森ゆうこ議員のいう「情報漏洩」は論点のすり替えだ

2019年10月17日 11:00

国民民主党サイトより

きのう国民民主党は記者会見を開いて「質問内容が外部に流出したのは情報漏洩だ」と主張した。朝日新聞は「森ゆうこ議員が11日午後4時すぎに参院事務局に出した質問通告が外部に流出した可能性がある」と報じているが、これは誤報だ。彼女が16:08に出した通告の内容を20:22にツイートしているからだ。

自分で公開した情報を「漏洩」よばわりするのは笑止千万である。多くの官僚がツイッターなどで内部告発したのは、この後も何度も通告が差し替えられたことであり、その内容ではない。

この通告は、12日の24:25に最終的に差し替えられた(松井孝治氏の見せた参議院の文書)。質問通告は17時の〆切前に終わっていないので「16:08に質問通告を出した」という森議員の弁明は嘘だが、それを情報漏洩の問題にすり替えている。

多くの官僚が批判したのは、台風が首都圏に近づいているとき、このように「差替」が深夜に及んで、多くの関係者が待機させられたことであり、内容の「漏洩」などしていない。

そもそも質問内容は秘密ではない。原英史氏は11日の20時に国会への参考人出席要請を受け、そのとき質問内容についても内閣府から連絡があった。彼は14日のアゴラでこう書いている。

森ゆうこ議員の質問通告は、内閣府から確認した限りでは、特区ビジネスコンサルティング社(以下「特区ビジネス社」)に関して私に質問したいとのことだったらしい。この会社は、毎日新聞記事で、「200万円」を直接受け取った(そして、同社と私に特別な「協力関係」があり、結局、私が金銭を受け取った)として取り上げられた会社だ。

つまり11日20時の段階で、森議員が問題にしている特区についての質問内容は公知の事実だったのだ。彼女は原氏に参考人招致を連絡した内閣府が、情報漏洩したとでもいうのだろうか。

そもそも国会の質問は、公開で行われるものである。それを事前に公開するのも(森議員がツイッターでやったように)通例であり、漏洩を問題にするような情報ではない。ところが原口国対委員長はこう主張した。

質問内容が事前にわかったら、誰が困るのか。野党は昔のように「爆弾質問」で政府をおどかして失言を引き出したいのだろうが、事前通告なしの質問は政府が拒否できる。そんなクイズみたいな質疑をやっていたら、政策論争は成り立たない。

質問通告は前日ぎりぎりに項目だけ出すのではなく、何日も前から内容を詳細に公開し、政府側に準備の時間を与えるべきだ。それをしないでゲリラ的に騒ぎを起こそうとするから、霞ヶ関全体で何百人もの官僚が(民間の関係者まで)深夜まで待機させられるのだ。

原口国対委員長はこの悪習を変える気がないようだから、国会法を改正して質問内容の事前通告を義務づけ、国会の日程は政府が決めるしかない。こんな不毛な議論を国会で繰り返すのは、政治的資源の浪費である。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 学術博士(慶應義塾大学)

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