシュ父子との大きな違いです。

ここから類推すれば社会環境は共和党に利することになります。

では民主党の3候補です。まず、サンダース氏ですが、個人的には可能性はほとんどないと考えています。理由は彼の主義主張ではなく年齢と健康状態です。現在78歳、80歳代の大統領をアメリカが求めるのか、という点と最近、動脈閉鎖の治療を受けるため選挙活動を一時休んでいたこともあり、大統領の激務をこなすという点では現実的ではないとみています。

次にバイデン氏ですが、ウクライナ問題でトランプ氏弾劾という報道もありますがトランプ氏が弾劾されることは新事実がない限り100%あり得ません。むしろ、バイデンの息子がウクライナのみならず、中国企業の取締役を務め高額の報酬を得ていたことも明るみになっておりバイデン氏が民主党の支持層にはふさわしくない汚点となっています。

こうなると前回ガラスの天井を破れなかったクリントン氏の雪辱をウォーレン氏に託す可能性は大いにあるでしょう。ではウォーレン氏が本当にふさわしいでしょうか?最大のネックは彼女が大学の教授というキャリアであることです。しかもハーバードロースクールであります。

弁護士と学者ほど融通が利かない人はいないと言われます。自身の信条が極めて明白な自己論理の中で完結しているためであります。トランプ氏がディール巧者であるとすればウォーレン氏はどうやって自身に落としどころを求めていくのかと考えるとずばり理想主義者ウォーレン大統領の世界ではアメリカは何もできなくなることが想定できるのではないでしょうか?

しかも彼女の公約はとてつもないものばかりです。ハイテク企業分割、国民皆保険、シェール採掘禁止、最低賃金2倍、富裕者向け課税引き上げ…と世論で大きな議論を巻き起こすものばかりであります。むしろ、アメリカ国民に問いたいのは「今日の生活と明日の生活がすっかり変わってよいのかね」ということであります。大半の人はNOと答えるでしょう。なぜなら今の景気は悪くないし、トランプ氏は嫌いでもトランプ氏はこのところ外交問題が主体になっているのであまり気にされなくなっているからです。

二大政党が真逆の政策を打ち立てる時代は私から見ると時代錯誤のような気がします。ウォーレン氏がもっとトランプ政策の穴を埋めるような主義主張、つまり、より中道なポジションを取れば彼女が当選する可能性は出てきます。しかし、それでは今まで彼女を支持してきた人たちには大いなる失望でしょう。

アメリカの二大政党のそれぞれの主張は国民の深層心理に対して理想論に突っ走るところが大きく、これが離反する人を増殖し、無党派が増えることになります。政治家は国民から遊離してはいけないのですが、ここがどうも抑えられてないように感じます。純粋にアメリカを幸せにできるのか、統治できるのという観点からするとウォーレン氏の目は今のままでは無理ではないかと感じます。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年10月16日の記事より転載させていただきました。

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