ゴロツキ野党議員はなぜ暴走するのか

2019年10月19日 17:00

産経新聞によると、国民民主党と立憲民主党の「調査チーム」は、松井孝治氏がツイッターで公開した文書が「情報漏洩だ」として、内閣府にアカウントの特定を求めた。しかしこの文書は参議院事務局が予算委員会の出席者に配布した議事進行であり、公務員の守秘義務の対象になる「非公知の事実」ではない。

また内閣府が原英史氏に参考人として出席を求めた際に送ったメールに「質問要旨」と国家戦略特区に関する「質問詳細」が添付されていたことを問題視しているが、この「質問要旨」は11日夜に森ゆうこ議員がツイートした公開情報である。

国民民主党の奥野総一郎国対委員長代行は、原発など無関係のテーマが黒塗りされていなかったことについて「関係ないところまで出すのは守秘義務違反になる」というが、このツイートに「原発汚染水」と書かれているので、黒塗りなんかする意味はない。

ここには「国家戦略特区」としか書いてないので、これだけでは原氏は何を質問されるのかわからない。内閣府が特区に関する質問詳細を添付したことも当然であり、守秘義務違反にはあたらない。

奥野氏は原氏がその通告の内容を(私を含む)外部に知らせたことについて「民間有識者にも守秘義務と罰則が必要だ」と主張しているが、どういう法的根拠で民間人に守秘義務を課すのか。これこそ彼らの反対した特定秘密保護法を上回る恐怖政治ではないのか。

要するに情報漏洩なるものは、森ゆうこ議員が自分のルール違反をごまかすために暴れているだけだが、問題はこういう野党議員が多いことだ。その根本的な原因は、日本の国会運営にある。

議院内閣制では政府と与党は一体なので、審議日程も政府が決めるのが通例だが、日本の政府は日程に口を出せない。このため内閣が優先する法案も、野党が協力しないと審議未了で廃案になってしまう。

この「国会カレンダー」は議院運営委員会で決まるが、これは全会一致が原則なので、野党が抵抗すると直前まで審議日程が決まらない。それを調整するのが国対委員長会談だが、これも全会一致が慣例だ。

つまり日本の国会は多数決ではないのだ。無力に見える野党も審議を止めて法案を廃案にするという強力な武器をもっているので、法的根拠のない「国対」が実質的に強い権限をもち、野党の「日程闘争」が国会を混乱させる最大の原因になっている。

審議を止める理由は何でもいいが、政策論争では野党は官僚機構に太刀打ちできない。予算委員会でも予算を修正することは不可能なので、森友・加計のようなスキャンダルで止めるのが便利だ。

昔は自民党が野党に「国会対策費」を渡し、「3日寝たら(審議を止めたら)300万円」などという相場が立っていたが、最近は野党がバラバラになって(よくも悪くも)国対が機能しなくなった。

それがゴロツキ議員の暴走が起こる原因だ。国民民主党の原口国対委員長も「質問通告はしなくてもいい」などと言い始めた。これは国会審議を遅らせて、法案の成立を妨害するぞという脅しである。

こういうガラパゴス国会が、日本の民主政治をだめにする元凶だ。政府の権限が弱く国会の権限が異常に強い制度の多くは55年体制でできた慣例なので、国会法を改正しなくても改善できる。専門家が提案しているのは、次のような改革である。

  • 質問に制限時間を設け、審議を打ち切って採決できるようにする
  • スキャンダルの追及には特別委員会を設け、予算委員会では審議しない
  • 議運の理事を内閣の代表(たとえば官房副長官)が兼務し、政府がカレンダーの設定に参加する
  • 審議未了になった法案は廃案にせず、次の国会で継続審議する

政権を取る気のない野党議員が暴れてテレビ中継で目立とうとするのは合理的だから、それを止めるには彼らのインセンティブを変えるしかない。日程闘争を封じて、暴れても止まらない国会にすることが根本的な解決策である。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 学術博士(慶應義塾大学)

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